第1701話 将来は米も衣服もなにもかもが足らないかも。(まだまだ想定中。)
「エイミー殿下、そこまでなのですか?」
スミスが驚きながら聞いてくる。
「スミス・・・戦争をしっかりと考えるとそのぐらい必要よ。
最悪を考えるならもっと必要かも。
占領地の為に国内の物流が滞ったり、穀物価格が上がるのは不平不満が溜まるわ。
それを抑制する為には占領地には王都で買った穀物を与えるしかないわ。
・・・いや、違うか。
どこ産かは気にせず国内流通価格の安定化が必要不可欠よ。
普通に考えるなら、占領地に面している私達ウィリプ連合国側の貴族は占領地への穀物の供与をしないといけないでしょう?
そうすれば王都が私達分を用意する、そして王都での足らない分は魔王国側とカトランダ帝国側から要請するという流れになるでしょうね。
タケオさんの考えは今の内に足らなくなる分をどう調達するかを考えての事だから誰もタケオさんの事は悪くは言えないわ。
それに開戦ギリギリまでは戦争の話は地方貴族には通達されない予定なのよ。
そうなると余計に国内では大変な事になると思われるわね。」
「ん~・・・しっかりと考える。
・・・タケオ様、穀物だけが足らなくなるのでしょうか?」
スミスがエイミーの言葉を聞いて少し考えてから武雄に聞く。
「お♪
ん~・・・どうやって攻略するかに依るでしょうね。
建物に被害が出ないなら食事を提供する事が地域安定に欠かせないでしょうね。
ですが、そう理想だけを追ってはいけません。
戦争というのは衣服、食事、住居その全てが足らなくなると思います。
スミス坊ちゃんは食事の次に何が必要になると思いますか?」
武雄が聞く。
「ん~・・・服もなくては・・・住む場所も・・・ジーナはどう思いますか?」
「次に欲しがるのは住む場所です。」
ジーナが即答する。
「ジーナはそう思うのね?」
エイミーが聞く。
「はい、(奴隷としての)経験上食事が満たされれば必要になるのは安心して寝れる場所です。
風雨を凌げる小屋程度はすぐに建てるべきです。」
「そうね・・・安心して寝れる場所は必要か。
食事と寝る場所の確保が出来れば仕事はしてくれそうよね。
仕事は・・・山ほどありそうか。
それにしても小屋をか・・・領民の保証については絶対だけど、占領地の分となると・・・
いったい全体どのくらいが必要になるかわからないわね。
とりあえず寝れる部屋を作って厨房やトイレは共同として用意した方が良いわよね。」
「衣類は何とか他領から集めるにしても家は現地で用意するしかないですよね。」
「そう・・・ね。
それに小屋を作るというのも仕事として割り振れるからね。
今の私達に出来るのは簡単に出来る家の設計図を用意する事ぐらいね。」
「簡単に出来る家なんて・・・ん~・・・難しそうです。」
「まぁ難しいわよね。
箱の中にベッドを置いて『これが貴方の家よ』という訳にはいかないだろうし、家族だったら部屋数も考えないといけないだろうしね。
それは父上達にそれとなく言って考えて貰うしかないわよ。」
「そうですね。
とりあえず僕達が出来るのはタケオ様の食事関連の準備だけかもしれませんね。」
エイミーの言葉にスミスが頷く。
「そうは言っても実際には要請が来ないと私だって魔王国に注文は出来ないんですけどね。
なので『かもしれない』という言い方しか先方には出来ないんですよ。
王都がその辺をどう考えているのかは今の内に情報を貰っておかないといけないというのはあるんですけどね。」
武雄が言ってくる。
「タケオ様は今回の王都ではそういったのを聞き出すんですか?」
「まぁ・・・今の時点で考えているかはわかりませんけどね。
こちらに注文する可能性があるのかだけでも確認しなくてはいけないですよね。」
「そうなんですね。」
「ええ、なので今の所は何もする必要がないという感じです。
今必要な事と言えば・・・エイミーさん、エルヴィス領で料理レシピの発表が始まりますよ。」
「え!?とうとう始まるんですか!?」
エイミーは唐突な話題変化と内容に驚く。
「はい、始まります。
第3皇子一家のエリカさんがその概要を持っていますよ。
王城の料理人達に伝えるはずです。」
「となると・・・明日の朝一で第3皇子一家に会ってきます。
あ、タケオさん、レシピ本は発売されますか?」
「・・・そう言えばエルヴィス伯爵が後々は一般家庭向けに本も出すような事を言っていましたね。
いつかとは言われてませんが・・・今から作るのでしょうかね?
まぁレシピの発表は私はまったく関与していませんからね。
私は『そうなんだー』と見守っている段階です。」
「んんー!?それは一大事です!
こちらで準備せず公表されれば、材料価格の一時的な上昇は抑えられない・・・でもあの料理が街に出回れば国民の満足度は上がる。
んー・・・困ったなぁ・・・
明日、第3皇子一家と打ち合わせする際にその辺も話し合います。
タケオさんも問題ないですよね?」
「ええ、お好きにどうぞ。
私はレシピ本について何も関与していませんからね。」
「援軍がいません・・・良いです、レシピ本については早々にまとめてエルヴィス伯爵とやり取りをします。」
「はい、それでお願いしますね。」
武雄が優しく頷くのだった。
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