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第1711話 専売局に行ってみたら。2(国内外での輸出入の話。)

「では、近日中に経済局と専売局で打ち合わせを実施して結果をお知らせします。」

「見積もり待っていますね。

 のちのち多めに頼むとは思います。

 魔王国にも売りたいんでね。」

「「ん?」」

2人が武雄を見る。

「なんでしょう?」

「その・・・キタミザト殿、魔王国に輸出されるのですか?」

経済局長が少し驚きながら聞いてくる。

「はい、配合は教える気はありませんが、鋼材を売ってはいけないなんてありませんよね?

 言われた記憶もありませんし。」

「まぁ・・・ありませんけども。

 なぜにですか?」

専売局長が言ってくる。

「キタミザト家は対魔王国向けの輸出をエルヴィス家から請け負っていますからね。

 意匠系の鋼材があれば向こうに売り込みが出来るかもしれないと考えています。

 それに向こうとの鋼材が手に入る販路が確立出来るかもしれません。

 この国にはなくて向こうにはある鋼材があっても不思議ではないでしょう?

 それに魔王国内にドワーフも居るかもしれません。

 黄銅を見てお返しにもっと面白い合金を紹介して貰えても不思議ではありません。」

「・・・キタミザト殿、黄銅をいくらか輸出用に用意します。

 その情報、取ってきてください。」

専売局長の目が本気になっている。

「まぁそれは粛々としてきます。」

「我が国が鋼材の輸出が出来る可能性があるとは・・・合金というのは対外貨幣の確保に役立ちそうですね。

 それにしても輸入ばかりでしたので考えてもみませんでした。」

経済局長が感心しながら言ってくる。

「まぁ、黄銅は向こうにもあるかもしれませんけどね。

 それに向こうにあったとしてもこちらよりも輸送料込みで安かったら素材を輸入して、加工品を輸出するという手段もあります。

 出来るだけ他国にない商品を作り、それをどれだけ安く用意出来るのかで競争力が付くと思いますが。

 カトランダ帝国やウィリプ連合国でも穀物であろうが工業品であろうが商売の基本は物を安く作り、付加価値を乗せて販売するですからね。」

「塩やパイプだって要は原材料を生産し、各領地向けに精製して売り出している。

 私達も大元ではそういう考えですものね。」

武雄の言葉に専売局長が考えながら言う。

「クリフ殿下やキタミザト殿がしているウスターソースもそうですね。」

「ウスターソース。

 経済局長、クリフ殿下の方の話は何か聞いていますか?」

「ん~・・・若干、野菜不足が懸念されているようなされてないような・・・全体的には順調だとは聞いています。

 あ、それと今まで輸出入をしていなかったカトランダ帝国からウスターソースの輸出の依頼があったそうです。

 ね、専売局長。」

「はい、その話を聞いたので、私達は逆に鋼材を少量で良いのでカトランダ帝国からも輸入できないか依頼をかけました。

 現状ではドワーフ王国からのみですのでね。

 何かあった際は供給が難しくなりますし。」

専売局長が言ってくる。

「前から思っていたのですが、ドワーフの王国ってそんなに埋蔵量があるのですか?

 もうずいぶん昔から輸入していると聞いていますが。」

「埋蔵量は確認出来ていませんが、供給量は変わらずに価格もほぼ変わらず提供頂いています。

 価格と流通量を考えるにまだまだ埋蔵量はあると思って問題ないと考えています。

 まぁ噂では北側の山全部に坑道が張り巡らされていると言われていますけどね。

 私達の方でも数年に1度交渉をしに行くんですが、中までは見せて貰っていないのです。

 表層というか洞窟に入ったすぐの所に貴賓室というか応接室があってそこまでなのです。」

「専売局長が行かれるのですか?」

「外交局と一緒に担当官が数量を決めに行っていますよ。

 私は若かりし頃に行っただけですね。

 ただ・・・今後の事を考えれば価格が高くなる可能性もありますかね。」

「供給だけを考えれば魔王国からも少量の輸入が出来るかの確認が必要ですかね。」

「そうですね・・・

 うん、とりあえずキタミザト殿、希少な金属もですが、通常の鉄や銅、金、銀等の貨幣の材料が輸入出来るかの確認をして貰ってもよろしいですか?」

「わかりました。

 ま、急ぎではないでしょうから戻ってから依頼をします。」

「ええ、まぁ戦争をしている相手なので、何かあれば供給が止められるかもしれませんけどね。

 カトランダ帝国もですが、少量の供給相手としてまずは交渉出来ればと思います。」

「わかりました。

 そう言えば経済局長、ライ麦と言うのは?」

「はい、これをキタミザト家に聞くのは違うとは思うのですけど、エルヴィス伯爵領内でライ麦の生産を増やせますか?」

「ん~・・・実態はエルヴィス伯爵にお聞きして頂かないといけませんが、少なくとも今年の種まきの際にはウォルトウィスキーや麦茶の生産と他領への輸出のおかげで作付けを増やすそうですよ。

 ちなみにウォルトウィスキーは増産が決定しています。」

「確か・・・ライ麦から作った新種の酒でしたね。

 私の口にはまだ入っていませんが、陛下達が『欲しい欲しい』と叫んでいますからね。

 相当美味しいのでしょうなぁ。

 そうですか、増産傾向にあるのですね。」

「生産量が足らないのですか?」

「いや・・・朝、王城内にいらっしゃったエイミー殿下にお聞きしたのですが、レシピ本の計画があるそうで麦茶の作り方も載せて貰おうかと考えているのです。

 子供は将来を担う大事な宝です。

 妊婦の体調に良いという飲み物や食べ物も載せて頂きたいのです。

 出来れば経済局と大口契約を結んで数年・・・いや十数年でも良いのですけど。

 定数を買い付けする事を確約して作付けして貰いたいという考えを示しても良いのかどうか・・・」

経済局長が難しい顔をさせながら言う。

「それも1つの手ではありますが。

 カトランダ帝国方面や王都周辺の貴族領でも作られているのですよね?」

「作ってはいるのですが・・・ですが、入手が・・・率直に言えば麦茶に懐疑的で増産には消極的ですね。

 一応クリフ殿下とニール殿下には卸すとは報告はあるのですが、他領に積極的に大量に卸せるぐらいの政策をしているのはエルヴィス伯爵領しかありません。」

経済局長が苦々しく言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] >のちのち多めに頼むとは思います。 魔王国にも売りたいんでね。」 黄銅・真鍮を見た、ドワーフが何を思うか? 世間一般に流布されている、ドワーフという種族であれば、 自分たちで、再現を試行…
[一言] タケオちゃんが絡むと話がより大きくなりますな。
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