第1757話 寄宿舎と宿舎に戻ってみると。(真面目な子?には福がある。)
寄宿舎の玄関。
「ただいま戻り・・・エイミー殿下?」
スミスが玄関を入るとエイミーとドネリーが居た。
「スミス、ジーナ、おかえり。
他は?」
「あ~・・・グレース殿下は実家に寄ると、イーデンとカイルは小腹を満たしに。」
「そうか・・・まぁこれって連絡する事ではないしね。
ま、スミスとジーナだけでも良いわ。
荷物を部屋に置いたら、湯浴み場を使いなさい。
ちゃんと用意はしてありますからね。
その後は食堂へいらっしゃい。
あ!洗濯は明日にしなさいね。
今日はゆっくり過ごせば良いから。」
「「?」」
スミスとジーナが首を傾げる。
「この行事は食事と今の生活のありがたさの再認識だからね。
戻って来た時にちゃんと湯浴み場とスイーツ料理が用意してあるのよ。
宿舎でもやっているわよ。
まぁ3年生が主体で段取りをしておくものなのよ。
ただし帰るまでが授業なのよ。
真っ直ぐ帰って来た真面目な生徒にのみスイーツにありつけるといった感じね。
グレースもアルダーソンもボールドも残念だったわね。
スミスとジーナであの子達の分まで食べて貰いましょうかね。」
「僕達はそんなに食べれないですよ。」
「食べきれない分は私とドネリーが部屋に持って帰るわ。
じゃあ、湯浴みにいってらっしゃい。
私達は食堂で待っているわ。」
「はい、ありがとうございます。」
「殿下、ありがとうございます。」
「これも伝統よ。」
エイミーとドネリーがスミス達の前から去る。
「・・・スミス様、こういった事があるのですね。」
「そうだね。
とりあえず、ジーナが先に入ってくださいね。
僕はその後で良いから。」
「それは・・・はい、すぐに入らせていただきます。」
ジーナが返事をするのだった。
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宿舎にて。
「おかえりー!聞いたぞ!
マイヤーとラックは戦闘に参加したんだってな!
良いぞ!率先して皆の代わりを引き受けるその気概!
それでこそ王立学院に入る人材だ!
他の4名も2人の為に食事の用意や周囲のグループとの話合いをしていたんだってな!
2人が動くのに邪魔になりそうな事は打ち合わせをしておく!
仲間の為に用意や交渉をする、王立学院に入るにふさわしい人材だ!
皆良くやったぞ!」
上級生が玄関でお出迎えしている。
「まぁまぁ、落ち着け。
それで・・・君達で最後だからね。
早く荷物を部屋において、湯浴みに行ってから食堂に集合だ。
疲れた後輩達の為に細やかながら甘味を用意してある。」
横に居た他の上級生がテンション上げている生徒を落ち着かせながらルーク達に言う。
「あ~・・・」
「被ったのかな?」
「食堂で反省会しながらと思ったらね~。」
女子生徒達がバツが悪そうな顔をさせる。
「あの、先輩方、皆が揃っているのですか?」
男子生徒が聞いてくる。
「ん?君たち以降に戻ってくる外で甘味を堪能している子にはなしだね。
しっかりと帰宅報告が出来る真面目な子にはご褒美があるのだよ。
な訳で、先にちゃんと帰って来た子達が待ちわびているから、さっさと湯浴みに行こうね?」
「はぁ・・・わかりました。」
そう言いながらスイーツを持っている女子が後ろに手を持って行きスイーツを隠す。
「よーし、待っているからな!」
「「「「はーい。」」」」
宿舎でも楽しいひと時が待っているのだった。
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もうすぐ王都に着く距離に居る武雄達はというと。
「結構飛ばしましたかね?」
武雄が皆に言う。
「まぁ・・・あれだけ所長やミア殿、パナ殿が皆の馬にケアをかけてまわっていましたしね。
少しぐらい速度を上げても問題はないですよ。」
「ビエラ殿が居るので元々キビキビ動いていましたけどね?」
「あー?」
「雲行きがちょっと怪しいのは確かですけど。
降らなければ良いですね。」
少し速めの速度で武雄達は移動をしている。
「この速度なら夕食には確実に間に合いますね。」
マイヤーが言ってくる。
「さて・・・王城で取るか街中で取るか・・・
どっちが良いでしょう?」
武雄がオールストンとブレアに聞く。
「城までの道にある店で良いんじゃないですか?
だらーっと食事がしたいですね。」
「そうですね。
王城内だと知り合いの目があるのでぼーっとしながら食事は出来ませんし。」
2人が答える。
「お勧めだと王都守備隊で良く行っていた赤ワイン煮が美味しい店がありますよ。
あそこなら居ても元仲間内ですから大目に見て貰えますよ。」
「なら、そこにしましょうか。
ビエラ、問題はないですか?」
「大丈っ夫♪」
ビエラが答える。
「ミアは?」
「あ~・・・我がまま言うならオレンジが食べたいです。」
「なら店に行ってあるかないかという問答をするより、道すがら買って向こうで調理して貰いましょうか。」
「は~い。」
ミアが返事をする。
「オールストンさんとブレアさんは?」
「あそこなら軽く飲めますから・・・所長!ちょっとは良いですよね!?」
オールストンが懇願してくる。
「・・・そのあと王城に行くんだから深酒はダメですよ?
食前酒程度で済ませるなら可。
ダメなら強制ケアですからね?」
「「はーい。」」
オールストンとブレアが返事をする。
「よし、一気に王都にもどりましょうか。」
マイヤーの言葉に皆が頷き、速度を少し上げるのだった。
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