第1690話 アリスお呼び出し。(魔王国からの緊急依頼?)
ベルテ一家の庭。
「アリス様!みてみてー!」
ジルダが魔法で薄い赤色のファイアを作り出していた。
「え!?普通のファイアより明らかに色が薄いですね・・・
ん~・・・ジルダちゃん、これはなに?」
「青いファイアを考えているの!」
「ほ・・・ほぉ・・・
つまりこれは青いファイアの製作段階という事ね。
なんだか凄い物を見ている気になってきますね。」
アリスがジルダのファイアを見ながら感心している。
「アリス様!私もです!」
ニルデがアクアで数本の花を作り出す。
「あら!凄い!
これは綺麗ですね。
ニルデちゃんもジルダちゃんも凄いわ♪
2人共頑張ったわね!」
アリスがニルデとジルダを軽く抱きしめる。
「「はい!」」
ニルデとジルダが笑顔で答える。
「アリス様。」
アスセナがベルテ一家にやって来てアリスの下にいく。
「うん?どうしましたか。」
「緊急ではありませんが、少々お時間を早めて屋敷にお戻り頂くよう伯爵様より要望が出ました。」
「緊急ではないけど打ち合わせが必要なのですね?」
「はい、魔王国側への輸出に関しての話との事です。
ヴィクター様が内容を確認しておりますが、キタミザト様のお戻りを待てないとの事です。
現在、ヴィクター様とフレデリック様が下打ち合わせと各所の確認に動かれております。」
「ふむ・・・フレデリックも動くとなると・・・ちょっとした難題といった所でしょうか。
わかりました、屋敷に戻りましょう。
ルフィナ、セレーネ、ルアーナ、ヴィート、屋敷に戻ります。
ドナートさん、すみませんね。
何やら面倒事です。」
「いえいえ、またお越しください。」
「順調なのがわかったのでタケオ様に報告しておきます。
では、戻りましょうか。」
「「「「はい、アリス様。」」」」
アリスが子供達とアスセナと共にベルテ一家の家を後にするのだった。
・・
・
「貴族って大変なんだね。」
「そだねー。」
ニルデとジルダが残った菓子を食べながら言う。
「まぁでもそこまで急ぎじゃない感じだったね。
フローラ、そっち頂戴。」
ダキニが他のお菓子を欲しがる。
「はいはい、それにしても輸出かぁ。
ん~・・・ウスターソースが急遽欲しくなったとかかな?」
フローラがダキニにお菓子を与えながらボーナ達に話しかける。
「ん~・・・それだと何か催し物があるのかしら?」
「あぁ・・・あれなら欲しがるだろう。
立食とかであればあのソースがあるだけで目立つだろうしな。」
ボーナとドナートが考えながら言う。
「まぁ・・・私達は作物を何とかしないといけないことはかわらないわね。
さて・・・休憩の後はニルデとジルダは勉強ね。
フローラ、お願いね。」
「「「はーい。」」」
ベルテ一家は変わらない日常を過ごすのだった。
・・
・
エルヴィス伯爵邸の伯爵の執務室。
「うむ、構わぬ。」
「お爺さま、戻りました。」
エルヴィス爺さんが返事をするとアリスとアスセナが入ってくる。
室内にはエルヴィス爺さん、フレデリック、ヴィクターがソファに座って待っていた。
「うむ、子供達の農業体験中にすまぬの。」
「いえ、気晴らしは出来たようですので当初の目的は達成しています。
それで魔王国側からの輸出依頼があるとか。」
アリスがエルヴィス爺さんの対面、ヴィクターの横に座る。
「そうじゃ。
少し量があっての、ヴィクターのみでは判断出来ぬ量でタケオが戻るまで時間もあるからの。
ヴィクターから相談されて話し合おうという事になったのじゃ。」
「タケオ様と2日あれば連絡がつきますが?
・・・となるとキタミザト家で扱える商品ではないという訳ではないのですね。」
「うむ、数か月後までに小麦は40000kg、干物は20000kgという事じゃ。
国内流通はエルヴィス家の管轄じゃからの。
ヴィクターが街中で探すよりもわしらに言った方が早いじゃろう?」
「・・・小麦は40000kg、干物は20000kg・・・微妙な量ですね。」
アリスが量を聞いて考える。
「うむ、そして時期ももしかしたら慣例の戦争と被っておる可能性がある。
ヴィクター、アリスに経緯の説明を。」
「はい、シモーナが魔王国の王都にブリアーニ王国向けの木臼を配達した際に王城の者が卸売をしているレバント様に依頼されたようです。
まず購入の理由ですが、『数か月後に王軍全軍がブリアーニ王国に演習に向かう為、干物等を大量に買い付ける』との事です。
そして見積もりの提出先は『第1軍指揮官執務室宛』との事です。」
ヴィクターが経緯を説明する。
「今回は王城の直接依頼らしくての・・・まぁ途中で知られても良いと思ったのじゃろうが、経緯が書かれておった。
フレデリック。」
「はい、過去20年に遡って調べましたが、エルヴィス領内から今回のような割と大量な輸出をした実績はありません。
同じ魔王国に面しているゴドウィン伯爵領からもそういった話が報告された記録はありません。」
「つまりは初めての依頼となるわけじゃ。
ヴィクター、魔王国出身という立場での魔王国の考えの推測を頼む。」
「はい。」
ヴィクターが意見を言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




