第1667話 出立。2(出立後の各々の行動。)
エルヴィス伯爵邸の玄関。
「では、アリス様、私達は通常の研修に戻ります。」
「はい、皆さん頑張ってね。
何かあれば言ってください。」
「「「「はい!奥様。」」」」
子供達がメイド達と奥に行く。
「アリス様、伯爵様、私は研究所に戻ります。
何かありましたらお呼びください。」
「うん、ヴィクターも仕事の方をよろしく。
私からは何かありませんが、問題があれば・・・あ、ヴィクター、魔王国への米の輸入量の問い合わせはどこまでしていますか?」
「シモーナの所に最大の輸入量の確認をお願いしております。
追加で何かありますか?」
「ええ、エルヴィス家からの最大の買い上げ量がお爺さまから提示されました。
ヴィクターが考えている事とすり合わせしたいので簡単な書類を作って渡します。
一応タケオ様と昨晩考えたんですよ。」
「はい、畏まりました。
では・・・今日の昼過ぎぐらいにお伺いします。」
「はい、待ってます。」
「では、失礼します。」
ヴィクターが玄関を出て行く。
「ん~・・・行ったの。
じゃあ、アリス客間に移動かの。」
「はい、久しぶりに静かな屋敷になりそうですね。
ちょっと寂しいですが。」
「夜にタケオと米の輸入量を話したのかの?」
「はい、輸入した米をどうやって領内に販売するか、自分達がするか、エルヴィス家でするかで違うなぁと言っていました。」
「ふむ・・・わしとしては国内の生産があるから出来るだけ家で買いたいがの。
そうするとキタミザト家の利益はないからのぉ。」
「タケオ様もそこがどうなるかと考えています。」
「今は良いがの、数年からスミスの時代にどう変わるかわからんからのぉ。
意外と難しい判断になるかもしれぬが・・・まぁ向こうからの返事を見てから考えれば良いじゃろう。」
「はい、タケオ様もそう言われています。」
「うむ。」
エルヴィス爺さんとアリスが客間に向かいながら話すのだった。
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試験小隊詰め所に戻る面々は。
「行ったなぁ。」
「ま、所長達の事ですから大丈夫でしょう。
こっちには初雪殿がいますし、何かあれば連絡を寄こしてきますよ。」
「すぐ11時半になっちゃいますから訓練は今日は軽くですかね。」
「昼食まで軽く走り込むか。
午後は何をしますか?」
皆がアンダーセンに言ってくる。
「午後は2時間程度、戦術考察だな。
この間2班に分けたから各々で想定される事を書きだす事にしよう。
まぁ人員が抜けているから多くは出来ないだろうが、まずは想定される有利不利を箇条書きにして問題点を考え付くしかないだろう。
その後は訓練場で剣術の訓練だな。
では、走りにいくぞ。
作業服に着替えて玄関に集合な。」
「「「「はい。」」」」
皆が返事をするのだった。
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一足先に戻った研究所の2階 研究室。
「んん~・・・トラス構造かぁ・・・」
トレーシーが自身の机で紙にトラス構造を書いて表面に板を置いた断面図を書いている。
「どうやって止めるのかも重要ですよね。」
鈴音が後ろから見ながら言ってくる。
「ん~・・・・中央部は良いんですよね。
端部の閉じ方ですよね。
どう止めれば良いか・・・」
トレーシーが考えている。
「簡単に考えれば表面からボルト等で止めてしまうのが簡単ですけど、表面に凹凸があると引っかかりますよね。
それってどうなんですか?」
「ん~・・・良し悪しですね。
ワザと突起部分に剣を当てて刃こぼれを狙うというのもあるらしいのですよ。
えーっと・・・この資料かな?
あ、ここ、これです。」
トレーシーが古めかしい本を取り出し鈴音に渡してくる。
「あ~・・・意外と大きい突起だ・・・ん~・・・刃こぼれかぁ。
私が考えると表面に凹凸がない方が受ける衝撃を剣を滑らせて緩和出来るように思うんですよね。」
「それが一般的でしょうね。
でもこの大きさだと地面に置いて構える事が多いんですよね。
そうすると突起部分があっても良いとは思うんですが・・・」
「でも鉄板を付ける為のボルトって厚さから考えてもそこまで大きくないですよね。
剣が当たったら飛んじゃうかもしれません。」
「そうするとボルトを大きくするか、そもそも表面には付けないか。
表面に付けない事の方が扱いやすそうですよね。」
「そうなると裏面に付けるという方法もありますけど、どう構えて衝撃に耐えるかでボルトの位置が変わりますよね。
1人で肩を当てながら構えると考えると中央部分には入れられませんし、2人で押さえるのならその部分にも入れ辛いですし。
両端だけというのもありですけど2枚並べてとなると並べた際の繋ぎ部分には人は配置するでしょうから両端に突起があると邪魔かもしれませんし。」
「ん~・・・盾と一括りしてもいろんな用途がありそうですね。」
「そうですね。
過去の一般的な戦い方を検証しないと難しいかもしれませんね。」
「あぁ、それなら下で戦術の考察しているからそこで資料を借りてきますかね。
過去の報告書とかあるはずですから。」
「わかりました。
借りてきます。」
鈴音が席を立ち下に向かうのだった。
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