第1689話 アリスの午後と武雄達の反省会。(子供と兵士の成長方法。)
ベルテ一家の屋敷の庭。
「ん~・・・野菜は順調なんですね。」
アリスがボーナから作業状況を聞いて頷いている。
「はい、順調ですね。
高性能肥料の方が野菜の育ちが良いですね。
ただ・・・この時期にしてはキュウリは大きくなりすぎていますので、このまま育ってしまうと逆に商品価値がなくなりそうです。
トマトの方も育ちが良いですが、まだ実がなっていませんね。」
「ふむふむ、ジャガイモは・・・土の中でしたね。」
「はい、他の野菜の成長が良いのでジャガイモも大きく育つでしょうが、掘り起こしてみないとわからないので難しいですね。」
「ジャガイモは品種改良もありましたよね。」
「はい、そちらは掛け合わせですので・・・上手く行けば良いのですが・・・
それは高性能肥料を使っている畑とは距離を置いている奥の畑で交互に違う品種を入れてどうなるかを見ています。」
「流石農家さん、素人でないのは当たり前ですが、しっかりとしてくれていて安心です。
お米の方はどうでしょうか?」
「昨日、予定されていた範囲に蒔き終わっています。
こちらは10月頃の刈り入れですのでお待ちください。」
「10月かぁ♪
小麦は7月頃の刈り入れだから年に2回も刈り入れがあるというのは施政者からしたら嬉しい事ですね。」
アリスが嬉しそうに言う。
「アリス様!ドナート様達の指導の下で行った草取りが終わりました!」
セレーネがアリスの下にやって来て報告する。
「はーい、ご苦労様。
今日は農業体験でしたが、大変だったでしょう?」
「はい!野菜って作るの大変なんですね。」
「そうよ。
だから食べ物は粗末にしてはいけないんですよ。
さて、ボーナさん、お茶にしましょう。
あの子達も平気ですか?」
「はい、準備は出来ておりますし、アリス様にお菓子を持って来て頂いておりますから問題はございません。」
「お願いします。
セレーネ、ルフィナ達とドナートさん達を呼んできてください。
お茶にしましょう。」
「はい!わかりました!」
セレーネが畑に小走りで行く。
「・・・良い子だ。」
アリスがセレーネの後ろ姿を見ながら呟く。
「ふふふ、真面目で大人しい子ですね。」
ボーナがお茶セットを机に並べながら言ってくる。
「ん~・・・そうですね、真面目な子ですね。」
アリスが首を傾げながら肯定する。
「うちのニルデとジルダはもっと元気いっぱいですよ。
悪戯はしませんが、元気があり余っています。
農作業が終わったら夕食まで敷地内を走り回っているんですよ?
もう少し勉強をしてくれてもと思うのですが・・・将来どうなるのやら。」
「んん~・・・昔の私がそうだったので難しい返答になりますね。
ま、私がこんな出来上がりなので何とかなるのではないのでしょうか?」
「あら?これはアリス様に失礼な事を言ってしまいましたか。」
「いえいえ、タケオ様も元気があって良い事だと言ってくれます。
ニルデもジルダも遊べる時に遊んでおかないといけないと思います。
そういう意味ではうちの子達もある程度遊ばせて上げないといけないのですけどね。
・・・今回は農業体験として外に連れ出せましたが、毎回とは行かないですし・・・
城門外はまだ早いですからね。
安心してあの子達を連れて行ける先が少ないのですよね。」
アリスが考えながら言う。
「ん~・・・私達もですけど、気晴らしに表通りと裏通りで買い物に連れて行き、仕事外の楽しみを教えるくらいしかないですね。」
「ですよね。
当分はそうやって見守っていきますかね。」
「はい、それがよろしいかと思います。
あ、戻ってきましたね。」
ボーナとアリスが皆を出迎えるのだった。
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王都守備隊の訓練場。
武雄と精神的に回復したテーア、エットレ、ファビオがお茶をしている。
「だから・・・なんで同じなんですか?
私が皆さんが上段や中段から振って来た剣をシールドを使っていなすのは買い取る際に経験したでしょう?」
「「「それ以外にないんです!」」」
「・・・いや・・・だって・・・剣を受け流してがら空きの胴に斬り込むというのはわかっていたでしょう?
前と同じ構えにしていたんですから。」
「それは身をもって知っています。」
テーアが言う。
「私の剣を振るう速度は上がっていませんよ?
なんで違う事しないのですか?」
「違う事したらキタミザト様、対応しますよね?」
「当たり前でしょ。
私だって痛いの嫌いなんですから。」
武雄が真面目に言う。
「むぅ・・・だから速さで勝負しようとしたんです。
そうすれば対応されずに打ち込めると・・・」
テーアがむくれる。
「テーアが言う通りです。
キタミザト様の受けは綺麗過ぎます。
何とか剣を振る速さや振るタイミングでキタミザト様の受けを雑にさせようと思ったんです。
それなのに・・・」
エットレが呆れながら言う。
「え?綺麗過ぎますか?」
武雄が聞き返す。
「はい、当たった感触が極端に少ないんです・・・ほとんど感じないです。
あれでは反動を使っての2度打ちや違う方向からの打ち込みに繋げられません。」
「あれは対応出来ません。
あんな受けをされる方はキタミザト様だけです。
どんなに上手いと言われる方でももっと受け止めたような・・・剣が当たった感触があります。
それがないなんて・・・どれだけタイミングをズラせば良いのですか?」
エットレとファビオが言ってくる。
「・・・ちょっと待ってください・・・私は受け止めていませんよ?」
武雄が言ってくる。
「「「え?」」」
3人が驚く。
「受け止めるってこうやって手で摑まえる事を言いますよね?」
武雄が右手を手刀の形で振って左手で受け止める。
「私極端に言うと手を添えているんだけなんですけど。」
武雄は今の右手の手刀を振りながら左手で横から押しながら説明する。
「横から当てているんですよね?」
「当てている?・・・手を沿わせて方向を変えているの方が正確だと思いますけど?
うん?・・・伝わってないですか?」
武雄が悩む。
「「「全然わからないんですけど!」」」
3人が抗議して来る。
「だから剣がこう来るでしょう?
そこにこう手を沿わせて」
武雄は3人に武雄がしている事を説明するのだった。
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