第1684話 194日目 今日は終わりのはず。(エイミーなら良いんじゃない?)
武雄達の部屋。
武雄はアズパール王に挨拶に行ったので、ビエラとミア、夕霧が部屋内で大人しく将棋をしていた。
「あ~・・・」
パチンっ
「ん~・・・ビエラがそこに打つという事は・・・ん~・・・」
持ち時間無制限状態でしている2人は結構な時間を使い、考えながら打っている。
夕霧は2人の勝負を黙って見ている。
「・・・ふむ。」
「「!?」」
夕霧が頷くとビエラとミア双方がビクッとする。
「?・・・ん、双方ともまだまだ勝てますね。」
「ほっ・・・」
「そうですか・・・」
2人が安堵する。
「ただいま~。」
武雄が室内に入ってくる。
「タケオ!おかえり!」
「主、おかえりなさ~い。」
「ん、おかえりなさい。」
3人が声をかける。
「はい、ありがとう。
誰か来ましたか?」
「主、誰も来ていませんよ。」
ミアが答える。
「そうですか。」
武雄が頷く。
「あ、そうだ。
主、パラスから伝言が来ていますよ。
ジーナからエイミー殿下ともう1人も明日の夕食に同行して良いかと。」
ミアが言ってくる。
「ん?・・・まぁ余裕自体はそこそこありますが、アルも含めると3名追加ですよね。
・・・1人分当たりの量は減ってしまいますかね。」
「主、断りましょう!エイミー殿下は良い方ですが!」
「タケオ!ダメ!」
ミアとビエラが米が減る事を知り拒否してくる。
「はぁ・・・エイミー殿下にはスミス坊ちゃんやジーナがお世話になっているのですからそうも言えないでしょう?
ミア、パラスに連絡。
ジーナにエイミー殿下に確認を取りなさい、『参加するなら覚悟して貰いますよ?』と伝えなさいと。」
「?・・・主、どういうことですか?」
ミアが聞き返してくる。
「米はまだエリカさん達にしか出していない物ですよ。
それを食べさせるんですから、エリカさんと同じ要求をしてくるはずです。
でも・・・先ほどの挨拶の時の話で米の輸出先は第3皇子一家が優先となっています。
第2皇子一家にはまだ出しませんよ。
まずは近隣から納める気でいますからね。
なのでここで食べた味を求めるなら・・・ま、その辺はエイミー殿下自身に考えて貰いましょう。
少なくとも『明日食べた物は当分は食べれませんよ?』という事です。」
武雄が言う。
「ん~・・・招待せざるを得ませんか・・・」
「あ~・・・」
ミアとビエラが難しい顔をさせる。
「ミア、ビエラ、エイミー殿下は第2皇子一家の長女ですよ?
大豆と小豆の生産地の領主様の娘です。
豆腐や油揚げ、餡子の原材料の生産地と仲良くしなくてはいけません。
無下に扱ってはいけませんよ。」
「ん~・・・確かに餡子は絶品の1つですからね。
ビエラ、餡子の為に我慢ですね。」
「あ~・・・」
2人とも渋々了承する。
「ついでにジーナに明日の会場を用意して貰いましょう。
それに課外授業までにエルヴィス家とキタミザト家の現状もスミス坊っちゃんには伝えたいのですよね。
エイミー殿下は磯風達も見ていますから喋れない内容は少ないでしょうし、その辺りも話して良いかジーナに確認が必要でしょうか。
まぁエイミー殿下は他家の事を外部に漏らすような方ではないでしょうからね、巻き込んだ方がやり易いかもしれませんけど。
食事に釣られてやってくるエイミー殿下も覚悟しての事でしょうからね。」
「はーい、わかりました。」
ミアが頷く。
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寄宿舎のスミスの部屋。
「ミアからは以上よ。」
「だそうです。」
チビパラスの説明が終わり、ジーナがエイミーとエイミーの肩に乗るチビアル、エイミーの横に居るドネリーに言う。
「タケオさんの信頼が重いわ。」
エイミーが苦笑しながら答える。
「・・・米かぁ・・・マリは食べるんでしょ?」
アルがマリに聞く。
「うむ、和食の会の会員として出席しなくてはいけないな。
主、どうする?
タケオはエイミーが居ても問題ないと言っているようだが?」
マリが頷く。
「ん~・・・僕としては問題ないかな?
美味しい料理が出るんでしょう?
エイミー殿下はいろいろ助けても貰っているからね。
いつもの恩返しにタケオ様の料理を食べて貰いたいかな?」
スミスがにこやかに言う。
「うっ・・・スミスの私への評価が高いのはありがたいのだけど・・・
ジーナはどう思うの?」
エイミーがジーナに聞く。
「私としてもスミス様の言う通りエイミー殿下とドネリー様にはお世話になっておりますから問題はないような気がしています。
ですが、ご主人様からはエルヴィス家とキタミザト家の話もしたいとの要請です。
いくら魔王国と面していない地方のエイミー殿下でも聞かせられない内容があるのではないですか?」
「ん~・・・でもジーナ、両家の最大の秘密事項は磯風達エルダームーンスライムの存在だよね?
それをエイミー殿下は知っているんだよ?
変に存在だけ教えとくよりもむしろタケオ様の言う通りエイミー殿下にちゃんとした話を聞いて貰った方が安全なんじゃないのかな?」
「スミス・・・確かにその考えは正しいとは思うわよ。
・・・後は私とドネリーの覚悟だけね。」
「私というよりもエイミー殿下だけですが。
エルヴィス家とキタミザト家の秘部を覗くのですよ?
私は平気ですが、エイミー殿下はその責任感から・・・むふ♪」
「・・・ドネリー、スミスの前です。
それと後で話があります。」
「はい、いくらでもお聞きしますよ♪
で、エイミー殿下、明日は出席ですね?」
「・・・そう・・・ね。
ジーナ、スミス、明日は私達も同席させて貰えるかしら。
もちろん、その席上で話したことは口外しないわ。」
「はい、わかりました。」
「畏まりました。
では、ご主人様にはそのようにお伝えします。」
ジーナが頷くのだった。
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