第1672話 とりあえず終わって。(エリカの実家結構スパルタ。)
武雄がミア軍団と親交を深めている最中。
「えーっと・・・内臓取っちゃうか?」
「それもですが、所長のリュックに入れるので・・・食べる所だけで良いのでは?」
「となると太腿と腰、肩、背、腹・・・か?
毛皮は売れそうか。」
オールストンとブレアがイノシシを見ながら解体部分を考えていた。
「まぁ大雑把で良いだろう?
出来る限りの皮を剥いで、肉も取れる分だけだな。
あとは夕霧殿が処理をするだろう。」
「ん、任せて。
でもオールストン達が必要な部分を取り終わったら狼達に食べさせて、その後始末を私がします。」
マイヤーと夕霧もオールストン達に近寄って言ってくる。
「よし・・・適当にさっさとしよう。」
「そうだな、夕食までに終わらせよう。」
2人が皮剥ぎを始めるのだった。
焚き火の番をしている者達は。
「はぁ・・・上手く行ったわ・・・」
エリカが安堵していた。
「エリカ様の魔法なんて何年ぶりでしょう。
すんなりと発動出来ましたね。」
「カサンドラ、エリカの魔法は久しぶりなのですか?」
カサンドラとペイトーも一緒に焚き火を囲んでいる。
「えーっと・・・何年かな?
爆裂の魔法は・・・9年?10年?」
「あぁ・・・そんなになりますか。」
カサンドラが相槌を打つ。
「一度発動出来ればその後もすんなりと行くのでしょうね。
違和感はありましたか?」
ペイトーが聞いてくる。
「違和感はないかな・・・それよりも精神的に疲労している。
こんなに疲れたかなぁ?」
エリカが伸びをする。
「エリカ、説明ではエリカ固有の魔法でしたね。」
ペイトーが言ってくる。
「うん、誰も使った記録がなかったのよ。
使い勝手もあまり良くないしね。
まぁカトランダ帝国の皇帝一族だと何かしら個人特有の魔法があるんだけどね。
親、兄妹で私が一番、使い勝手悪いかなぁ。」
エリカが思い出しながら言う。
「・・・確かエリカ様のお父上は同じ爆裂でも災害でしたよね。」
「父上の爆裂は面白そうだったわよね。
外遊に行っている時に小屋が小火になって、近くで爆裂させて火元を吹き飛ばしていたらしいわよね。」
「まぁ周辺の小屋もまとめて吹き飛んだというのが報告書にありましたが。」
「そうねぇ・・・災害という訳ではないわよね。」
「・・・あれ結構修復大変だったらしいですよ。
やっている本人があれなので誰も文句は言いませんでしたが。」
カサンドラが呆れる。
「・・・エリカの系譜は聞いていますけど、親の魔法適性を引き継いでいるんですか?」
「違うわよ?
兄達は違ったし、弟も違うわ。
私がたまたま父上と同じ爆発系だったという訳なんだけど・・・だからこそ私の固有魔法がわからなかったのよ。」
エリカが苦笑する。
「魔法適性は魔法具商店でわかるのでは?」
「あ~・・・出たわよ爆発って。
で、父上と同じだと思ったら出来なかったのよ・・・で、皆であーだ、こーだとしたんだけど、結局私の魔法がわからなくてねぇ。
匙を投げられて放置されたの。
ま、初級魔法は使えたからあまり問題にもならなかったんだけどね。」
「では、どうやって?」
「街中散策していたら馬が暴走して突っ込んで来たから無我夢中でやりました。
その時になーんか頭の中に浮かんだのよね。」
エリカが思い出しながら言う。
「・・・え?」
ペイトーが真顔で固まっている。
「ん?・・・なに?」
エリカがペイトーを見る。
「いえ・・・ちなみにその馬どうなったのですか?」
「あ~・・・ペイトー殿、あの時は馬が四散したんです。
あれ夢にまで出るショッキングな光景でしたよ。
私、数日悪夢にうなされましたよ。」
「平気、カサンドラ、私もなった!
馬の首だけ飛んでくる夢・・・いまだに覚えているわ。
まぁその後の訓練も圧倒的に悪夢なんだけどね。
・・・カサンドラ、私の特訓に付き合わなかったわよね?」
「一警護兵がいつも付いている訳ないでしょう?
兵士の訓練に参加もしていましたしね。
で、エリカ様、何していたんですか?」
カサンドラが聞いてくる。
「・・・歩いてくる鶏相手に訓練よ。
あれは悪夢よ。
やった後の夕食が鶏肉料理でね。」
「・・・あぁ・・・」
カサンドラがエリカに同情する。
「まぁあの訓練以来だからね・・・随分懐かしい魔法だったわ。」
「・・・大変だったんですね。」
ペイトーが顔色変えずに言ってくる。
「うん、そうなの。
で、何が気になるの?」
「気になるというか普通、頭に魔法の事がわかるのかというのが不思議で。
まぁ人間社会なら何か起きても不思議な事はないのかもしれませんけど。
おや?タケオ?」
ペイトーは武雄がミア達から離れて焚き火の方にやってくるのを見つける。
「あ、タケオさん、ミア軍団の命名式終わったんですね。」
「終わりましたよ。
湯浴みしてきます。
ついでに湯船の整備もね。
終わったら夕食前にエリカさん達には入って貰いますからね。」
「あ~・・・匂い付きましたか。
じゃあ、タケオさんが整備している間に準備しますかね。」
エリカが苦笑を返してくる。
「あ、待っている間に干しシイタケと干し肉をお湯で煮込んでおいてください。」
「はい。」
エリカ達が返事するのだった。
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