第1632話 排水溝作り。(結局水準器は使わなかったね。)
射撃場の裏手、通路の末端。
「いや~・・・結構音がしたっスね。」
時雨が武雄と初雪に合流していた。
「シグレ、小銃は結構凄い。
私でも50m先に攻撃出来る。」
「へぇ~、そんなに凄いっスか。
あとでユウギリと共有して皆で経験しないといけないっスね。」
「うん、でも他の人達と比べてまだまだ当たらない。」
「そんなに難しいんっスか。
知識とはまた別に楽しそうっスね。」
初雪と時雨が話し合っている後ろで武雄が『ストーンエイク』と『エクス』で一辺が4m、深さ2mの穴を開ける。
「まずは溜池を作って・・・今度、はしごとか綱か何か付けましょうかね。
落ちたら這い上がってこれないでしょうし。
時雨、川の方向は?」
「はいっス。
整列っスよ!」
時雨の掛け声で15m先までスライムが30cm間隔で並ぶ。
「これを追っかければ真っ直ぐに行けるっスよ。」
「はい了解。
では、まず・・・」
と溜池からスライムが居る方向に2m行った先に幅50cm、深さ2mの溝を4m程作る。
するとリュックからバラバラになったオーガの肉片を入れ始める。
「タケオ?何しているの?」
初雪が聞いてくる。
「初雪、時雨。
青スライムを大量投入。
今から溝を作っていきますが、地上とギリギリになるくらいまで水で満たしてください。
報酬はオーガ、2体。」
「「はーい。」」
言われた通り、時雨と初雪が次々に青スライムを作り出して溝に入れ始める。
そしてスライム達がオーガを吸収し、水を生み出し始める。
「よし、作っていきますよ。
スライム達も穴に沿って付いてきてください。
水を作り出すのに足らなくなったら言ってください。
ある程度はまだ余裕がありますからね。」
と武雄が幅50cm、深さ2mの歪な水路を作り始めるのだった。
・・
・
「あれっスよ。」
先頭を行く時雨が20mくらい先にある川を指さす。
「タケオ、こっちに合わせて水面を地面とほぼ同じに水の量を作っていますが、射撃場の方は下がっているみたいです。」
初雪が報告に来たスライムを吸収して言ってくる。
「なるほど、やはりこっちの方が少し低いのですね。
・・・よし。」
武雄が段々と浅くなるように水路を作る。
「スライム達、これから川に繋ぎますからね。
流されないように出て来れるようにしましたよ。」
武雄がそう言うのと同時に意図が分かったのかスライム達が上陸して初雪と時雨に吸収されていく。
「では、ちょっと待っててくださいね。」
と武雄が、排水路の先端から作るのを止め、1m先に歩き、そこに一辺が1m、深さ2mの溜池を作る。
「時雨、川は 深さは2.5mでしたね?」
「そのぐらいっスよ。」
「一度見に行きますか。」
と武雄が川を見に行くのだった。
・・
・
川のほとりで。
「ん~・・・まぁ当然のごとく低いか・・・あとは向こうとの差がどのくらいかという事でしょうけど。
排水用だし・・・水面から30㎝くらい・・・いや、地上から深さ1mの溝にするか。」
武雄が川から溜池に向かって幅50cm、深さ1mの溝を作っていく。
・・
・
「はい、接続。」
武雄が川からの水路を溜池に接続するとみるみる川から水が引き込まれ満たしていく。
「・・・低いっスね。」
流入での水面の荒々しさが抜け、少し静かな水面になり川の水位と同じ水位になった溜池を見ながら時雨が感想を言う。
「タケオ、これはこのような感じで良いのですか?」
「ええ、こんな物でしょう。
あとはこれが射撃場より低い事を望むだけです。
ではこれから排水路と繋げますよ。
初雪、スライム達に連絡をお願いします。
排水路の水位が一気に下がります。
相当量が川に流れますから排水路からこの近くに居るスライムは退避する事。
射撃場の方に居るスライムは水が引いて行っても上流の射撃場の方に移動をし続ける事。」
「はい。」
初雪がスライムを出し水路を逆流させていく。
「5分ほど待ってから接続しましょうか。」
武雄と時雨と初雪が排水路の奥を見ながら待つのだった。
・・
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ドンという音と共に排水路(深さ2m)と溜池が繋がり、排水路の水が溜池、そして川に流れだす。
「水面は少し上がりましたが・・・逆流は・・・なさそうですね。」
武雄がそう言いながら溜池の方を見ている。
溜池には排水路からの流入で再び濁っている。
「そうっスね。」
「向こうから来ては居なさそうですね。」
時雨も初雪も同じ感想を言う。
「さてと・・・なら射撃場の方の溜池と接続してみましょうか。」
「はーい、戻るっスね。」
「はい。」
武雄達3人が射撃場を目指すのだった。
・・
・
射撃場側の溜池。
「射撃場の深さは深さ1.5m、溜池は2m・・・大丈夫だと思いたいなぁ。」
武雄はそう言いながら射撃場の通路に石を積んでいる。
ついでに溜池から地上部に上がれるようにストーンと時雨が出した白スライムを使い、幅1mの階段を作っていた。
「タケオ、大丈夫っスよ・・・たぶん。」
「水が結構向こうに流れた。
射撃場まではいかないはず。」
「そうは言っても・・・水面の高さは見れませんからね。
・・・よし、グダグダ言っていても始まらない。
こっちもある程度積んだし、ダメならダメでしょうがないし。」
武雄がそう言って射撃場の通路から出てきて、階段を登って排水路と溜池の間に向かう。
「・・・よし、やりましょうか。」
というと武雄が排水溝と溜池を結ぶのだった。
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