第1638話 178日目 まったりまったり。(あれ?人事?・・・)
夕食後のティータイム。
皆が1日を終えて客間でまったりとしていた。
「ほぉ・・・排水のぉ。」
エルヴィス爺さんが感心したように言う。
「ええ、気ままに1.5mの深さの通路を作ってしまったので川まで2mの溝作りをしましたよ。」
「川には繋がったのじゃろ?」
「はい、無事に。
川からの逆流はありませんでした。
通常の雨なら多分排水出来るでしょう。
増水したらわかりませんけど、まぁ平時は排水されるのですからいつかは水が引くと考えておけば良いかと思っています。
整備はスライム達がしてくれますから・・・すみません、フレデリックさん、キタミザト家から残飯1樽追加要求です。
整備してくれるスライム達に報酬を渡さなくてはいけません。」
「畏まりました。
手配しておきましょう。」
「「「やった。」」」
夕霧達が喜んでいる。
「まぁタケオも考えたが、町や村でも排水の計画はしてから作るのが普通じゃからな。
もしタケオが作る機会があったらまずは排水等を考えてからするのじゃぞ?」
「低い土地ならば町や村自体を少し高台にして作れば良いのでしょう?」
「そうも行かないのが難しい所なのじゃよ。
まぁこれはわしらというよりも文官達が一番知っておるからの。
そういった知っている者達を活用しなければならん。
実際、今は南に1つ村を計画中じゃからの。
エリカ殿、治水工事の完了と卸売市場の稼働は4年後じゃったの?」
「はい、ウィリアム殿下領の工程としては最初の1年は農業や専売局等領内の事業を軌道に乗せ、2年か3年後に卸売市場の試験運用を開始、4年後に本格運営と考えています。
村の運営は難しいでしょうか?」
「・・・わしらも村の新設は久しぶりじゃからの。
ただ単に建物を作れば人が集まるという物ではないの。
その土地が魅力がどうあるのかを皆に教え、まずは実践し、ちゃんと成果を上げてでないとの。
今はその土地にどんな魅力があるか皆に教える資料作りという所を詰めている所じゃ。
ウィリアム殿下達の文官も今はこの段階を過ぎて建物を作っているのじゃろうがの。」
「ええ、建物は設計の最終段階に入っているでしょうが・・・
伯爵方が慎重に進めているのを見るとちょっと不安になってきます。」
「まぁわしらは殿下領とは違って新たに作るからの。
殿下領は決められた土地のまずは拡張工事だからの、ちょっと意味合いが違うじゃろう。
今後、人口が増えれば村の新設事業があるじゃろうから、そこで苦労するじゃろう。」
「肝に銘じておきます。」
エリカが頷く。
「うむ、でじゃが・・・
タケオ、王都に行く日は決まったかの?」
「いえ、依然として5月半ばで開催問題なしとの返信をしてから通達が来ませんね。
もうすぐではないですか?」
「そうかの・・・フレデリック。」
「はい、タケオ様、実はエルヴィス家としてお願いがございます。」
「なんでしょう、出来る事ならしますが。」
「ありがとうございます。
実は王都の人事局からの依頼というかお願いというか調査と言うか・・・
ちょっと今までにない要請がございまして、王都で確認してきていただきたいのです。」
「はぁ・・・」
武雄が生返事を返す。
「うむ、実はの、来年3月の王立学院卒業予定者がうちの文官を志望したようじゃ。」
「・・・何か問題が?」
「今までフレデリックもそうじゃが、王都からはある程度の文官経験者が異動を申し出てくれた際には異動を受け入れておる。
じゃが、王立学院から卒業生がというのはないのじゃ。」
「うち給料安いですものね・・・」
エルヴィス爺さんの言葉にアリスが若干落ちこむ。
「今まではどうされていたのですか?」
「基本は現地採用じゃ。
各町とこの街で人材を雇用し、そこで初期の研修と実地、さらに各局で空きがあれば各町に通達して雇用している中で希望者を募るとしておる。
また、王都から来る者は各局からの異動での。それなりの役職を与えておる。
フレデリックは元総監局じゃ、うちに来てくれる時は総監部の課長にしたのじゃ。
あの頃はわしも若かったし、精力的に動いておったの。
フレデリックもバリバリ仕事をしていての、凄かったのぉ。」
「お互いに若かったですね。
まぁ私は王都から出張でこの街に来て、妻となる女性と出会い、移り住んだわけです。」
「うむ、他にもいろいろな理由で地方を目指す文官で良い者が居たら誘ったり、希望すれば受け入れておるという訳なのじゃが・・・
今回はの・・・どうなのかの?」
エルヴィス爺さんがフレデリックを見る。
「本人が来たいのであればと受け入れたいのですけど・・・流石に王立学院の卒業生を現地採用者と一緒に雇用し、同じ1年目とはなりません。
同年齢の者達と同じ感覚でと言いたいですけど、それも違うように思いますし。」
フレデリックが悩む。
「という訳で扱いに困っておるのじゃ。」
エルヴィス爺さんも困った顔をさせる。
「となると王都で面接をしてくれば良いのですね?」
武雄が聞く。
「うむ、本人が何をしたいのか、本当に志望するのかを確認してくれるとありがたいのじゃ。
それと魔法師専門学院に行って来年度の進路調査の結果を聞いてきてくれるかの?
それに沿って今年の募集をかけるからの。」
「わかりました。
まぁ人事局と軍務局ですからね。
依頼して聞いてきます。」
「うむ、頼むの。」
「ちなみにその生徒さんはなんて言う方なのですか?」
アリスが聞いてくる。
「うむ、キティ・エメットという名じゃ。」
エルヴィス爺さんが答えるのだった。
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