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第1648話 その頃の王都では。3(こっちはこっちで大変みたいだ。)

王都守備隊の第八兵舎。

「はぁ・・・今週も大丈夫だったか。」

王都守備隊総長が報告書を見ながらでっかいため息をつく。

実は未だにジーナはエットレとファビオに遭遇していなかった。

王都守備隊が念入りに予定を組み。

ジーナも時間厳守で対応している為なのだが。

結果としてジーナに会った際の2人の行動がまだ読めないので気を使っている状態だった。

「・・・それにしても流石、元兵士か。

 異種族うんぬんは別で判断力と初期行動が良いとな。

 待遇にも不満の様子はないと、上々な結果だな。

 ん~・・・そろそろ実戦に近い魔物の討伐をさせてみるか?

 だが、今は魔法師専門学院の学生が東で演習中だよな。

 新人の研修期間でもあるし・・・

 第1騎士団、第2騎士団も新人が入ったばかりかぁ・・・皆経験させたいだろうしなぁ。

 一度、軍務局も交えてその辺の話し合いを設けるか。」

総長が報告書閉じ、横の決済済みの箱に入れ、次の報告書を見る。

「えーっと・・・あぁキタミザト殿が来るか。

 随伴は誰だ?マイヤーかアンダーセンのどちらかは来るだろうし、ブルックかアーキンが来るなら手伝いを頼みたいのだが・・・って他の所の兵士を借りるのはダメか。

 ・・・指導の相談くらいには乗ってくれるか?

 キタミザト殿に引き抜かれたやつらは新人育成上手いからなぁ。

 まぁキタミザト殿の所はエルフのお子様と卒業生が居るからちょうど良いのかもしれないが。

 ・・・あの面子が鍛えた新人かぁ・・・怖いな。

 まぁ来る事はわかった、隊長格には通達しておくか。

 えーっと・・・次は・・・」

総長が書類を処理していくのだった。


------------------------

軍務局内のとある部屋。

室内の奥にある広い机に1人おり、そばにもう1人が立っている。

他の者達は外出しているようだ。


「王立学院の課外授業は再来週だったか?」

書類を見ながら座っている男が言う。

「5月12日からでしたね。」

立っている者が答える。

「そうか・・・

 それとキタミザト殿方が来るのが・・・・」

「到着は15日の2日か3日前でしょう。

 資料の用意は今しています。

 陛下や各局長、参加される方全員分ですよね?

 一応、多めには用意する予定ではいますが。」

「あぁ・・・頼むな。

 それにしても今回の侵攻方針に納得してくれるのか・・・」

「まぁ・・・一研殿が一番その辺に関与しますから厳しい声を発しそうですが・・・まぁ二研のキタミザト卿は客観的に見て頂くという所なので穏便に済むのではないでしょうか。」

「・・・うん・・・そうなんだがな・・・

 陛下のご提案より良い侵攻計画が立てれなかった。

 ファルケ国を陛下の計画よりもっと深くまで侵攻すると占領域の立て直しに苦労する、浅くした場合はカトランダ帝国やファルケ国、ウィリプ連合国にとって利がありすぎる。

 ウィリプ連合国への戒め、ファルケ国への属国化とカトランダ帝国への影響力。

 陛下の提案が一番、バランスが良いのだ。」

「流石、陛下ですね。

 我が国の侵攻作戦なんてもう100年はないのにこれだけの見通しをされるのですから。」

「あぁ、我らが仕える最高の指導者だ。

 陛下は昔から聡明であったが、抜けが少ないが地味な提案をされていた。

 だが、ここに来て事あるごとに検討すると最善策だと思える案を提示する事が多くなった。

 その流れはキタミザト殿が加わってから加速しているようにも思える。」

「局長・・・その言い方ではキタミザト卿が陛下を操っていると言っている気がしますが?」

「そう聞こえたか・・・だが陛下は操られてなどいないさ。

 陛下がキタミザト殿の意見を取り入れて発言していると言った方が良いか。

 それにキタミザト殿ご自身は『貴族になどなりたくない』と陛下や殿下方に直に言い放った方だぞ?

 そして王家は総出でキタミザト殿を貴族にし、国に対して離反させないように地方に研究所を設けて押し込めた形だ。

 キタミザト殿が操っているというより王家がキタミザト殿を利用しているのだよ。」

「・・・貴族になりたくないって凄い事を言われますよね。

 その話を最初聞いた時は嘘かと思いましたが、至る所で聞いたので本当だと知って驚きました。」

「あぁ、誰もが驚く内容だろう。

 だが、無理やり貴族にさせられて色々な仕事をさせられているキタミザト殿だが結果もしっかりと出されている。」

「・・・膿の処理と異種族雇用ですね。」

「慣例の件は我ら文官達全員が被害者達に謝りに行かねばならんだろうな。

 実行者だけが問題なのではない、気づかなかった我らにも落ち度がある。

 まぁそれは違う話だな。」

「はい。」

「結果的に実行者達は処分され、文官や武官に巣くっていた膿は半分程度は排除出来たんだ。

 この切っ掛けをキタミザト殿が作ってくれたというのは公には出来ないが感謝してもしきれない。」

「はい、随分と風通しが良くなりましたね。

 各局がキタミザト卿の次の昇進については無条件で許可するような事が噂にありますが?」

「それか・・・確かに一貴族を贔屓しているように見えるかもしれないが・・・

 今の各局の連携を作ったのはキタミザト殿だ。

 それは間違いないし、他の貴族では出来なかった事だ。

 正当な評価だと思う。

 お前は違う考えか?」

「いえ、今の状態は心地良いです。

 中枢に膿が居ないというのはこんなにも話が進むのですね。

 キタミザト卿に感謝しております。」

「あぁ、各局各騎士団の中枢には今はいないな。

 が・・・次代・・・2代先はわからん。

 その為には今の内から局の垣根を気にしない派閥の作成をという動きになるのは・・・当然だ。」

「確か・・・膿も最初はそういった考えで一緒になったのですよね?」

「あぁ・・・2代先は今の関係が膿の始まりと言われるだろう。

 だが、少なくとも今の代ではこの関係は良い物だ。

 今、皆が賛同する内に客観的に各貴族を判断出来、領地を持たない(・・・・・・・)監視者が必要なのだ。

 これが無いから今の膿が作り出されたと俺は考える。」

「王都が王都守備隊で西方が一研、東方が二研と?」

「領地を持つというのは領民の生命と財産を守り抜くと同時に地域の発展をする事こそが目的となる。

 国外と面している地域では向こうからの影響もあるだろう。

 だからこそ領地持ちは客観的に国内を見れないのだ、思想が影響されてしまうのだ。」

「王都外から王都の様子を見聞きし、各貴族を客観的に見れる貴族に実力行使出来るだけの最低限の武力を与え監視をさせると。

 理想ではありますが・・・」

「だからこそ王家直轄機関という訳だ。

 何か異変が察知されれば中継されない情報が陛下にもたらされ判断出来る。

 まぁ多少、拠点を置く領地には恩恵があるだろうが、両者とも少し潤っても大きく潤う訳ではない土地柄だ。」

「となるとキタミザト卿とアルダーソン卿の昇進について軍務局は反対しないのですね。」

「あぁ、軍務局として反対はしない。

 2代先の王国が健全に動く為に必要な事だと認識している。」

「わかりました。

 我ら幹部もそう意思統一しておきます。」

軍務局では研究所の評価が高いのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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