第1750話 武雄達の夕食。(エルヴィス家のマッタリ時間。)
武雄が滞在している村のリツの住み家にて。
「ふふ~ん♪」
「あ~♪」
「主、今日はパスタなんですね♪」
武雄がソースが入った鍋をかき混ぜている。
ビエラとビエラの頭に腹ばいになって乗っているミアが武雄の鍋を見ながら夕食を待っている。
夕霧は武雄の横で周囲から報告に来るスライムを吸収し、また生産して放している。
「所長、パスタがもうすぐ茹で上がります。」
ブレアが言ってくる。
「はい、こっちも問題ないですよ。
器の用意とパスタを入れる大き目の皿、食器類はさっき出しましたよね。」
「はい、軽く水で洗ってあります。」
「仮眠を取っている2人を起して夕食にしましょう。
ビエラ、そこで寝ている2人を起してください。」
「はい!
マイヤー!オールストン!夕食!」
ビエラが2人の下に走って揺すり始める。
「ん・・・ふぁぁ・・・所長、少し眠ってしまいましたか。」
「もう夕食ですか。」
マイヤーとオールストンがすぐに起きる。
「ええ、1時間程度ですけどね。
今日は重労働でしたから寝てもしかたないでしょう。」
武雄が答える。
「それは所長やブレアもですけどね。
食事の用意ありがとうございます。」
「いえいえ、まぁこの後は軽く体を拭いて早めに寝ましょう。」
マイヤーの言葉に武雄が笑いながら答える。
「リツ殿が居るので魔物も居ないですし、夕霧殿達のお陰で周辺の警戒もお願い出来る。
至れり尽くせりの旅でありがたいですね。」
「本当、野営が野営ではない感じですよ。」
オールストンとブレアも
「ん、タケオ、周辺は問題ないです。」
夕霧も答える。
「はい、夕霧もありがとう。
紫雲は・・・あ、戻ってきましたか。」
紫雲が建物の玄関付近に着地し、武雄達の下にピョンピョンと飛びながらやってくる。
「戻りました。」
「はい、ご苦労様です。
夕霧と情報の交換をしてから報告を聞きます。」
「はっ!」
夕霧の膝の上に乗っかり、紫雲の頭に夕霧が手を乗せ情報の交換を始める。
「ん、タケオ、イソカゼから昨日の夜に出したスライムの情報が来ています。
ジーナ達は順調に野営している感じです。」
「そうですか。
それは良かった。
お互いに戻った際には苦労話を聞いてあげましょうかね。」
「所長、皆の器にパスタを入れましたよ。」
「はいはーい、じゃあ、ソースかけますよ。
おかわりは自由、早い者勝ちです。
ビエラ、準備は!」
「問題ない!」
ビエラがフォークを順手に持って待機している。
「じゃ、今日は赤ワインでお肉を煮込んだソースですよ。」
武雄が皆の器にソースを入れていくのだった。
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エルヴィス家の客間。
夕食が終わりエルヴィス爺さんとアリス、彩雲、フレデリックとヴィクターは夕食後のティータイムをしていた。
「ふむ・・・朝方来たが、タケオの方は順調そうじゃの。」
「はい、特に今すぐ動かないといけないようなものはなかったですよね。
フレデリック、ヴィクターからは何かありますか?」
エルヴィス爺さんの言葉にアリスが頷きながらフレデリックとヴィクターを見る。
「エルヴィス家としてはまずはスミス様の購入に向けての下準備が出来そうで何よりです。」
「キタミザト家としてはすぐではありませんが、主が魔王国の王都に行きたい旨の要請をしておかないといけません。
なので、見積もりの返事もしくは発注依頼の際に書面でお願いする事を忘れないようにしないといけないかと思います。」
フレデリックとヴィクターが答える。
「そうですね。
ヴィクターは早々に依頼内容を記載した書面を用意しておいて、見える所に置いて確認してくださいね。」
「はい、奥様。
それと依頼が来る事を想定してなのですが、我が家に勤めている子供達とゴドウィン伯爵家に勤めている子供2名に親宛の手紙を書かせては如何でしょうか。
主が魔王国に行くとなればヴァレーリ陛下と会う可能性は高いと思います。
その際に渡せればやんわりと親元に渡してくれると思われます。」
ヴィクターが提案してくる。
「ふむ。
ヴィクターやアリス達のヴァレーリ陛下の印象を聞けば変な事には使わないと思うの。
・・・確かにいきなり子が居なくなれば動揺もする。
里帰りは当分先になってしまうが、無事の知らせはした方が良いのかもしれぬが・・・難しい判断じゃの。」
「親心からすれば無事の報告はなによりありがたいとは思いますが、向こうの民達が騒いでしまう可能性があります。
手紙という手段はまだ先の方が良いでしょう。」
エルヴィス爺さんとフレデリックが難色を示す。
「・・・なら、ヴァレーリ陛下かお会いした王軍の1軍指揮官に近状を報告してそこからそれとなく報告して貰えれば良いのではないですかね。
『生存を確認して、数日様子を伺った結果』とか言って貰えれば問題ないのではないですか?」
「ふむ・・・アリスの案を採用しようかの。
ウスターソースの小樽を前に送ったのじゃろう?
それをまた送って依頼してみるのが良いじゃろう。
あとは向こうで政情的に実施するかしないかは任せるしかないの。」
「はい、わかりました。」
「なら、いつ来ても良いようにゴドウィン伯爵家には現在の状況の報告をして貰うように依頼します。」
「うむ、ならこちらからも子供達の状況を向こうに知らせなくてはの。
包み隠さず、壺と皿の壊した数を教えるようにの。」
「はい、畏まりました。」
フレデリックが頷くのだった。
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