第1637話 2方面への報告書。(あれ?新たな仕事だよ?)
「ステノ技研も大変そうですね。」
マイヤーが言う。
「研究所の売り上げ云々にはなりませんが・・
まぁ・・・正確には研究所の商品とはなりません・・・けどね。
兵士達の武具向上には役立てるでしょう。
あ・・・もしくは差し込むだけで・・・いや交換するだけで強化出来るような仕組みを考えて・・・
剣にユニットを?・・・柄に細工方法をするとして・・・となると柄と強化ユニットだけの販売をする?・・・いや、これは今はまだあまり知られるといけない素材だから・・・ん~・・・」
武雄が考え込む。
「所長、その辺で。」
「ん?・・・そうですね。
それで用向きは?」
「はい、ここまでの色々な旅を所長としてきましたが、正式に報告書をお持ちしました。
部下達の報告書も含めた報告書になっています。」
マイヤーが武雄の机に報告書を数冊置く。
「・・・数が多いですね。」
「それだけいろいろと動きましたし。」
「はぁ・・・見ますか。
まぁ私も本来はこういった報告書を作って然るべきなのですけど・・・作れていないなぁ。」
武雄がとりあえず一番上の報告書を手に取り、メガネをかけてパラパラと見始める。
「こういったのは私のような部下がするべきですからね。
所長はご自由で結構です。」
「思いつきで行動しているので迷惑ばかりかけてすみません・・・あ~・・・確かにこうだったね。
・・・あれ?・・・あぁ、ここは私と別の行動したブルックさん達か・・・なるほど。
ま、良いでしょう。
これは本棚にしまって後日読みましょうかね。」
武雄が報告書を机に置く。
「ありがとうございます。
それとこちらを。」
マイヤーが新しい報告書を置く。
「?・・・また報告書?」
「こちらは陛下宛になります。」
「・・・別に私が見る必要なくないですか?
それアランさんからの勅命でしょう?」
「正確には依頼はされておりませんし、そもそも所長が言いだしている事です。
内容的にはスライムは伏せていますが、小銃や人事関係の事柄が中心です・・・が
夕霧殿達が有能過ぎていろいろと穴が出来ています。
一応ゴドウィン伯爵領に向かった際等の上空からの監視はミア殿の鷲達と偽装しておきましたが。
結構、伏せている内容がありますね。」
「まぁあの子達は監視の専門家みたいなものですしね。
当分は伏せるにしてもどの段階でかは考えないといけないでしょうけど・・・
アランさんには教えておいた方が良いのかなぁ・・・」
武雄が頭の後ろに手をやり軽く伸びをしながら言う。
「当初の予定通りで良いのではないでしょうか。
今はまだエルヴィス領内で確固たる信頼関係を築く時期ですし。」
「王都ではスライムの事を知る人員が4名居ますし、いつかはバレるでしょうけど。」
「4名ですか?
スミス殿とジーナ殿はわかりますが。」
「エイミー殿下とドネリーというエイミー殿下のお付きにバレています。
エイミー殿下なら口は固そうですからそんなには心配していませんよ。
磯風をジーナに付けている時点で遅かれ早かれ発覚したでしょうからね。
問題はないでしょう。」
「・・・ふむ・・・ジーナ殿が原因ではなさそうですけど・・・
エイミー殿下、踏み込んだのでしょうか?」
「さぁね?
経緯は王都に行った際に聞きましょう。
たぶんこちらから言わなくても向こうから言ってくるでしょうし。」
「でしょうね。
では、この報告書は一旦目を通してください。
その後王都に送付します。」
「はい、了解です。」
マイヤーの言葉に武雄が頷くのだった。
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ステノ技研の食堂。
「「「ん~・・・」」」
研究所から戻って来たブラッドリー達がテイラーから渡された依頼書を見て唸っていた。
「お爺ちゃん、そんなに難しい事なの?」
「そうじゃのぉ。
結局はキタミザト様の小銃改シリーズが長射程というのが問題なんじゃ。
あのスコープはそもそもが小銃・・・01式小銃の為の400m先を狙う為の道具じゃ。
わしらはそれの完全模倣品の製造だからのぉ・・・」
「入手して分解、解析、完全模倣をして作ったスコープは約3倍の拡大率ですからね・・・
確かにあれでは1200m先は狙い辛いですよね。
まずはどういった理念と原理かを知らないとなぁ。」
「はぁ・・・テイラーの精霊のニオにも手伝って貰えるようだが・・・
これは新たな勉強が必要だな。」
「ですね。」
「じゃの。」
親方3人が頷く。
「でもそっちが完成すれば今のスコープはキタミザト様が王都に売り込んでくれるんでしょう?」
「それは・・・そうだな。
売り先が出来るわけだな。
キタミザト様には事前に王都に売る際の価格を言っておいた方が良いだろう。」
「キタミザト様と試験小隊には特別価格でですね?」
「あぁ、キタミザト様向けは今の価格だが、これが懐中時計並みの注文が来てはたまらないし、そもそも中のガラスの加工が大変だからな。
キタミザト様以外ではある程度価格を高めにさせて貰おう。
まぁ暴利を貪る気はないが・・・注文を抑えないといけないだろう。」
「「ええ。」」
「ん~・・・素材屋さんに新たに見積もり頼んでおこうかな?」
サリタが親方連中の話を聞きながら考えるのだった。
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