第1700話 宿舎と寄宿舎の雑談。(ルーク陥落?)
宿舎の食堂。
「「「「「・・・・」」」」」
「えーっと・・・そう見つめられていると・・・折角買ってきたんだし食べようよ。
ねぇルーク?」
「はぁ・・・」
コートニー一派のジーナを見守る会の6名が夕食後に再び集まったのだが、コートニーがスイーツを出してきたのでルーク以外の4人が訝しがっていた。
コートニーがルークに助けを求めるがルークがため息をついている。
「・・・コートニー・・・何したの?」
「何か買うの?足らない?金なら少し余っているけど・・・」
「ルークにまた何か無理強いしたのか?
こっちにまで話が来るという事は・・・今は授業で使う物を買い込んだばかりなんだが・・・」
「でも、ルーク君のため息はなんか違うわね。
金策に疲れたわけではないのかな?」
皆が皆、言い始める。
「・・・違うの、今日ルークの部屋にルークのお父さんが来たの。
私はかち合ってしまって。」
「・・・なんか今ニュアンスが違う事を言わなかったか?」
「気のせいじゃない?」
コートニーの言葉にルークが首を傾げる。
「へぇ~・・・元王都守備隊の第一近衛の分隊長でしょ?
どうだった?
これはお土産?」
女子生徒が聞いてくる。
「うん、優しいお義父さんだった。
あ、これはキタミザト様からお金頂いたから買ってきたの。
普段買えなそうなお店に行って1番人気があったの!ちゃんと使い切ったよ。」
「「「「キタミザト子爵かぁ・・・」」」」
皆が軽く突っ伏す。
「普通の方だったよ?
想像とは違って偉ぶってなかったし。」
「コートニー・・・キタミザト様が命令口調で話すとかは噂話ですら聞いたことないだろう?
というか、そんなキタミザト様に注意されたのにさっきまた窓から入りやがって・・・」
ルークが呆れながら言う。
「えー?キタミザト様は安全面を考慮しなさいと言っただけでしょう?
だから万が一があっても落下しないように予備の綱を2本にしたよ?」
「・・・キタミザト様はそういう意味で言ってないと思うんだが。
まぁいいや、俺もコートニーに付き合ってやるから安全にな。」
「うん。
で、キタミザト様が皆によろしくって。」
コートニーが言う。
「まぁ・・・キタミザト様なら私達の事を知っていても良いけどさぁ。」
「一応、秘匿だったんじゃなかったっけ?」
「ん~・・・これ食べたら引き返せないのかな・・・」
「まぁ今回来るとお聞きしていたからな。
だが・・・ルーク、俺も会いたかったんだがな!」
「いやぁ、いきなり来たんだよ。
皆を呼ぶ暇もなかったし、さっさと帰ったよ。」
「そうかぁ・・・鮮紅殿の逸話もさることながら、キタミザト子爵様の逸話も武官、文官問わずに轟いているからなぁ。
出来れば戦場でとか経済関係での発想の仕方とか学びたかったな。
はぁ・・・ルークの所に行ったという事はもう当分は来られないのだろう。」
男子生徒が残念がる。
「ルークが問題起せばすぐ来るわよ。」
「主に俺が原因ではなさそうだがなぁ~。」
コートニーの軽口にルークも答える。
「まぁ・・・良いんじゃない?
キタミザト様のお使いでコートニーが買い出しに行ったスイーツでも食べながら課外授業の話でもしようか。
買い出しは終わったんでしょう?」
「あぁ・・・課外授業が終わればキタミザト様が訪問されるかもしれないな。」
「おい、俺が問題起すような不穏な事を言わないでくれ。」
「そうならないようにしてくれ。
よし、準備だが粗方終わっている、確か向かう馬車の割り振りが」
ルーク達は課外授業の打ち合わせをするのだった。
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寄宿舎の会議室。
武雄はヴァレーリ達の正体をぼかしながら話をしていた。
「ん~・・・ウィリプ連合国との戦争用に魔王国の上位陣に小麦の輸出の依頼仄めかしたんだぁ。」
エイミーが腕を組みながら考えている。
「ええ、どう帰結するかはわかりませんが、ウィリプ連合国側では一時的に穀物不足が発生する事が予想されますからね。
今から動いておかないとね。」
「タケオ様、タケオ様は国内で賄えないと思っているんですよね?」
スミスが聞いてくる。
「まぁ、その采配自体は王都の関係各所が考えているはずなんですけどね。
ですけど、普通に考えて通常各領地では過度の余剰穀物というのは作っていません。
テンプル伯爵領、ゴドウィン伯爵領そしてエルヴィス伯爵領・・・この3地域で見れば生産と消費が釣り合っていると考えるべきです。
それは他の方面地方領でもと考えるのは当然でしょう。
100年程度戦争をしていないんですよ?
備蓄していても慣例の戦争用の余剰分でしょうけど、それですら後々、消費出来るであろう分でしょう。
穀物を破棄するなんてありえないんですから。
となると戦争には耐えられてもその後では足りなくなる可能性があるのです。
そういう時は全土から集めようとするでしょう。
ですけど、その時に魔王国側に余剰穀物があると確定している訳ではないんですよね。
この段階で魔王国から慣例の戦争を仕掛けられれば私達はそれに対応しないといけないんですから。」
武雄が言う。
「ん~・・・そうかぁ・・・
結構大規模になるんですかね?」
「そうですね。
私達は一方的に侵攻をされる側です。
となると・・・エイミーさんには悪いですけど、ウィリプ連合国側の貴族領では大なり小なり畑が荒らされるでしょうね。
となると、領民を食べさせる為に是が非でも集めて来るでしょう。
そして、相手国の領地を占領と統合をするという目標があるので占領地での消費も考えると・・・」
武雄がそこまで言い軽く考える。
「たぶん、最低でも第2皇子一家の収穫量の1年間分は見た方が良いわね。」
エイミーが言うのだった。
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