第1739話 武雄達は進む。(違う意味でテント大丈夫?)
リツが居る村を目指している武雄達。
「ん~・・・草の背が高くなってきましたね。」
「そうですね。
馬が行けない程度ではないですが。」
「それでも良く見ないと道から外れそうですね。」
「ちょっと速度は落ちますが、このまま行きましょう。」
先頭をオールストンとブレアが進みその後を武雄とマイヤー、ビエラが続いている。
「タケオ、声出したい。
ミア、あー?」
「はいはい、主、ビエラがリツに声をかけたいそうですよ。
大声出すよっと言っています。」
ビエラの方に乗るミアにビエラが声をかける。
「ふむ・・・マイヤーさん、あとどのくらいですかね。」
「半分は来ていると思いますが。」
「ビエラ、リツにあと1時間程度で着くと言ってください。」
武雄がビエラに言う。
「はい。
あーーーーーー!!!!!」
ビエラが大声で叫ぶ。
「「「・・・」」」
「・・・あ?」
ビエラがミアを見る。
「ドラゴンの耳はどんななんですか・・・
主、リツから『今手が離せないから勝手にどうぞ』だそうです。」
「はい、了解。
マイヤーさん、このまま行きましょう。」
「了解です。
オールストン、ブレア、気を抜かずに行くぞ。」
「「了解。」」
武雄達は草が生い茂る道を進むのだった。
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課外授業の広場。
「あーーー!上手くいかない!
なんでテントが上手く建たないの!?」
グレースが愚痴をこぼしている。
「ブル・・・こっちだよね?」
「そう言われましたよ。
で、こっちを支えて・・・バイロン、紐を引っ張ってください。」
「ああ、おりゃぁ!」
「バイロン!引っ張りすぎだ!
テントがこうも大変だとは!グレース殿下に早く休んで貰いたいのに!」
イーデンが怒る。
「それは皆一緒!イーデンこそ次から次にさっさとしないで皆と協調してやってださい。」
「やっているだろう。
皆も俺に合わせてくれ!」
「君のやり方はさっきしたでしょう?
今は私が指示をする番なんです。」
「絶対こっちの方があってるって!」
「君のやり方うんぬんではなく、今は私が指揮を執っているのです。
従ってください!」
「はぁ・・・イーデン、カイル落ちつきなよ。
まだ時間はたっぷりあるんだからもっと考えて建てようね。
えーっと・・・こういう時は最初に戻った方が早いんじゃないかな?
おーい、最初からやり直すよ。」
スミスがテントの設営概要を見ながら級友達に話しかけている。
「・・・はぁ・・・薪拾いも終わってしまいましたね。
次は何しましょうか。」
「あの・・・ジーナ様、手を出さないので?」
ジーナとバウアーが主達とそのお付き達、男子達の悪戦苦闘を見ながら次にやる事を考えている。
「スミス様以下男性陣がやると言ったのです。
温かく見守るのが私達女性の・・・」
「スミス!最初からやるの!?
ここまで来て!?」
グレースがスミスに抗議している。
「そうですよ、グレース殿下。
こういう混乱の時は最初に戻ってもう一度一から考えた方が結果早く出来ますよ。
各々にやっても成果が出ないというのは今の状態でわかっているでしょう?
ならやり方を根本からもう一度やるしかないのですよ。」
スミスが顔色を変えずに言ってくる。
「う・・・でもここまで頑張ったのに。」
「僕は頑張った事と成果が出る事は違うと思います。
テントが建たないのなら頑張り方が違うのです。
さ、元に戻しましょう。
イーデン、カイル、今度は僕が指揮を執るからね。」
スミスが冷静に皆に話している。
「ス・・・スミス、まだ時間はあるだろう?」
「そうですよ、まだこれから」
「さっきから同じことをしてばかりですし・・・今のままでは大して進まないように思いますけど・・・
一度、仕切り直しをしてお互いに頭を冷やした方が良いのでは?
まぁそれでダメならイーデンとカイルのやり方をもう一度すれば良いだけです。」
「う・・・まぁ、そうだが・・・カイル、すまん言い過ぎた。」
「イーデン、私の方も言い過ぎましたね。」
「はい、じゃあ、元に戻して。
最初から考えますよ。」
スミスがテントを建て始める。
「・・・すみません、ジーナ様。
グレース殿下は並みの女子ではないようでして。」
「いえ、グレース殿下は先頭を歩きたい方なのですね。
その気性は大事でしょう。」
「エルヴィス様が今度はテントを建てるのですね。」
「・・・ふむ・・・お茶の用意を始めましょうか。」
「ジーナ様、今回は上手く行くと?」
「スミス様もダメならあとは教員方立ち会いの下にやるしかないでしょう。
なので、お茶が出せる頃にはテントが出来上がっていると思われます。」
「それもそうですね。
なら私は水を貰ってきます。」
「あ、水なら私の精霊が出しますから。
バウアー様は焚き火の周りに置く石を集めてくれますか?」
ジーナ達が焚き火の用意を始めるのだった。
見守る会の面々は。
「ジーナ殿はのんびりと主人達の悪戦苦闘を見守るっと。」
コートニーが火の番をしながら横目でジーナ達を観察している。
「俺達の荷物は入れたぞ。」
ルークと男子生徒がテントから出てくる。
「こっちも焚き火の準備は終わったよ。」
「じゃあ私達の荷物を入れるか。」
「そうだね。」
「ルーク君達は寝具を借りてきて。
私達は荷物を入れたら調理器具の調達と夕食の話を教師達から聞いておくから。」
「了解した。」
「わかった。」
男子2人が去っていく。
「さて・・・貞操の危機が目の前にあるわよね。
これ食べる?」
「確か、話では効能は男子のみだったよね?」
「らしいという噂だよ。」
「流石に課外授業ではマズいんじゃない?」
「課外授業じゃなくてもマズいよ。」
「ふぅ・・・なら、コートニー預かりで。」
「「異議なし。」」
「え?私?」
「一番使いそうなのコートニーだし。」
「私は・・・そんな・・・物に頼らなくても・・・」
「なら、問題ないわね。
厳重管理で。
王都に戻ったらしかるべき所に売ろう。」
「「「そうだね。」」」
何も事件は起きなそうだ。
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