第1753話 終了。(夕食作ろう・・・作ろう?)
武雄が滞在している村のリツの住み家にて。
「あ~♪」
「グル?」
「あ。」
「グルゥ・・・」
「あ?」
「グルル!」
「あ・・・あーあ!」
「グル。」
ビエラとリツが夕食後に話し合っている。
「所長、湯浴み終わりました。
さっぱりしました。」
マイヤーが奥の部屋だった場所から戻ってくる。
「まぁ軽くシーツで区切って体をお湯で濡らしたタオルで拭くぐらいですけど、結構違いますよね。
次は?」
「じゃあ、所長、お先に使わせて貰います。」
オールストンが手を挙げる。
「構いませんよ、マイヤーさんが入っている間にちょっと熱めのお湯を入れておきましたよ。
使ってくださいね。」
「ありがとうございます、行ってきます。」
オールストンがお湯が入った鍋を持って仮湯浴み場に向かう。
ちなみにブレアは仮眠中。
「やはり野営でも体を拭くと気分が良いですね。」
マイヤーが武雄の対面に座りながら言ってくる。
「気分転換にはもってこいですね。」
「明日は王都に向けての移動ですが、やり残しはありますか?」
「特には。
主目的であるリツとは会えて引き出物も渡せましたしね。
欲を言えばここは元魔法刻印が出来る工房を集めた村なのですから関連文章とかを探したかったですね。」
「所長が・・・ではないですね。
ステノ技研用ですか?」
「ええ、私にはさっぱりな内容でしょうけど。
魔法刻印を使っている人達が見ればお宝となりうる物があるかもしれませんからね。」
「タケオ、私が探しておきましょうか?」
チビパナが武雄の肩に現れて言ってくる。
「そうですね・・・それらしい文章があれば朝までにそこら辺に置いておいてください。」
「わかりました。
ユウギリを借りても?」
「ええ、構いませんが・・・何をするんです?」
「現状、形を保っている建物内を調べて貰い、本が保管されている所を見つけておいて貰います。
やみくもに探すより効率的です。」
「わかりました。
夕霧は大丈夫ですか?」
「ん、問題ないです。
というより昼間の体液量産でアサギリ達が各廃屋を確認していますからすぐにわかります。」
「そういえば不要そうな物を吸収して良いと言いましたけど、何を吸収したんですか?」
「ん、主に家具です。
本はタケオが欲しがりそうなので除外してあります。
まぁ・・・そんなに数はなかったようですけど。」
「ふむ・・・夕霧も私の事がわかっている感じですね。
パナ。」
「はい、夕霧と本を回収してきます。」
「ん、ならスライム達に場所を再確認させます。」
夕霧がそう言いながらスライムを数体生み出す。
それを見ていた紫雲も同数を出し、建物外に行かせるのだった。
「ん、パナ、行きましょう。」
「え?もう?」
「ん、1つ目は近場から行きましょう。
着くまでに本の場所はわかるでしょう。」
「そうですか。
タケオ、行ってきます。」
パナが夕霧の肩に乗り換える。
「はーい、私はここでのんびりしてますからよろしく。
それと、どうしても欲しいという本ではないのでね。
廃屋が崩れそうだったり、魔物だったりが居たら帰ってきなさい。」
「リツ殿が居るのに近づいてくる魔物は居ないと思いますけど。」
マイヤーが呆れている。
「それもそうですが、万が一はあり得ます。
警戒を怠らずに行動してくださいね。」
「ん。」
「はい。」
夕霧が立ち上がり建物を出て行くのだった。
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課外授業の広場。
「はぁ・・・終わったねぇ。」
「はい、スミス様。
結局、スミス様が2体、ルーク様とコートニー様が2体、私が7体でしたが。」
「はぁ・・・2人で2体かぁ。
もう1体いけると思ったんだけどなぁ。」
「俺達でなら上出来だろう。
スミス様もジーナ殿も俺らも怪我がなくて良かったじゃないか。」
討伐組がゴブリンとの戦いを終え、広場に戻ってくる。
居残っていた生徒皆が注目する。
「よし!教師陣に挨拶して終わるぞ。
エルヴィス、ジーナ、ラックとマイヤーは報告までが討伐の研修だからな。」
「「「「はーい。」」」」
一同は教師達が居るテントに向かうのだった。
・・
・
「グレース殿下、戻りました。
ゴブリンは全滅しましたよ。
で・・・」
「う・・・うん!おかえりなさい!
割りと早かったわね。」
スミスは戻ってきた報告をするのだが、グレースは目を泳がせながら答えている。
手にはフライパンが。
「・・・イーデン、カイル・・・」
スミスが2人を見る。
「お、おう!スミス、戻ったんだな!
夕食はまだだぞ?」
「スミス達は討伐だったんだ、休んで待っていてください。」
イーデンはサラダの用意をカイルはスープを作っている。
「スープだけで良いのに・・・大丈夫だよね?」
「・・・」
イーデンが目線を逸らす。
「・・・嘘でも良いから大丈夫と言って欲しいかな。」
スミスが少し諦めた表情をさせるのだった。
「どこまで補正が出来そうですか?」
ジーナが顔と手を洗い、髪を後ろにまとめながらバウアーに聞いてくる。
「大丈夫です、スミス様とジーナ様のスープはカイル様が確保し、順調に出来ています。
殿下が作られているのは私達の分です。」
「・・・なんで2つも?
・・・なんとなく予想はつきますが・・・殿下がやる気になったのですか。」
「はい、殿下が率先して苦難を乗り越えようと言い出しまして。」
「はぁ・・・そうなんですか・・・
時にグレース殿下がフライパンを持っていますが?」
「離さないんです。
メインだからと言って。
克服してこその王家だとか申しまして・・・イーデン様もカイル様も引き留めたのですが。」
「ん~・・・昨日の協議でお付きは下準備、主達はメインの調理をするという話でまとまりましたが。
・・・殿下、昨日の失敗を繰り返さなければ良いのですが。」
「まだ大丈夫です!
食べれるものは作ります!」
バウアーが主の頑張りを肯定しようと頑張るのだった。
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