第1723話 ラックのお店。1(行き先がバレていた。)
夕方ラックの店。
「いらっしゃいませ、キタミザト殿。」
武雄達が入ってくると着飾っているフォレットが出迎える。
「時間より少し早いですが、大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません。
・・・お連れ様ももういらしています。」
フォレットが最後悲しい顔をさせて言ってくる。
「お連れ?」
武雄がその言葉でマイヤー達を見ると3人共首を振っている。
「ビエラと夕霧も知らないでしょうし・・・ん~・・・席に行けばわかるか。」
「では、どうぞこちらに。」
フォレットが先導して武雄達を案内するのだった。
・・
・
「タケオ、遅かったな♪」
アズパール王が居た。
「はぁ・・・・・・アランさん、どうしてこちらに?」
武雄が深いため息をついてからアズパール王に聞く。
「ん?タケオが昨日エイミー達に夕食を食べさせてから我に会いにこないからな。
我から出向いた!」
「理由はわかりました。
避けていたのも執事さん達が協力してくれてですけどね。
数日経てば追及されないかと思ったからですよ。」
「うむ、わかっておる、1日経てば我とて米が食べられなかった事への恨みは薄まっておるわ。
で・・・タケオ、米は手に入らんか?」
「現状、他領に卸すのは難しいでしょうね。
今作付けしていますけど、収穫量があまり多くはないですね。
作付け農家が増えない事にはなんとも出来ませんよ。
早くて来年の収穫後でしょうね。」
武雄が観念してアズパール王の横に座る。
それと同時にマイヤー達も座る。
「そうかぁ・・・ん~・・・エルヴィス伯爵の所に行けば食べられるか?」
「そうですね。
普及の為に料理の研究はしていますから多くはないですけど、事前にわかっているならばと言っておきましょう。
オルコット宰相に許可貰ってくださいね。」
「わかっている。
だが、なんとか出来るという希望があれば良いのだ。」
「ま、お待ちしております。
で、ここに来たの許可取っていますよね?」
「ん?・・・よし!今日は無礼講だ。
ここの払いは我がしよう。」
アズパール王が目を逸らせながら言う。
「言質取りました!
ラックさん!」
武雄が即座に動く。
「はい!了解です!
秘蔵の酒をすぐに出します!
娘っ子共アランさんに率先してお酌して差し上げなさい!
お前達も飲んで良いぞ!」
「「「はーい、お父さん!」」」
ラックが女性達を呼んで配置に付かせる。
「待て待て待て!この人数は我の小遣いが・・・」
「陛下♪ありがとうございます♪」
「部下の労いに来て頂けるなんてありがたいです♪
ささ、陛下、軽くですがお作りしました。
確かロックがお好みとお聞きしています。」
「さ、今日は仕事の事は気にせずに♪」
陛下の両隣に陣取った女性2人がいつの間にかウォルトウィスキーでロックを作りアズパール王に勧める。
「う・・・そ、そうだな。
今日は気にせずに飲もうかな?」
「陛下♪私達も飲んでよろしいですか?」
「陛下が来るとあって喉が少し乾いているんです♪」
「それは悪い事をしたな。
お前達も好きなの飲んで良いからな?」
「「はい♪陛下♪」」
すっかり女性のペースにはまり出す。
「あ~・・・フォレットさん、私は水割りで少し水多めで。」
武雄がアズパール王に対する猛攻と陥落を見ながらフォレットに注文する。
「はい。
陛下、久しぶりの飲みなんですかね?
もうペース握られてますよ?」
フォレットが呆れながらも武雄の水割りを作りながら言ってくる。
「まぁ王城内ではああいった甘えてくる人居ないでしょう?
いつも親父共との飲みで久しぶりに女の子達に囲まれればああもなりますよ。」
「そういうものですかね。
キタミザト殿、出来ました。」
「はい、ありがとうございます。
フォレットさんは何を?」
「私は勝手に作りますよ。
今日は陛下の奢りですからね。
いつもは飲めない種類の酒を飲んでみようかと。」
「あ・・・ブランデーなら最初は口に含む程度が良いですよ。
高級酒って合わない人には合わないですし。」
「そうなんですか?
なら開けちゃうとマズいですかね。」
「開けた後ならマイヤーさん達に注いじゃえば良いんじゃないですかね?
アランさんの奢りですし、安い酒ばかりでも悪いでしょう?」
「そうですね。
なら・・・店長!あの棚の真ん中のください!」
フォレットがカウンターにいるラックに声をかけると。
「何!?この幻の酒をか・・・よし!俺も1口飲ませてくれ!
今持っていく!」
遠くから悲鳴とも怒号ともつかないラックの声がする。
「ん?マイヤーさん達はリラックスしていますね。」
「まぁ、元部下達ですし。
改まって甘えられても。」
「「同じく~。」」
「隊長と副官ですし。
気軽に人生相談的な感じです。」
「私達もあまり元上官に甘えるのも拒否反応が。」
マイヤー達3人と横についている女性隊員は普通に飲みの感じで飲んでいる。
「私もアニータ達にされても怖いとしか思いませんかね。
こっちはこっちで飲んで居ましょうか。
予定外のアランさんの方は楽しませれば良いでしょう。
まぁ隊員達なら問題も起きないでしょうし。」
「「そうですねぇ~。」」
「さて・・・酒もさることながらツマミは何を頼もうかな。」
武雄がメニューを見ながら我関せずに飲み始めるのだった。
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