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第1658話 出立前日。6(和食の会と伯爵とエリカ。)

エルヴィス伯爵邸の食堂。


「うどんにコロッケにおいなりさん!

 サラリーマンの昼食の定番の1つ!」

コノハが目を煌めかせながら目の前のうどんセットを見ている。

「「おいなりさーん!」」

ウカとダキニも満足そうだ。

「うむ、キャベツの塩漬けもまた良いな。」

ニオも頷く。

「はぁ・・・ご飯だぁ。」

鈴音が笑いながら配膳された物を見ている。

「今日のお昼はあっさりですよ。

 さて、温かい内に食べますか。

 いただきます。」

「「「いただきます。」」」

皆が食べ始めるのだった。


------------------------

客間にて。

「ふむ・・・今は和食の会じゃの。」

「同じ物は私達も食べましたが、やっぱりうどんと米はお腹にたまりますね。」

アリスが考えながら言う。

「そうじゃのぉ。

 エリカ殿、どうじゃった?」

「明日出発かと思うと口惜しいですね。」

エリカが残念そうな顔で言う。

「ははは、素直じゃの。

 まぁさっきコノハ殿からも言われたが、当分は領内での作付けは多くは出来なそうじゃの。

 タケオに頼んで魔王国からの輸入に力を入れても良いかもしれぬが・・・」

「はぁ・・・私達も年末には王都から異動ですから、第3皇子一家領までの輸送をお願いしたいですね。」

「我が領内での消費もあるからの。

 年に数回が良い所かのぉ。」

「ですよね・・・たまに食べるから美味しいのでしょうから・・・

 はぁ・・・それだけを楽しみにしておきます。」

「うむ・・・まぁわしらもなるべく作付けして貰える協力農家を探すからの。

 それと・・・これが今後領内で発表される料理じゃ。」

エルヴィス爺さんがエリカに紙を渡す。

「はい・・・3週間毎なのですか?」

「うむ、各種組合を呼んでの。

 まずはピザと生クリーム、バター系じゃの、次は出汁と茶碗蒸しとプリンになっておる。

 あとの料理はそこに書いてある通りじゃ。」

「・・・まずは酪農系ですか。

 養鶏場の準備も相まってでしょうか。」

「うむ、各町の養鶏場の本格稼働が2週間後になっておる。

 酪農の方はこれは年単位じゃからの、一応来年度に増産計画への予算割り振りを見込んでおる。

 じゃが・・・それまでは皆で奪い合いになってしまうじゃろうの。

 短期的に見ればわしらですらありつけるかわからんの。」

「そうですね・・・

 それにしても品薄感をまず出させてからの追加発表・・・皆が食いつきそうですね。

 ですが、これは誘導が難しいのではないでしょうか。」

「・・・うむ、そこは皆が危惧しておるのは確かじゃ。

 じゃが、逆の順番で発表した場合は入手困難という所がずっと尾を引くと考えておる。

 牛乳等はどうやっても品薄なのじゃ。

 なら、どうにかしてそれを打ち負かす方法を考えたのがこの発表順じゃ。」

「なるほど・・・王都や王家からの発表はいつにしましょうか?」

「ふむ・・・出来ればわしらの発表後にと思っておるが・・・」

「それは配慮させて頂きます。

 発表の1週間後以降では如何でしょう。

 ちょうどエルヴィス伯爵領からの商隊が王都に着いて噂が広まる頃です。

 エルヴィス家、キタミザト家から教授頂いたとしての発表がよろしいかと思います。」

「うむ・・・それだとわしらが良いとこ取りをしておるの。

 レシピはタケオの発案じゃ。」

「いえ、確かにタケオさんがレシピを売り込みはしましたが、下地の産業強化をしているのはエルヴィス家です。

 これがなかったらレシピ発表時に全原材料の不足という事態を招き、領内が混乱状態になったでしょう。

 一産業の原材料不足で済むことを考えればエルヴィス伯爵様以下文官方の手腕を評価する為に連名する事は当たり前かと。」

「・・・これが今考えられる最善の政策じゃっただけよ。

 後世の者達からはもっと違うやり方があったと言われるかもしれぬがの。」

「その時の最善を尽くす事こそ施政者のあるべき姿です。

 評価、検証は事後での務めですし、ある程度の批判は甘んじて受け入れる度量が求められる・・・でしたか?」

「その通りじゃの。

 ま、エリカ殿も他人ごとではないからの。」

「まぁ・・・卸売市場ですね。

 私はまだ数年あります、それまでに美味しい物を食べて胃を鍛えておきます。」

「あまり食べ過ぎてはいかんの。」

「自重はします。」

「はぁ・・・落ち着いたらレイラを見に行く際にエリカ殿の生活も確認に行くかの。」

「エルヴィス伯爵様、父親の代わりは」

エリカが話している時にエルヴィス伯爵が懐から紙を出し、エリカの前に置く。

「・・・なんでしょうか?」

「あ~・・・黙っておったのじゃが、もう帰るし良いじゃろう。」

「失礼します。」

エリカが紙を持ち上げ内容を確認する。

「・・・陛下からですか。」

「うむ、エリカ殿の健康管理はエルヴィス家の管轄じゃ。

 そして・・・期限がないじゃろ?」

「おぅ・・・抜けている・・・」

エリカが書面を見ながら呆れている。

「なので、エリカ殿が自堕落していないか確認をしないといけない。」

「陛下に言って撤回させます。」

「それも良いがの、撤回もしくは変更の通知がない場合は見ないといけないからの。

 もちろん報告も上げないといけない。」

「んん~・・・なーんか仕組まれていますね。」

「そうじゃの。

 王家で何か考えておったようじゃの。」

「帰ったら確認です。」

「そうするのが良かろう。」

エルヴィス爺さんが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっと第一次産業革命への道が…長かった!!
[良い点] 『本人の自主性』を大事にされている様子が読み取れるところ。 [気になる点] あ・・・監視されてる・・・w 5年後のことも考えてのことかもですね・・・『エリカさん自身』が、ご自身のしたいよう…
[一言] るんるん。 和食の会は大事っと。 エリカちゃんとカサンドラちゃんの外堀は埋められています。 早くタケオのとこに嫁ズとしてくるのよ。 コノハちゃん確保するためにいろいろ指示しとくのよ。
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