第1717話 第八兵舎。(フォレット特別待遇。)
「フォレットさんならいつでも来て良いですよ?」
「え?良いのですか?」
「旅をした仲ですからね~。
まぁ採用権はアンダーセンさんに預けているのでそこが『うん』と言ってくれればとなりますけど。
問題ないんじゃないですか?
あ~・・・それともし計画外で子供が出来て王都守備隊に居れられなくなったらうちに来なさいね。
ブルックさんと共に子育てして良いですから。」
「・・・ブルック殿にその兆候が?」
フォレットが驚きながら聞く。
「ぜんぜん、まったく。
結婚するより今の生活が楽しいようでね。
楽しそうに毎日仕事をしていますよ。
それとブルックさんにも結婚したら試験小隊を辞めないといけないという事は事前に確認していますけど、私の部下として配置転換で他の事させる気でいますし、フォレットさんも子供が出来たら武官ではないですけど、何かさせますから来なさい。
バートさんは王都守備隊から引っこ抜いてこっちで仕事して貰いますけどね。」
「あはは、私達安泰ですね。」
「まぁ王都で過ごしたいのであれば無理に来る事もないでしょうけどね。
王都でいろいろとするのも楽しそうですし、来る権利は渡して置きます。」
「ありがとうございます、キタミザト子爵様。
ちなみに数年後の応募を考えていますが、何か必要ですか?」
「うん?・・・騎士章持ちは優先的に雇用します。
あとは新しく来た人員の伝手と意見を以て応募者を見ます。
人脈を途絶えさせたくないのでね。
それと魔法師専門学院で面白そうな子が居たら情報を取っておいてください。」
「ん~・・・確かキタミザト殿の今年の新人に魔力量が破格の子を取ったという噂がありましたね。」
「あー、コーエンさんですね。
魔力量が2500以上を持っているのですが発動に時間がかかって順位が下から数えた方が・・・と言う状況で本人打ちひしがれていたんですよ。
でも・・・まぁアンダーセンさん達に言わせれば『特に問題はないですよ?』とか言って鍛えていますけどね。」
「んん~・・・あの面子なら言いかねませんし、何をやらせている事やら・・・
その子が潰れないで欲しいですね。」
「大丈夫だと思いますけどね。
今はアニータ達と一緒にエルヴィス家の新人小隊に研修に行っています。」
「あ~・・・新人訓練ですか、2か月くらいは必要でしょうね。
基本は走って歩いて走って走ってですから。」
「走ってばかりなのですね。」
「どこも変わらないと思いますよ?
時間厳守と隊列行動、命令厳守を教えるんですから。」
「フォレットさんの最初の任官場所は?」
「第2騎士団です。」
「ふむ・・・地方と王都では違いますかね?」
「さぁ・・・でも他の兵士達から聞いた限りでは程度の差はありますけど、似たような感じらしいですよ。
まぁ地方は現地採用組と一緒にするとか言っていましたけど、どの部隊でも最初は規律の訓練だと思いますね。
魔法師専門学院卒業生はその後、魔法師部隊に基本所属しますから本当に最初だけ一緒のようです。
まぁほぼ全員が魔法師専門学院卒業生の王都の騎士団はちょっと内容が違うのかもしれませんけど。」
「ふーん・・・アンダーセンさんに言ってエルヴィス家の兵士の訓練内容を見て貰おうかなぁ。」
武雄が悩みながら呟く。
「あのエルヴィス家のですか?
ここだけの話、エルヴィス家出身の騎士団員は他領からのと比べると、受け答えもしっかりとしていて、報告事項も簡潔でまとまっているという噂が流れるほどしっかりとしているらしいですよ?
やはり最前線勤務は大変なんですかね?」
「少なくとも前線で定期的に襲撃もされてますしね。
兵士長も皆が生き残るにはと知恵を振り絞って徹底的に鍛えていますし、私とアリスが気まぐれで皆を薙ぎ払いますから。」
「・・・流石最前線ですね。
あ、回復戦法、王都守備隊も何とか出来るようになりましたよ。
あと第1騎士団もやり始めましたね。
まぁまだまだ聞いた限りではエルヴィス家の方々には及ばないかもしれませんけど。」
「兵士長が考えたのが王都守備隊と第1騎士団で採用されたと聞いたら喜ぶでしょうかね。」
「はは、こんな事で喜んでくれたのなら良いんですけど。
報告書を見ると最初全力で魔法を相手に叩き込み、その後回復役に徹する。
他領なら攻撃力として用意される魔法師を完全に回復役に回すなんて・・・普通なら決断できませんよ。
最前線の指揮官は凄いですね。」
「数も少ないですからね。」
「あぁ・・・そうですね。」
武雄の言葉にフォレットが頷くのだった。
「おや?フォレット?」
マイヤー達が紙を持って食堂にやってくる。
「あれ?お三方。
お疲れ様です。」
「フォレット、少し凛々しくなったかな?」
「バートと何か進展したか?」
ブレアとオールストンがフォレットに話しかける。
「ははは、進展しまくってますよ!
休日が合わないんで自己磨きに勤しんでばかりですけど!」
「ははは、まぁ新人が入ってきているんだろう?
そこが落ち着けば休みも合わせられるさ。」
オールストンがフォレットの言葉に笑って答える。
「それは・・・まぁわかっているんですけど。
でもこの忙しさの一端は皆さんにあるんですけど!」
「ほぉ、所長に文句を言うとは。
フォレットも大物になったな!」
「あ、キタミザト殿、違いますよ?
今後ともよろしくお願いします♪」
フォレットがにこやかに言ってくる。
「私もそう思っているんですから問題ないですよ。
ただ、わかっていてさらに引き抜く気でいますけどね!」
武雄が良い笑顔をフォレットに向けるのだった。
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