第1702話 事前の打ち合わせ。(エイミーの調査報告。)
先程までの宿舎の話を武雄達はしていた。
「え?・・・タケオさん、キティと会ったのですか?」
「はい、会いましたよ。
礼儀正しい子でしたね。」
「エルヴィス家に入りたい生徒さんですよね。
エイミー殿下が調べてくれましたよね。」
スミスが言う。
「ええ、スミスとジーナに依頼されて人事局で調べられる内容は送ったけど・・・
タケオさん、面接するの?」
「はい、エルヴィス家より依頼を貰っているので・・・あ~・・・ついでにスミス坊ちゃんも立ち会いましょうか。」
「僕ですか?
上級生の面接に?」
「ええ、次期当主ですからね。
年齢も近いですから長年に渡りスミス坊ちゃんの命令で動く人材です。
基本は私が質疑書に沿って質問するので、スミス坊ちゃんは横に居て観察していれば良いだけですよ。」
「はぁ・・・でも僕達課外授業で戻りは14日ですよ?」
「なら戻ってからしましょうか。
王立学院と人事局には私の方から説明して日程の調整をしておきます。
ジーナは書記で参加ですね。」
「「わかりました。」」
武雄はスミスにそう話しながら懐から紙を出してエイミーの前に置く。
「・・・で・・・タケオさん、その紙をこっちに渡す意味は?」
エイミーが「見たくないなぁ」という顔をさせながら武雄に聞く。
「質疑書の内容です。
いきなり呼び出して、その中身を聞くのは可哀想ですよ。
どういった内容が聞かれるかは知っておいた方がしっかりとした受け答えが出来るでしょうからね。」
「・・・それって良いんですか?」
「逆にエルヴィス家からは事前に教えてはダメと言われていませんからね。
しっかりと考えて貰い、ちゃんと自身の考えを私達に教えてくれる事が重要でしょう。
なので・・・まぁ積極的に教えてもいけないのかもしれませんから・・・キティさんがエイミー殿下に聞きに来たら教えて良いとしますか。」
「ん~・・・私はそれでも良いですけどね。
中身は・・・普通ですね。」
エイミーが紙の内容を見て呟く。
「突拍子もない事は聞きませんよ。
エイミーさんだって実家の採用に関係するなら同じような内容を聞くでしょう?」
「まぁそうですね。
そういえばキティの父親は外交局の対外戦略部所属でしたね。
タケオさん的には問題ないのですか?」
「特に何も。
父親が要職についているから子が何かするという訳ではないでしょうからね。
そんな事を言ったら研究所の面々は凄い役職の人達ばかりですし。」
「あぁ、そうでした。
ならこの件はキティが聞いてきたらにします。」
エイミーが頷くのだった。
「あ、そうだ。
タケオさん、鉛筆の販売はダメでした。
すみません、お役に立てませんでした。」
エイミーが申し訳なさそうに報告してくる。
「?・・・ハワース商会からは王都から大量注文が来たと涙を流しながら喜んでいましたよ。」
武雄が首を傾げる。
「あ~・・・それは王城からですよね。
雑貨屋とか巡ったんですけど販売してくれる所がなかったんです。
なので寄宿舎も宿舎も人事局からの購入となっています。」
「なるほど・・・まぁ売り先が多様にあるよりも今は大量に売れた事に喜んだ方が良いのでしょうね。
王立学院での評判はどうですか?」
「そうですね・・・
あ、そうだ、宿舎の方で鉛筆の販売のとりまとめはキティがしていますよ。」
「そうでしたか。
文具を1つだけでもとりまとめるのは大変でしょう、あの子も苦労していますね。」
「ええ、宿舎のそう言った話はキティが処理してくれますよ。
それで売り上げですけど、キティとの話では宿舎ではそこそこ売れていますね。
寄宿舎では皆がそれなりに使っていると思われる量が売れました。
私も授業で使う分については鉛筆に乗り換えています。
ジーナ、1年はどう?」
「はい、寄宿舎に居る人員は使いやすさと間違えたら消せるという利点で使っています。
宿舎の方はわかりませんが、教室内での使用率は3割から4割と思われます。」
「うん、そうですか。
・・・確か人事局からは鉛筆は300セットの6000本の注文でしたよね・・・
分割での納入だし全数王立学院に回すとも思えないから・・・少数が試し買いをしたのかな?
まだ売り出して間もないからこれから増える可能性もありますね。
スミス坊ちゃん、ジーナ、エイミーさん、使い心地はどうですか?」
武雄が3人に聞く。
「僕は問題ないですよ。
消せるとわかっているので少し乱雑に書いても平気ですから重宝しています。」
「私も問題ありません。」
「私は短くなった時の持ち方が大変だと思ったわ。
タケオさん、何か対策ありますか?」
「鉛筆キャップか何か作りますか。
ちょっとそれは戻ってから考えます。
当分は短くなったら買い替えるか、保管しておいてください。」
「はい、わかりました。」
エイミーが頷く。
「そういえばエイミーさんのご実家の景気はどうですか?」
「おかげさまで良いですよ。
大豆も生産量を増やせそうだと言っていますからね。
大豆関係は街中に浸透してきているようです。」
「こっちにもお願いしますね。」
「わかっています。
ところでタケオさん、小豆はどうですか?」
「ん~?」
武雄が笑いながら首を傾げる。
「いや、『ん~?』と首を傾げられても。
では・・・もっと買いませんか?
値引き頑張りますよ?」
「・・・じゃあ500kg頼みましょうかね。」
武雄がにこやかに言う。
「ご・・・500kg?
タケオさん!何に使っているんですか!?」
「ん~?」
「それ今したばかりです!」
エイミーが武雄に詰め寄るのだった。
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