第1676話 王都の城門に到着。(ジーナ到着。)
王都の城門。
受付をする列の最後方に到着する。
「いや~・・・着いた。
エリカさん、着きましたよ。」
武雄がエリカを見る。
「ん~・・・何でしょう、ここで過ごしているよりもエルヴィス家に居た方が長いような気がしますが。
一応、帰って来たという事で良いのでしょうか。」
「それは気のせいでは?
エルヴィス家ではお客様でしたが、ここはエリカさんの主戦場、仕事ありますよ。」
「あっちでは食っちゃ寝がし放題だったんですよね。
はぁ・・・仕事かぁ。
何やろうかな。」
エリカが諦めの表情をしている。
「いや・・・報告事項たくさんあるでしょう?」
武雄が苦笑している。
「ありすぎなんですけど・・・まぁ追々やっていきます。
えーっと・・・もう少しかかりますかね。」
エリカが列を見ながら言う。
「ええ、そうで・・・ミア、上を見てどうし」
武雄が胸ポケットから顔出しているミアに気が付く。
「間に合った!」
城門の上から颯爽と落ちてきて某戦隊物の隊員のような着地を決める者が居た。
「ジーナ・・・」
武雄が降り立った者を見て呟く。
「あ・・・ご主人様、王都にご到着お疲れ様でございます。」
ササっと身支度を整え、ジーナが綺麗な礼をする。
「うん、ジーナも元気そうですね。
それでジーナ、城門の上から登場するのはやめなさい。
パンツが見えちゃうでしょう?」
武雄が注意を促すが聞いている他の面々が「いや、注意するのはそこじゃない」と思っている。
「はい、気を付けます。」
「まったく・・・お嫁にいけなくなったらどうするんですか。」
「ご主人様、平気です。
それにアリス様もお嫁にいけましたので、私でもいけます。
このぐらいならアリス様も飛び降りられます。
アリス様にも同じことをご注意した方がよろしいかと思われます。」
「うん、それについては私は何も言えません。
そしてアリスが城門から飛び降りないとは言い切れない自分がいます。
ですが、誰が見ているかわからないのですから飛び降りる際はズボンにしなさいね。」
「はい、わかりました。」
ジーナが返事をする。
「ま、その様子だと王立学院でも元気に過ごしているみたいですね。」
「はい、スミス様のお付きとしてのんびりとしています。
ご主人様の方は慌ただしく過ごされているようで。」
「なんだかんだ人員増えたり、料理も増えたりしていますよ。」
「人員の方は子供達だそうですね。」
「ええ、ジーナの部下ですよ。
今はエルヴィス家で研修中です。
戻ったら面倒を見てくださいね。」
「はぁ・・・4人も・・・予算足りているのですか?」
ジーナがため息混じりに言ってくる。
「・・・」
武雄が目を逸す。
「ご主人様!?
足らないのでしたらお父さまや私の給金から」
「ダメです。」
武雄が即座に言う。
「・・・」
ジーナが黙る。
「ヴィクターとジーナに与えている給金は仕事の成果と個人の能力を評価して決めたものです。
新しい人員を雇う為にしっかりと仕事をしている者の給料を下げるなんて事はしません。
それに研究所の所長給与をキタミザト家の収入に組み込めば何とかなります。」
「しかし・・・それではご主人様のお小遣いがないのではないですか?」
「・・・ですけど、他の研究所職員達はその給与で家族を養っています。
なので所長給与をキタミザト家の収入に組み込んでもおかしくはないのですよ。
その分、動産収入の方は好き勝手しますけどね。」
「はぁ・・・わかりました。
出過ぎた真似をしました。」
ジーナが頭を下げる。
だが、ジーナは「確か初年度の所長給与はエルヴィス家への貸し付けに回しているはず、相当苦しい家計になっているのに、安心させる為なのでしょうけど・・・ご主人様、優しすぎです」と思っている。
「タケオさん、ジーナ殿の話はついたの?」
エリカが聞いてくる。
「ええ、別になんてことない話ですよ。
もうすぐ受付ですけど・・・王城に行きますか。」
「まぁ・・・そうですよね。
ウィリアム殿下達は知っているのでしょうか?」
「出る時に手紙は出しましたが、明日着くんじゃないですか?」
「うん、ダメね。」
「あ、私の方からウィリアム殿下方には連絡入れていますし、ご主人様達の部屋の用意も終わっています。
ついでに料理長にも話は通しておきました。」
ジーナが言ってくる。
「本当、タケオさんの部下は優秀だわ。」
「でしょう?
もう部下が優秀だと楽でね~。」
武雄が笑いながら言う。
「タケオ、エリカ、パイディアーがいるのですよね?」
チビペイトーがエリカの肩に現れて武雄達に言ってくる。
「エリカ様に・・・新しい精霊ですか?」
ジーナがペイトーを見ながら言う。
「ええ、あと2人と2匹ほど加わりましたけどね。
エンマさんとニルデですよ。
エリカさんも晴れて精霊魔法師の仲間入りです。」
「・・・それ聞いていませんよ?」
ジーナが武雄に言う。
「あれ?・・・言ってなかったかな?」
「はい!まったく!」
「まぁ・・・それはスミス坊ちゃんと一緒の時に話しますか。
あ、それとジーナ、明日の夜は暇ですか?」
「基本的に王立学院が終われば寄宿舎でのんびりと過ごしています。
それはスミス様もです。
週に1度程度、王都守備隊で剣術の稽古をしています。
ですが、明日は平気だったはずです。
何かあるのですか?」
「うん、ジーナとスミス坊ちゃんに料理をね。」
「あぁぁ♪はい!問題ないです!
スミス様の予定も空けます!」
「そうですか、では明日の夜は私と取りましょうね。」
「はい♪」
ジーナが満面の笑みを武雄に向けるのだった。
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