第1653話 189日目 出立前日。1(各々で準備中。)
朝食も終わり、エルヴィス家の厨房では。
「昼食とスミス様とジーナ用の料理、タケオの初日の昼食の用意は?
それと今日の夕食の材料の確認は終わっているか?」
料理長が料理人達に聞いている。
「えーっと・・・今日の和食の会の準備は昨日の時点で終わっていて、米の仕込み開始していますので昼食には間に合います。
夜の分はこれから浸す準備をします。
王都向けには夕食と一緒で良いかと考えています。
キタミザト様のはこの後サンドイッチを作ります。」
「スイーツに関しては問題なく全種類用意しています。」
「あ、お肉ちょっと足りない感じです。」
「サラダも追加で買いたいです。」
料理人達が報告してくる。
「足らないのは買いに行ってこい。」
料理長が指示を出すのだった。
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研究所の1階 試験小隊詰め所。
「えーっと・・・不足は特になし。」
「今回は向こうに馬を数頭置くからなぁ。
街中の馬を買う形ですけど、まぁ用意は出来ましたっと。」
オールストンとブレアが今回の同行者という事で旅の確認をしていた。
「これが前回初雪殿を連れて行った鞄です。」
ブルックが鞄を机の上に置く。
「これを付ければ良いんだな。
了解、了解。」
「後で明日、貰い受ける予定の馬に付けておこう。」
オールストンとブレアが頷く。
「あとは・・・なにかありますかね。
寝具も毛布だけですけどテントも所長がリュックに入れるそうなので問題ないですし、食料も途中で買っていきますし、食器もそうですよね。
すっごく快適な旅だ。」
ブルックが指折り数えながら言う。
「まぁ所長と移動する時は身軽だよな。」
「となると移動は問題ないと。
あとは王都での仕事は・・・所長に付いて補佐だが、あとは来年の募集ですかね。」
「それはマイヤー殿に依頼しておいたぞ。」
アンダーセンが声をかける。
「そっちの打ち合わせにも参加か。
あとは・・・皆の手紙は?」
「あ、私のは第二情報のラック隊長に渡してください。
近況です、あそこの子達何気にこっちに興味ありみたいですよ。」
ブルックが封筒を取り出す。
「あ、俺は馴染の・・・てか王都守備隊が使っていた酒屋宛。
こっちの所長と取引している酒屋のローさんだっけ?あそこの店にリスト卸してっていうお願いの手紙ね。」
ベイノンが手紙を渡してくる。
「はいはい。
他には?」
ブレアが聞く。
「「「ないなぁ。」」」
アーキン達が言う。
「皆後腐れなくて助かるな、あとは個人でしてくれ。
子供達は・・・まぁ良いか。」
オールストンが首を傾げる。
「研修中だしね。
やるんなら個人的に送っているでしょう。」
ブルックが頷く。
「よし!準備完了っと。」
オールストンが宣言する。
「はい、まだだぞ。
2人は今日の夕方に01式小銃と弾丸50発ずつを受領しろ。
移動時の持ち運び方法の確認をしてきてくれ。」
「「はい。」」
オールストンとブレアが返事をする。
「じゃあ、持ち出し申請を早々に作って回してくれ、所長のサインも必要だから居る内にな。」
アンダーセンが言い放つ。
「あ、所長、午後挨拶回りとか言っていましたよね?
さっきアスセナ殿に会った際に『午後は不在がちになるから承認書類は早めに』と言っていましたから。」
「「げっ!?」」
ブルックが追い打ちをかけるのだった。
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研究所の3階 所長室。
「えーっと・・・発表用の資料はとりあえず出来てて皆にも回覧済み。
これは持って行かないとね。
次は、専売局の書類とこの間の依頼の試作品と提案用の試作品の用意出来ているっと。
エルヴィス家からの指示での面接用の資料はこれと。」
武雄が机の上の書類やら木箱を並べて持って行くものを確認している。
「失礼します。
主、ベルテ一家に行き手紙を預かってきました。
それとダンディ茶を2週間分頂きました。」
ヴィクターが入ってくる。
「はい、ご苦労様です。
・・・厚いですね。」
武雄がヴィクターの手に持たれている手紙を見て呟く。
「一家だけなく、ニルデとジルダも書いたようです。」
「うん、皆で家族ですからね。
アスセナさんも?」
「先ほど書き終わって同封しております。」
「・・・うん、まぁしょうがないね。
はい、預かりましょう。
ジーナの分は?」
「こちらに。」
ヴィクターが懐から取り出す。
「預かります。」
武雄が手紙を預かると色違いの紐を取り出し軽く手紙を縛り、別紙に紐の色と宛名を記入する。
「仕分けですね。」
「ええ、今回はこうですけど、これにスミス坊ちゃん宛だったり、王都の知り合いとか増えて行くとわからなくなりそうでしょう?」
「はい、それでよろしいかと。
それとキタミザト家としても第二研究所としても王都に対し送付する物は今の所、あの専売局向けのみになっております。
何かありましたら詳細を聞いて戻って来てください。」
「はい、わかりました。
今回は会議尽くしで終わる予定ですし、その辺の打合せ記録はマイヤーさんか同行の2人が書きますからね。
私は弁舌を繰り広げてきます。」
「あまり楯突かないようにしてください。」
「楯突いてはいませんよ。
言いたい事を言っているだけです。
手紙以外でジーナに何かありますか?」
「生活が不規則でないかですね。
仕事内容は大失敗していなければ問題ないでしょうし、友人等々は個人の問題でしょう。
あまり悪い友人は作るべきではありませんのでそこも確認してください。」
「うん、わかりました。
さて、リュックにしまいますかね。」
「はい、では終わった頃を見計らってお茶をお持ちします。」
ヴィクターが所長室を退出していくのだった。
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