第1741話 戦闘後の和気藹々。(一応、当分は出ないようです。)
村の端にある石造りの建物、先ほどまで戦闘をしていた魔力溜まりが発生している場所から一直線で来れる場所にあった。
その建物は外壁、屋根、柱、主要壁は残っているのだが、窓、扉そして木製の仕切壁はなくなり、1階は大きな1フロア状態だった。
リツはここを住み家にしている。
その1階玄関前。
マイヤー、オールストン、ブレアが先程の戦闘で残っていた死体を回収してきていた。
「ふむ・・・この死体は異様だな。」
「そうですね・・・少なくとも我々が知る生き物ではないですね。」
「決定的なのはこの部分・・・生殖器が見当たりませんし、我々が知る魔物でも人間種でもないですね。
あとでパナ殿にも検分して貰いましょうか。」
3人がリツが最後に倒した物の死体で首を捻っていた。
「それにしても月1回程度ああいった魔物が出るとは。
マイヤー殿、第2騎士団から連絡ありましたか?」
ブレアがマイヤーに聞いてくる。
「あるにはあったが・・・魔物とドラゴンが戦っていて、一方的に終わっているとしかなかった気がするな。
どんな魔物とかは遠目からは確認出来ていなかったのかもしれない。」
「遠目からだとオークやゴブリンばかりだったのか。」
「見た感じオークとゴブリンだったが・・・ん~・・・この死体がなぁ・・・
ミア殿が言っていたが、リツ殿は出て来るのが強そうなら完全に出て来る前に潰すそうだ。
オークとかは取りこぼしてもなんとも思っていないらしい。」
「効率が良さそうですが・・・毎回なのですか?」
「オークが大量にという時や強そうなのが数体だとか強いのも弱いのも一緒にだとか・・・まちまちらしい。
そして・・・面倒な時はここからブレスを出して吹き飛ばすそうだ。」
「あぁ・・・なるほど。
村の家々は朽ち果てていますけど・・・村の中、綺麗ですものね。」
「・・・面倒だからブレスって・・・そしてどんな威力なんですかね。」
ブレアとオールストンが呆れる。
「・・・経験しているのは所長ぐらいかな?
やるか?」
「「絶対嫌!」」
「だよなぁ。」
3人がドラゴン戦は割に合わないとため息をつくのだった。
一方の武雄達はというと建物の中で話し合いをしている。
「この前は挙式に来てくれてありがとうございました。
で、お礼の品です。」
武雄がリツの前にワインの樽を並べ始める。
「グルゥ?」
「主、リツが『こんなに?』と言っていますよ。」
「本当は大樽で持ってこようと思ったのですけど、リュックに内蔵させた大袋に入らなくてですね。
小分けで持って来ましたよ。
アリスと私の挙式で街の人達は喜んでくれたのでね。
その一役を買ってくれたリツには御礼をちゃんと渡さないといけないと思って持ってきただけですよ。」
「グルゥ、グル?
グルル。」
リツが頷く。
「主、リツが『遠慮なく貰います、でもお金かかるでしょう?村の中にあるのは私のではないけど随分な年月、誰も取りに来ないので好きなのを持って行って良いですよ』だそうです。」
「わかりました、あとで各家・・・というには崩れていますけど、廃屋を確認して持っていきます。」
「グルル。」
武雄の言葉にリツが頷く。
「タケオ、周囲の探索しました。」
夕霧と夕霧の肩に乗る紫雲がやってくる。
「はい、ご苦労様です。
どうでしたか?」
「ん、問題ない。
ドラゴンが居るので主だった魔物の生息も確認出来ませんでした。」
「主だった?」
「ん、狼、オーク、ゴブリン、オーガ・・・居ません。
ネズミは居ましたが、無視しています。
あとエルダースライムを数体確保しました。」
「・・・あれ?前にこの辺の捜索しましたよね?」
「ん、その時は発見はしていたけど向こうから何も言って来なかった面々。
今回は私が来て、ドラゴンが大人しいから接近してきました。
確保!説得済み!」
「はい、ご苦労様です。
という事は現在脅威はないという事ですね。
周辺探索の夕霧達の結果は上々ですね。
気配担当のミアはどうですか?」
「主、私も問題ないと思います。
ビエラは?」
「問題にゃい!」
「3人から問題ないと言われると確定ですね。
ん~・・・この場所で火を出して平気ですか?」
「グルゥ。」
武雄の問いかけにリツが頷く。
「主、平気みたいですよ。
燃える物ないしって言っています。」
ミアがリツの言葉を伝える。
「わかりました。
じゃあ、リツにはすみませんけど、この場所で野営の準備しましょうか。
まずは薪を持って来て焚き火と夕食の準備を始めますかね。
ミアと夕霧は私と一緒に薪拾いですね。
ビエラは久しぶりでしょうからね、リツと話でもしていなさい。」
「はい!」
ビエラが返事をする。
「あ、そうだ。
毛布を大量に買ってきたんですよ。
リツが地べたで寝ていると聞いたんでね。
とりあえず枕か何かに使ってください。
ビエラはリツの要望に応えて体に掛けるなら手伝ってくださいね。」
武雄はそう言ってリュックから毛布を取り出す。
「グルルゥ??」
リツが積み上がっていく毛布を見ながら首を傾げる。
「あ~♪」
「グル?」
「あ!あ~♪」
「グルル??」
「あ・・・あ~?」
「グル・・・グルルゥ。」
「あ!あ!」
「グルゥ?」
ビエラとリツが話をしている。
「ミア、何を話しているですか?」
「あ~・・・他愛無いドラゴン親子の会話ですね。
ビエラがベッドの快適さを説明しているんですけど、リツがわからないようでビエラがベッドの偉大さを教えています。」
「・・・うん、とりあえずビエラは私達の生活に満足しているというのは伝わってきます。」
「ビエラはふかふかなのが好きみたいですね。
王城のベッドが気にいったのでしょうか。」
「・・・帰ったらベッド買って良いですよ。
ミアはどうなのですか?」
「私はドールハウス内に毛布を何枚か重ねて置いていますからね。
そこそこふかふかにしています。
快適。快適。」
「いつの間にそんな事を・・・」
「コノハが自分用にと言って毛布を重ねて布で包んでいたんですよ。
えーっと・・・『しきふとん』とか言っていました。
私にも作ってくれたんです。」
「・・・寝具かぁ・・・
とりあえず、私達は薪を取ってきましょう。」
「はーい。」
武雄達が一旦外に出て行くのだった。
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