第1699話 ジーナ達に事務連絡。(娘の出来が良いらしい。)
ジーナがすぐに着替えて戻ってくる。
「ジーナ・・・タケオさん、緑ですね。」
「森や草原の中に入る事を想定してですからね。」
エイミーが「地味」と言うが武雄は「そういう仕様」となんとも思っていない。
「ジーナ、違和感はありますか?」
「特にありません。
で、ご主人様、この後はどうすれば?」
「戦闘ベストを着てください。」
「はい。」
ジーナが戦闘ベストを着てボタンをする。
「左の胸上にナイフを・・・こう取り付けます。」
武雄がジーナの左肩のすぐ下に柄を下向きでナイフをケースごと取り付ける。
「柄が下向きなんですね。」
「取りやすいでしょう?
小太刀は左腰に。」
「はい。」
「で、この状態でヘルメットとリュック。
ヘルメットをする時は髪も上げて、ヘルメットの中に入れなさい。」
「はい。」
ジーナが紐を取り出し、髪をまとめてからヘルメットを被り、リュックを背負う。
「うん、これが標準的なキタミザト家の戦闘制服です。
どうですか?」
「ヘルメットと戦闘ベストで重量がありますね。
下を向くとカクッといきます。」
ジーナが感想を言う。
「それはそうですよ。
ヘルメットは外側は鉄製、中はスライム黒の体液であるSL-05液を使っての鉄と同等の強度がある物を厚くして補強をしていますし、戦闘ベストにもSL-05液を浸み込ませて補強をしています。
鉄よりも軽くはなりますが、それでも鉄の1/3くらいの重量がありますからね。
その代わり性能としては、ヘルメットに剣が直撃しても衝撃はあっても貫通はしません。
戦闘ベストについてもフルプレートと同程度の強度がありますから斬られても刃の貫通は余程でない限りありません。」
「え?」
武雄の説明にエイミーが驚く。
「となると、襟部分が立っているのは首を守る為なのですね。」
ジーナが戦闘ベストの襟を触りながら言う。
「ええ、でも斬られないだけで衝撃は貰いますので・・・普通なら首に衝撃を貰ったら終わりですよ。
なので、あくまでも予備的な防御力でしかありません。」
「わかりました。
少し頑丈な服程度に考えます。」
ジーナが頷く。
「・・・タケオさん、今、何気に凄く重要な事を言いませんでしたか?」
エイミーが武雄に真面目顔で聞いてくる。
「そうですか?
まぁ、言っているかも知れませんが、そういう話をするとジーナから伝わっていますよね?
問題ないですよね?エイミー殿下?」
「うっ・・・そうですけど。」
「まぁ話す内容には陛下でさえ知らない重要事項もありますからね。
注意しながら聞いていてください。
出来れば的確な助言も欲しいですね。」
「わかりました・・・エルヴィス家が公表するまで口外はしません。
話すにしてもジーナやスミスと居る時で回りに人が居ない場所でします。
ドネリーも良いわね?」
「はい、問題ありません。」
エイミーとドネリーが同意してくる。
「うん、お願いします。
ジーナ、ヘルメットや戦闘ベストを取って席に着きなさい。」
「はい。」
ジーナが席に戻る。
「さてと、エルヴィス家とキタミザト家からの連絡事項は・・・まず農業関係ですね。
エルヴィス家より今年の小麦の収穫量は前年通りとの予想が打ち出され、ライ麦分は増産分があるので増加、まぁウォルトウィスキーで消費してしまい、麦茶の分で輸出までするので領内の備蓄量と考えるなら減少となっている状況にあります。
ですが、今年末の作付けで」
武雄がスミス達に現状を連絡するのだった。
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王城近くの酒場。
「ラック・・・お前の娘は良い娘だなぁ。
お前達は共働きだがあんなに実直に育ったのはラック達の教育方針が良いんだなぁ。」
マイヤーがしみじみと隣に座るラックに言う。
「なぁ・・・コートニーが何かしたのか?」
ラックはコソッとブレアに聞く。
「ええ、マイヤー殿の息子さんに猛プッシュしているのを偉く気に入られて。」
「ん~・・・父の立場ではわからんが・・・それに教育とかしてないぞ?
職場の娘っ子達に任せていた感があるんだが・・・そんなにだったか?」
「ええ、やり方はまぁ・・・ですけど、健気さは出ていました。
あれがマイヤー殿を篭絡させる為なのなら策士ですね。」
ブレアが言う。
「娘ながらそういった事はない・・・とは言い辛いな。
多少なりともあるとは思うが・・・ルーク君はどういった反応を?」
「うちの所長やマイヤー殿から『本気になれないなら付き合い方を変えろ』と言われて、今は考えている最中ではないですかね?
まぁ酷だとは思いますけどズルズルしていても・・・携わっている内容が内容だけに変に拗れる前にちゃんとしないといけませんしね。」
「まぁ、わかるが・・・うちの娘がなぁ。」
「複雑ですか?」
「娘が気に入るならそれはそれでな。
ルーク君も俺的には問題ないんだが・・・入れ込んでいる娘というのは見た事なくて・・・」
「まぁ本人達がそれなりに結果を出すでしょう。
結果だけ待っていれば良いんですよ。」
「そう・・・だな。
親の知らない所で子供は育っているという・・・ってマイヤー殿なんですか?」
マイヤーがラックをちょいちょいと引っ張っている。
「ラック・・・娘さんの好きにさせてやってくれ!
息子は煮ても焼いても良いから!頼む!」
マイヤーが堂々と頭を下げる。
「・・・今日は早いですね。
というか王都守備隊辞めたら酔いが早くなってませんか?
娘の事は本人に任せているんで親として何か言う事はありませんよ。」
「そうか・・・」
今度はマイヤーが考えながらちびちび飲み始める。
「はぁ・・・よくもまぁ・・・気に入られたものだな。」
ラックは娘の手腕が見事過ぎて呆れるのだった。
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