第1682話 夕食後。(まずは第3皇子一家に挨拶を。)
第3皇子一家の執務室。
「タケオさん、よく来たわね。」
「タケオさん、いらっしゃーい。」
アルマとレイラが武雄を出迎えていた。
「ははは・・・タケオさん、先ほどぶりです。」
エリカが苦笑しながら言ってくる。
「タケオさん、招集お疲れ様です。
ちょっと早かったですか?」
ウィリアムが聞いてくる。
「殿下方、本日到着しました。
今後ともよろしくお願いします。
では、失礼します。」
武雄がそう言う。
「パイディアー!ペイトー!
ふふふ、タケオさんを逃がす訳ないじゃない!
さ、ソファが空いていますよ。」
パイディアーとペイトーが扉の前に立ち、レイラが自分の横をポスポス叩く。
「そこに座ると逃げれないじゃないですか。
・・・パナ、2人の調子を見てください。」
「はい。」
パナが実体化してまずはアルマに近寄る。
「タケオさん、逃がさないわよ~。
さぁ!白状して貰いましょう!」
レイラが武雄に向けてビシッと指を指す。
「どれをですか?」
「え?・・・どれ・・・どれかなぁ・・・
エリカさーん。」
「はいはい。
タケオさん、米の事なのですけど。」
「魔王国からの輸入に関してはキタミザト家の管轄ですけど。
国内販路はエルヴィス家の管轄ですから私は何も・・・エリカさん、エルヴィスさんは何と言っていましたか?」
「私の方から第3皇子一家向けに数十kgを融通して欲しいという依頼をしました。
回答は善処する・・・です。」
「タケオさん、何とかなりますか?」
ウィリアムが聞いてくる。
「今、魔王国からの輸入量の確認中ですからそこからどのくらい割り振るかはエルヴィスさんの考え次第ですよ。
まぁエルヴィスさんもアリスも私も無下にはする気はありませんが、あまり大量には送れませんよ。
エリカさん唐箕は買いますか?」
「はい、でないと精米出来ませんから。
手動であの作業はちょっと・・・説明も難しいですしね。
あと調理法の簡易レシピください。」
エリカが言ってくる。
「ええ、わかりました。
あ・・・パナ、離乳食ってどうなのですか?」
「パン食文化では野菜を蒸して柔らかくして毎食1品を少しずつ食べさせるのが一般的でしたね。
タケオ達は米で作った粥ですよね。
パンや魚、肉、豆は柔らかくして、果物には火を必ず通して少しずつ食べさせていく事が重要ですね。」
「となると離乳食としても玄米は使えるかな?」
「タケオ達の祖先は皆米で育っているのですからね。
多少長めに火にかける時間を取れば問題ないのではないでしょうか。
まぁこの地なら新鮮な野菜を蒸して柔らかくしてでしょうね。」
「・・・」
いつの間にかレイラが紙に今の事を書いている。
「・・・レシピ渡しますって・・・」
武雄が呆れたように言う。
「タケオさん!ありがとうございます!」
「子供の離乳食が増えるわ♪
これは良いわね。
うん、エリカさん、多少値段が張っても構わないわ。
エルヴィス家との交渉を上手くしてね。」
アルマが言う。
「はい、では連絡を取り続けます。」
エリカが頷く。
「タケオさん、エリカさんの面倒を見てくれてありがとうございます。
随分顔色と体型が戻った感じよ。
これなら問題なさそうです。」
アルマが言ってくる。
「体型って・・・」
エリカが苦笑する。
「いや~・・・エリカさん、結構王城に来てから痩せたからね。
実家に行けば多少は良くなるとは思ったけど全快した感じだもんね。」
「レイラ、問診中です。」
「あ、ごめんなさい。」
レイラがパナと話しながらこっちの話題にも入ってくる。
「タケオさんの方の仕事はどうなんですか?」
ウィリアムが聞いてくる。
「順調ですね。
まぁ船関係はまだまだ始めたばかりなので何も成果はないですけどね。
盾は方向性は見いだせたのでそれは研究が始まりましたね。
商売の方は王都のお陰もあって・・・あ、お土産ありますよ。」
「「やったぁ♪」」
アルマとレイラが喜ぶ。
「レイラ。」
「ごめんなさーい。」
レイラがパナに謝る。
「ウィリアム殿下もですよ。」
「え?僕にもあるのですか?」
「はい、夏用の部屋着である甚平とズボンの下に穿くステテコという物ですよ。」
「へぇ~・・・1着ですか?」
「はい、1着です。
えーっと・・・これです。」
武雄がリュックから取り出す。
「これがウィリアムさん用で、こっちがアルマさんとレイラさん、パイディアー用ですよ。
カタログがあるので気に入ったなら追加で購入してください。
そのカタログが注・・・文票と一緒に入っているはず・・・あった。
これで買いたい物を確認してくださいね。」
武雄がソファの机の上に甚平とステテコ、カタログを置く。
「へぇ~冊子を作ったんだぁ。
どれどれ・・・おぉ、挿絵が入っている。
費用をかけているわね。
ウィリアム、今年の冬物も載ってるわよ。」
「へぇ、まだ先なのに載せたんだね。
ん~・・・ダウンベストも良いなぁ。
執務室も結構寒いしね。
ベストの方が良さそうだし、異動する時の防寒着でダウンジャケットも良いよね。」
「ならここの面子分は買った方が良いわね。
レイラ、問診まだ?」
アルマがレイラに聞く。
「今、パナ殿が検診してくれていますからもうちょっと~。」
レイラにパナが手を触れて目を閉じて確認している。
「注文は早めにお願いしますね。
トレンチコートと違ってダウンジャケットとダウンベストは領内で一気に売る気ですからね。」
「早々に色決めしないといけないわね。」
アルマが頷くのだった。
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