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第1710話 専売局に行ってみたら。1(ご依頼品をお持ちしました。)

王城内の専売局の局長室。

「あ~♪」

「あま~い♪

 夕霧、ここまで甘いのはそうそうないですよ?

 美味しいでしょう?」

「なるほど・・・甘みと言うのが多いというのはこういう事ですか。

 これはこれで美味しいと評するのですね。」

ビエラ、ミア、夕霧が出されたスイーツを堪能していた。

ちなみに人事局に行った際は武雄達の会議がすぐに始まった為、朝寝をして我関せずで通していた。

「ははは、人事局では相当絞られたようですね。

今日のスイーツはキタミザト殿が来てくれるという事で高めのを買って来させましたよ。」

専売局長がスイーツを食べながら言う。

「他部署に来るとスイーツが美味しくて・・・羨ましい限りです。」

同席している経済局長が食べながら言ってくる。

「なぜ人事局の事を知っているのですか?」

「うん?うちの者がたまたまキタミザト殿が向こうに居る時にお邪魔してましたからね。

 ちょっと上の同期同士の雑談で局長達とキタミザト殿がやりあっていると報告がね。

 『次はうちに来るかな?』と思ってスイーツを買いに行かせていました。」

専売局長が笑いながら言う。

「で・・・経済局長は?」

「あ、私はついでですよ。

 ライ麦の件でして、キタミザト殿にご意見を頂ければと。

 専売局長の後で結構ですよ。」

「そうですか・・・ライ麦というのがちょっと怖いですけど・・・

 まずは、専売局長、頼まれていた試作品が出来ましたのでお納めください。」

武雄がリュックから取り出して専売局長の前に置く。

「お、さっそくですね。

 えーっと・・・リストもあるのですね。

 数が・・・うん、リストと同じ数ですね。

 担当に回しましょう。」

専売局長が頷き、試作品を傍らに置く。

「こちらがキタミザト家より提案する新配合です。」

武雄が試作品を専売局長の前に置く。

「え・・・そっちもしたのですか?

 えーっと・・・黄銅?・・・金色ですが・・・あ、加工したのも付けてくれたのですか。

 これは扉のノブですか?・・・」

「へぇ・・・面白い物が出来たのですね。」

専売局長がリストと黄銅のドアノブを持ち上げ確認している横で経済局長が物珍しそうに見ている。

「要は割と安価に出来て精製も楽で装飾的に見栄えが良く、割と柔らかいので加工もしやすいという金属になります。」

「柔らかい・・・ですか?」

「ええ、加工が割と自由なんですよ。

 作り手に取っては自由度があるといろいろと客先の要望に応えられますからね。

 また鉄のように回収して溶かせば再利用も出来ます。」

「ほぉ。」

「なるほど~。」

経済局長と専売局長がドアノブを見ながら武雄の話を聞いている。

「見栄えが金に似ているので建具への利用を促せます。

 金には及びませんが、少し見栄を張りたい方向けですかね。

 人は同一の物を発注しても少し他人と違う物を入れたがりますからね。」

「ふむ・・・対人の商店や庁舎には売り込みしやすそうですね。」

「重さも金とは比較にならないくらい軽いので馬車工房とかにも売り込めそうです。

 いや、傷つけても問題ないとなると一般家庭の家具にも波及出来るかも知れません。

 問題はどうやって普及させるか・・・キタミザト殿、どうしますか?」

専売局長が聞いてくる。

「・・・とりあえず100㎏注文します。

 協力工房に家具工房がありますからね。

 細工が得意な職人を紹介して貰ってドアノブ関連の商品を作って貰いましょうかね。

 ご依頼いただければ送付しますよ?」

武雄がさっそく注文をする。

「この材料をお作りになった時点で注文をする予定でしたか・・・ご滞在の間に価格のご提示をさせて貰います。

 その後、正式に発注をお願いします。

 ですが、流通価格を抑える為に相応の流通量が必要になるでしょうけども・・・その為には国内で認知度を高める必要がありますね。

 どういう政策が良いと思いますか?」

専売局長が聞いてくる。

「そうですね・・・経済局長と専売局長で国内各貴族に黄銅の紹介と試作品の提供、初回なので10kg程度を割引価格での提供を実施して・・・数か月後に王都で品評会をされてはいかがでしょうか?」

「品評会・・・ん~・・・単一のお題目が必要ですね。

 題材はどうされますか?」

「扉一式です。

 そこの扉と同じ寸法で枠と扉一式をどう飾り付けするか。

 局員のみならず各組合等々にも品評に参加して貰って、機能と意匠を確認する。

 投票を実施し、優秀賞や経済局長賞、専売局長賞等々を皆に配ればやる気になるでしょう。

 そして・・・毎年か2年毎に開けば工房のやる気が増すという物です。」

「ふむ・・・初回は良いですが、2回目以降では盗作したという輩が出かねませんね。

 その辺りは?」

「別に・・・何も思いません。

 この国は広いとは言え、ほぼ同一文化ですよ?

 思想が同じなのですから、意匠が被るなんてあって当たり前ですよ。

 他人の作品が盗作だ、自分の所が本物だと喚いたところで・・・意味あるんですかね?

 まぁ実際に盗作したとして、もしその作品で賞を貰うと同等の意匠を依頼されるのですよ?

 『出品はしましたが製作出来ません』なんて恥ずかしいとは思わないんですかね?

 まぁ・・・対策としては同一の意匠を複数個作るように言っておけば良いだけですよ。

 賞を貰う為だけの工房に未来はありません。

 そんな工房は領民から見放されます。」

武雄が苦笑しながら言う。

「確かに。

 それに扉の細工ですか・・・黄銅だけでなく、木への細工も見れるとなると。

 その工房の地力がわかるという物でしょう。」

経済局長が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 盗品ではなく盗作なのだから同じ物は作れると思うけど? 盗作ってデザインや技術のような非物質的なのも含むからなぁ
[一言] 今更だけどミアとかスイートポテトとか喜びそう……かな??
[一言] タケオが参加することで各省が加速的に動くっと。 残念王がまだいるがあとまわしっと。 ふふふ王宮の執事長、メイド長、料理長以下すべてタケオに胃袋つかまれていますので王家よりも忠誠心高いはず。
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