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第1726話 ラックのお店。4(迎えに来ましたよ。)

「ジーナ、何飲みますか?

 食べたい物があれば食べて良いですよ?」

武雄が隣に座るジーナにメニューを見せながら聞いてくる。

ちなみに肩掛けバックに入っていた磯風は夕霧の膝にちょこんと座っている。

「はい、えーっと・・・お茶をお願いします。

 食べ物は結構です。」

「フォレットさん、すみませんが。」

「はい、今お持ちします。」

フォレットが席を立つ。

「ジーナ、良くここがわかりましたね。」

「はい、ご主人様が飲んでいるとスライム(虫の知らせ)が来ました。

 なので、飲み過ぎていないか確認に来ました。」

「そうですか。

 ・・・そうですか。」

武雄がガックリとする。

「あ、それとここに来る途中、オルコット宰相様方に会いました。」

「うん!?オルコットと言う聞こえてはならない名が聞こえたぞ!?

 ん!?ジーナ?なぜここに居る?」

女性隊員と仲良く手を繋ぎながら機嫌良く話していたアズパール王がジーナが来ている事に今気が付く。

そこで店の扉が開きオルコットと執事達が入ってくる。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・オルコットぉぉ・・・」

アズパール王が固まる。

「いやぁ、貸し切りと書かれている店の扉を開けるのはなんとも言えない感覚ですね。

 ジーナ殿、少し遅れてしまいましたか?」

「いえ、私も今来たところでして、お茶を用意して頂いております。」

「そうでしたか。

 キタミザト殿、アラン殿のお相手と警護ありがとうございます。

 時間ですので回収に来ました。」

オルコットがアズパール王は無視してジーナと武雄に声をかける。

「オルコット宰相、勤務時間外のお仕事ご苦労様です。

 来てすぐに出て行かれるのもお店に失礼でしょう。

 皆さんもお茶の1杯は飲まれてはいかがでしょうか。

 今日はアランさんが奢ってくれるそうでして。」

「ほぉ、そうでしたか。

 そうですね、確かにすぐ出て行くのは外聞がよろしくないでしょうかね。

 皆さん、お茶を頂いてから帰りましょう。」

「「「はい。」」」

オルコットと執事達も席に座るのだった。

・・

「ふむ・・・やはり所長になった貴族家は費用が足りませんか。」

オルコットが武雄と話をしながら頷いている。

オルコットの手にはジーナが武雄と確認しながら軽く書いたキタミザト家の固定支出一覧の紙があった。

「ええ、現在、約金貨28枚分が赤字ですから。」

「ベルテ一家・・・原因はここでしょうけども・・・まぁここは致し方なかった事ですしね。

 子供メイド達の費用も・・・月々金貨1枚ですか・・・これはゆくゆくは増やさないといけませんね。」

「せめて金貨2枚・・・出来たらアスセナさんの分もですが金貨3枚にしてあげたいのです。」

「ん~・・・領地持ちは基本土地の収入があるので最初は厳しくともやり方によっては後々裕福になると見込んでいますし、貴族会議の方は各貴族に王都の土地や建物の管理を委託させて副収入に充てさせています。

 今回の研究所の2家は他貴族の領地でですからね。

 キタミザト殿は少し副収入はあってもアルダーソン殿の方は難しいですかね。」

「同格で同期ですから街に手を出し辛いかと思います。

 それに町の開発に2人の貴族が違った方から手を入れては後々不具合が出る事は今の段階からでもわかることです。」

「ん~・・・貴族報酬の方はいじくれないですね。

 これは全貴族が対象になります。

 なので爵位を上げる他ないです。」

「・・・なるほど。」

「まぁ、あとは研究所の方に追加予算を充てますかね。

 ちょうどアルダーソン殿からも足らないと言われています。

 前に3小隊に増設する案が陛下から伝達されていますよね?」

「はい。

 そちらに含まれる気ですか?」

「あと2小隊分の兵士の賃金のみの増額とはいきませんのである程度の雑費も含めての増額をさせて貰う見込みです。

 研究所の資金分配は所長の権限です、そこから所長費用を上手く捻出してください。

 素案自体は用意出来ていますが、これから王城で貴族会議を行い審議と修正を行う予定です。

 施行は来年度からとなるでしょう。

 それにしても・・・西側は数年後を見据えると早期の小隊結成と育成が望まれますからね。

 来年からでも遅い可能性すらありますが。」

オルコットが難しい顔をさせながら言う。

「なかなか全部を吐露出来ませんね。」

「はぁ・・・そうですね。

 さて・・・時間も経ちましたか。

 アラン殿、帰りますよ。」

オルコットが席を立つ。

「・・・うむ・・・なぜバレた?

 我付きの執事やメイドは非常時以外に行き先は言わないはずだが・・・」

アズパール王が座りながらも少し前のめりに座り、膝に肘を置き、口元で手を組みながら言う。

「確かにアラン殿付きの者達は口を割ってはおりません、投書が私の執務室にございました。

 アラン殿がこっそり抜け出したので念の為、後を付けたらこの店だったと。

 キタミザト殿とこの店の隊員達が一緒なので放置しても良いかもしれないが、迎えが必要だろうと。

 なので進言通り、時間を置いて迎えに来たのですよ。」

「・・・第三情報分隊長か。

 いつのまにかジーナが居たが、ジーナと示し合わせたのか?」

アズパール王がオルコットをジト目で見ながら言う。

「そう言えばそうですね。

 店の入り口からなら扉が開いたら音がするようにしているので誰か入って来たのはわかるんですけどね・・・」

ラックがアズパール王の言葉に首を傾げる。

「ジーナ殿は屋根伝いに走っておいででしたが、私を確認して降りて来られ少し打ち合わせをしたのみですね。

 先に入っているという事でしたが・・・

 ジーナ殿、正面の店の入り口から入らなかったのですか?」

「私は裏口から入りました。

 こういう店に私のような者が表から入るのは不自然でしょうから。」

ジーナが侵入方法を言ってくる。

「第二情報分隊長・・・裏口は鍵はしてないのか?」

アズパール王がラックに聞く。

「店の入り口は閉めませんが、裏口は閉めているんですよね。

 どうやって入ったのですか?」

「秘密です・・・まぁ訝しがられても何ですね。

 パラス。」

「はーい。

 私が潜入して裏口の鍵を開けました。」

パラスが実体化して答える。

「そうですか・・・精霊でしたか。」

ラックが「壁の向こうで実体化すればそれは開けられるよね」と諦めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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[気になる点] 「私は裏口から入りました。  こういう店に私のような者が表から入るのは不自然でしょうから。」 ジーナが侵入方法を言ってくる。 「第二情報分隊長・・・裏口は鍵はしてないのか?」 アズパー…
[気になる点] タ「あ、ラックさんこんにちは」 ラ「お久しぶりですね」 ジ「お久しぶりです」 タ「・・・ジーナさん?いつ来たの??」 ジ「今晩あたりご主人様が飲みそうだと(スライム通信から)聞いて」 …
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