第1686話 第八兵舎に訪問。(王都守備隊も大変なんですね。)
武雄達は第1騎士団の兵舎に行き、次に王都守備隊の兵舎に来ていた。
ここは王都守備隊総長の執務室。
「ほぉ・・・第1騎士団団長がですか?」
「ええ、トレンチコートの話題で終始盛り上がれました。
でも色をそこまで気にされるのですね。」
武雄が総長に先程までの話をしていた。
「まぁ・・・そうですね。
陛下直属機関は第二研究所の試験小隊と合わせるように検討していますが。」
「うん?・・・今なんと言いましたか?」
「陛下直属の部署である王都守備隊は同じ陛下直属である第二研究所の試験小隊と同じ色にしようかと考えています。
これは今後、第一研究所でも王家専属魔法師部隊もそうです。
陛下直属機関全部が同じトレンチコートを着ていればわかるでしょう?」
「・・・標準色なんですけど。」
「ええ、まぁうちの人員からも第1騎士団が使わない色にしようという案も出て来てはいるのですけどね。
どうせなら同じにしようかという案が大勢なんですよ。」
「ん~・・・統一ですか。
まぁわかりやすいとは思いますが、一般的に売る物と同色ですからね・・・
ある意味色違いは特権の証のような物でしょうし・・・
王都守備隊の方々の意見や王家専属魔法師部隊の方々の意見も交えたほうが良いでしょうね。
私の事なら気にしないでください。
平時は皆さんに合わせますよ。
それに第二研究所はまだ数十名の所帯ですからね。
合わせようとするなら私達の方を変えた方が楽でしょう。」
「ふむ・・・ならその辺も加味して議論は進めましょう。
ちなみにお勧めはありますか?」
「・・・標準色で腕の部分に王家の紋章に各部署毎になにか変化をさせたワッペンでも付けますかね。
そうすればうちの出費は少なくて済みますし。」
「それも一案としておきましょう。」
総長が武雄の案に頷く。
「それと人員募集ですけどね・・・」
「ダメですか?」
「いや、キタミザト殿が欲しいと言うならこちらもそこまで拒否はいたしませんが・・・数を少なく出来ませんかね?
我が隊もちょっとばかり新人が多くなってきているので教育しないといけないのです。」
「・・・ふむ・・・確約は出来ませんね。」
「ですか。」
武雄の回答に総長が項垂れる。
「人選については第二研究所のマイヤーさんとアンダーセンさんに一任しています。
私は最終的な所で本人の希望と覚悟を観れれば良いので最初の人選に関与する気はありません。
それに基本は募集をしますので、応募してきた時点で異動の意思と許可ありと私達は考えます。
その上で選考をさせて貰う運びになるでしょう。
なので意思を表明される前の段階では部隊内で調整してください。
私達応募される側としてはされてから各所にお伺いをする気はありません。」
「ええ・・・私達も基本は応募された中から選抜していますからね。
仰る意味はわかります。」
「よろしくお願いします。
マイヤーさん。」
「はい、総長、こちらが第二研究所の募集要項になります。
第1騎士団にも同じ物を掲示させて頂きました。」
マイヤーが総長の前に書類を置く。
「そうですか・・・こちらが。」
総長が書類を持ち上げ中身を確認する。
「・・・性別と年齢に制限がないのですか。
それと『騎士章は出来れば望むが騎士章持ちは騎士報酬があるので月銀貨5枚減』ですか。」
「ええ、不利益になるような事は事前に記載しておいてあげないといけませんからね。
私達の給与と報酬とで騎士章を持っていない者よりかかなり貰っています。
持っていない者も採用するのですからその分です。
まぁ・・・財政が良くなれば撤廃するかもしれませんけど、今は入れてあります。」
「なるほど・・・
わかりました、掲示を許可しましょう。
募集期間は・・・あぁここに記載がありますね。
期間が終了したら第二研究所に結果を送付します。」
「はい、お願いします。
マイヤーさんも問題ないですか?」
「はい、応募された中から選考を始めます。」
マイヤーが返事をする。
「さてと人事の話をも終わったし。
あの3人は元気ですか?」
「ええ、予定よりも早く仕上がりそうですね。
今日は午後から訓練場で剣技の訓練ですね。
見学されますか?」
「はい、3人が順調なのか見に行きたいですね。
ジーナとは?」
「まだ会わせていません。
感づかれてもいないようです。
もう少し時間を頂きながら会わせる機会を調整します。」
「うん、まぁ・・・そうですね。
その辺は私がと言うよりも王都守備隊とジーナとで調整して貰った方が良いでしょうか。
では、私達は昼食を取って王都守備隊の訓練場に向かいます。
総長、今日はありがとうございました。」
「はい、お疲れさまでした。」
武雄達が立ち、総長に挨拶をして退出していくのだった。
・・
・
武雄達が退出して。
「はぁ・・・ん~・・・」
「失礼しま・・・悩まれていますね。」
武雄達を見送ってきた秘書官が総長の執務室に入るなり総長に聞いてくる。
「まぁ・・・なぁ・・・ん~・・・」
「どう思われますか?」
「聞き取り調査が必要だな。
本人達のやる気もあるからな・・・第二研究所で働きたいと言うのであればそれも致し方ないとは言え、今大人数が抜けるのは少し・・・いや、だいぶ問題だ。」
「各隊に通達しますが・・・部隊長のみにして部下の意向を確認させましょうか?」
「そうだな・・・多ければ行く時期を調整して貰うしかないだろう。」
総長が秘書官の言葉に頷くのであった。
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