第1745話 穴掘り。(ドラゴン仕事する。)
「グルゥ。」
「グルル?」
ホワイトドラゴンとレッドドラゴンが両サイドに伏せ状態で魔力溜まりの端から中を見ている。
その目線の先では魔法陣の周り以外を武雄がストーンエイク+エクスを使い、1辺が10mでほぼ正方形、深さ10mの穴を作っていた。
「・・・所長、大丈夫ですか?」
マイヤーが穴の淵から聞いてくる。
「螺旋階段とまでは言えませんが、幅1.5m、奥行60cm、1段辺り20cmで階段作ったんでちゃんと上り下りが可能ですよ。
それに壁に掴まる手すりも完備!支えがあると穴の方には落ちませんからね。」
半ば呆れているマイヤーに武雄が言ってくる。
「いや、確かに上手く階段は作っていますけどね?
底は魔力溜まりになっていますか?」
「うん、大丈夫、なっていますよ。
オールストンさんとブレアさんの進捗は?」
「事前の説明通りに廃屋からいろいろかき集めてましたし、その後夕霧殿と紫雲殿の生み出したスライムと協力して準備中です。
まぁそこまで難しくはないようで難なく作業をしています。」
「うん、順調ですね。」
武雄がそう言いながら階段を登り上がってくる。
・・
・
「さて、マイヤーさん達にお願いしようかと思いましたが・・・やりたいの?」
武雄が2体のドラゴンに聞く。
「「グル。」」
ビエラとリツが頷く。
「夕霧、私達は退避しましょう。
紫雲は上空に一旦退避、それと周辺の変化を確認してください。
マイヤーさん達は万が一を考え抜刀し一緒に退避。」
「「「はい!」」」
「ん。」
「リツ、ビエラ、やり方は任せます。
魔法陣の直下、底から伸びている支柱を粉々にしてください。」
「「グル。」」
「ミア、ビエラ達が攻撃中、周囲の感知よろしく。」
「はい、主。」
「じゃあ・・・あっちの建物まで私達は行きます。
ビエラ、リツ、よろしく。」
武雄達が去っていく。
・・
・
武雄達が避難をしたのを2名が確認している。
「グル?」
「グルルゥ♪」
「グル・・・」
「グルゥ!」
「グル・・・」
リツがビエラの言葉にため息をついている。
そして・・・2体が一緒に炎ブレスと吹雪のブレスを穴に叩き込む。
穴に向かってブレスがされているのだが、穴から直上に壮大に竜巻状の火柱が登っている。
「おぉぉぉぉ・・・」
「グラグラ。」
「ドラゴン2体のブレスでの1点集中攻撃なんて初めて見ました。
それも近接での投射ですよ。」
「かぁ~・・・凄い。
これを見ただけでも王都で自慢できるな。」
「こんなに地響きがするなんて・・・穴の中は大変な事になっているでしょうね。」
ミア、夕霧、マイヤー、オールストン、ブレアが感想を言う。
「・・・階段壊れてないよね?」
武雄は振動で底に行く為の階段が壊れてないか心配している。
・・
・
ブレスの投射が終わり、2体のドラゴンが中を上から確認している。
「グルゥ♪」
ホワイトドラゴンが武雄達に顔を向け鳴く。
「主、ビエラが終わったと言っていますよ。」
ミアが言ってくる。
「よし、じゃあ、確認に行きますか。
夕霧、紫雲を降ろして今起きていた事を共有してください。」
「ん、その後はさっきの続きですか?」
夕霧が頷く。
「ええ、お願いします。
オールストンさんとブレアさんは作業と下に降ろす用意をしておいてください。」
「「了解です。」」
オールストンとブレアも頷く。
「さて・・・どうなっているか。
マイヤーさん、見に行きましょう。」
武雄がそう言うとマイヤーも付き従い、穴の方に向かう。
「あそこまで火に炙られるとどうなるのでしょうか?」
「高温で熱するのは陶器やガラスの作成、鉄鉱石の精製等で用いる方法ですね。」
「陶器と鉄・・・違うんじゃないですか?」
「そりゃあ、細々な内容は全然違うのですけどね。
室内を高温状態にさせ土を硬化させる、さらに温度を上昇させガラスの繊維のみを融解させる、もっと温度を上昇させ鉄鉱石を溶かす。
大元は高温を使うという所ですよ。」
「はぁ・・・まぁ言われればそうですけど。
今回は土をですから陶器みたいになっている可能性がありますね。」
「温度が高温過ぎてガラスとは言いませんが、壁に何かしら浮き出てきているかもしれませんね。」
「それはそれで新しい物質が出て来るという事でしょうか。」
「そうですね。
まぁ地層から何か出て来ても回収は困難ですけどね。」
とマイヤーと武雄が穴の縁に着く。
「確かに。
着きましたね。
階段は・・・無事のようですね。」
「そうですね。
ビエラ、リツ、ご苦労様です。」
「「グルゥ。」」
2体が軽く頷く。
「グルル。」
「主、ビエラが『たまにはブレスしないと忘れちゃうよね』とか軽口言ってますよ。」
ミアが言ってくる。
「そうですね。
エルヴィス領に居る時は成獣状態でブレスなんてほとんどさせていませんからね。
まぁ今後は定期的にブレスが出来る催し物でも考えますかね。」
「所長・・・絶対私達が大変な事になるようにしか考え付きませんが?」
「そんなわけないじゃないですか。
あ、そうだ、マイヤーさんの娘さんもドラゴンを気にしていましたし。
研究所の家族一同が会して触れ合いの場でも設けますか?」
「え?うちのがですか?
ん~・・・ビエラ殿なら問題ないのはわかるのですけど・・・
実際にドラゴンの前に立ったら泣き出すかもしれません。」
「そこはそれ、何か考えましょう。
実施企画長はアンダーセンさんで。」
「了解しました。」
研究所トップの2人は部下への仕事を用意するのだった。
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