第1742話 召喚ドラゴン!(引っ越しを話し合おう。)
「タケオ!おかわり!」
ビエラが武雄にお椀を出す。
「はいはい、今日は野菜ばかりですけど、ビエラ良く食べてますね。
好き嫌いしているとは言いませんが、今日は多いですね。」
「はい!今日は野菜、美味しい!
でも食べ応え、あり。
いつもこうなら、あり!」
「今日出したのはあくまでロールキャベツ擬きなんですけどね。
美味しそうに食べるのなら良いのかな?」
武雄はそう言いながらビエラにおかわりを渡す。
武雄は、出汁はいつもの簡易的な物で塩と香料でちょっと味付けし、トウガラシを少し入れて和風のスープを作り、干し肉をキャベツで包んだロールキャベツ擬きを作っていた。
作り始めた時に干し肉をみじん切りにしてみたのだが、ひき肉を使ったようなタネが出来なくて致し方なく干し肉をそのまま入れた、苦肉の策のロールキャベツだったのだ。
「干し肉がキャベツの中にあるというのは斬新ですね。
お肉もちょっと固いですけど、食べ応えあってこれはこれで良いですよ。」
「噛んだ瞬間に干し肉から出たちょっと塩気の多いスープがまたなんとも言えない美味しさですね。」
「これ、もっと長時間煮込んだら新しい料理になるんじゃないですかね?」
マイヤー達も好評なようだ。
「タケオ!」
ビエラが武雄にお椀を渡す。
「ビエラ、食べすぎですよ。」
そう言いながらも武雄はビエラのお椀を受け取っている。
と、その様子をリツは興味深そうに見ているのだが。
「グル・・・」
「あ~?」
リツの呟きにビエラが顔を向ける。
「グルルゥ。」
「ん~・・・あ~・・・」
「グル?」
「・・・あ!あ~。」
ビエラが何か閃いたようでパッと楽しそうな顔をさせる。
「ダメ。」
ミアが速攻難色を示す。
「あ~?」
「グルルゥ?」
「だって、その方法絶対誰もしてないような方法ですよね。
過去に実績あるのなら良いのですけど、ビエラ、その方法やったことあるんですか?」
「あ~・・・」
ビエラがそう言いながら考える。
「グルゥ?」
「あー!」
「大丈夫だと言い切れるのですか?」
「ミア、大丈夫!」
「グル!」
「どこからその自信が来るのですか・・・」
ミアが呆れる。
「ミア?」
「あ、主にも説得して貰いましょう。
リツが主の料理が食べたいので人化の魔法を使いたいそうなんです。
でビエラが『流石にリツにはまだ早いかなぁ、あれは600年程体が成長しないといけないからね』と言ったんです。」
「うん。」
「この後が問題で『クゥみたいに幼獣化するのは出来るんじゃない?』と軽く言ったんですよ。
なので、私は外敵から守る為にずんぐりしたチビドラゴンから成獣状態になるという規格外とも言える魔法はドラゴン達の経験で危険が取り除かれていると思っていますが、今回、ビエラがしようとしているのは逆、強い状態から弱い状態になるという事です。
こんなの普通ならしませんよ。」
「まぁ普通なら弱くなるなんてしませんね。」
「ですよね。
なので、ビエラが考え付いたとしてもそう易々とは出来ないと思うんですよ。」
「まぁ・・・そうですね。
ビエラ、やったことはありますか?」
「ない!でも大丈夫!」
「その根拠は?」
「知っている!聞く!やり方!
ん~・・・部下呼ぶ!」
「「部下?」」
「あ~・・・違った?
アリスとスミスの感じ!」
「姉弟ですね。」
「姉弟!」
「そんなにすぐに来てくれるのですか?」
「大丈夫!リツ、やるよ。」
「グルゥ。」
ビエラがそう言うとリツが頷く。
「ドラゴン呼ぶんですか?
主~、大丈夫ですかね?」
「わかりませんが・・・ビエラ、リツ、建物壊しては寝る所がなくなりますから外でしましょうか。」
「はい!」
「グル。」
ビエラが立つとリツも立ち上がり建物外に向かうのだった。
・・
・
ビエラとリツが外に出て大声で呼んだのだが。
「あ~?」
「グル?」
ビエラとリツが首を傾げる。
「この感じは来ない感じですね。」
武雄の頭の上に腹ばいになっているミアが言う。
「まぁ・・・夜だしね。
寝ているのかもしれません。」
武雄も空を見ながら言う。
「そうですね。
リツ、夕食は諦めた方が良いですよ。」
ミアがリツに言う。
「グル・・・」
リツが落胆する。
「ならとりあえず今日は諦めて、小さくなれたら遊びにくればいいのではないですか?
その時は料理を作りますから堪能してくださいね。」
「グルルゥ・・・」
「あ~・・・あ!」
「そうですね。
今は持ってきたワインでも飲んで紛らわすしかないですよ。
ビエラ、リツ、戻ってのんびりとしましょう。」
「はい。」
「グル・・・」
出てきた面々は建物内に戻っていくのだった。
・・
・
「まぁ追々やり方は学んでいくとして。
リツ、引っ越しするとかビエラに言ったのですか?」
武雄がリツに聞く。
「グル。」
リツが頷く。
「エルヴィス伯爵領に?」
「グルッ。」
リツが頷く。
「ふむ・・・どこに棲みかを設定するかですよね・・・
来ることについては伯爵と協議が必要なのですぐにとはいきません。
私はビエラやクゥが居ますので家族であるリツが引っ越せるように交渉を進める方向で動きます。」
「グル。」
「ただし、私達はミアや精霊達がいますので通訳を介しての会話は出来るので問題はないのですが、町や村に隣接させてしまうと無用な脅威を与えてしまいます。
ちょうど良い距離の場所を考えないといけないので街中ではないという事だけは了承してください。
まぁ、クゥのサイズにずっとなれるのであれば私が住んで居るエルヴィス伯爵邸というのも出来ますが、それにはまずは完璧に小さくなれていかなる時も小さくなれると証明して貰う必要があるでしょう。」
「グル。」
「じゃあ、ミア、ビエラ、リツから引っ越し先の条件を聞き出してください。
条件を元に最初の交渉をエルヴィス家としてみましょう。
全部が受け入れられる訳でもないですが、何個かは受け入れて貰えるでしょう。
絶対に譲れない条件もあれば聞き取りをしてください。」
「はい!」
「はーい。」
ビエラとミアが返事をするのだった。
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