第1631話 射撃訓練終了。(最後の〆はほふくだね。)
「「「あぁぁ・・・くそぉ・・・」」」
試験小隊のほぼ全員がほふく前進をしている。
「ほら!前進!
渡した木の枝を引きずったりするなよ!
それは小銃だ!銃口に土を付けるな!
いつでも撃てるようにしておけ!落とすな!引きずるな!
前進!」
「「「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」」」
「200mの的までだぞ!
ほら頑張れ!」
アンダーセンが皆を横から監督している。
「1、2、3・・・」
マイヤーが皆が持ち込んだ01式小銃の個数の確認をしている。
「立てかける木枠でも買ってきましょうかね。」
武雄もマイヤーの横に立って一緒に備品チェックをしている。
「そうですね。
訓練中は地面に直に置くのは控えた方が良さそうです。
どこかに注文されるのですか?」
「テイラーさんの所で良いでしょう。
安い何かを見繕って貰います。」
「お願いします・・・えーっと・・・残りの弾丸が1、2、3・・・
・・・42発ですか。」
「一人40発前後を撃ったと。
今回は初回ですけど、1回に付き何発までと決めた方が良いんですかね?
それもアンダーセンさん達に考えさせましょうか。
毎回この調子だと週に1回しか練習出来ませんよね。
潤沢な資金があればもっと購入出来るんでしょうけど・・・無理ですし。」
「その場合のステノ技研の方は大丈夫でしょうか?」
「供給自体は今は月産2000発ですが、来年度から月産4000発なんですよね。
再来年は月産6000発ですし・・・3小隊60名が揃う時は月12000発ですかね。
毎月の納入量を増やすという事は念頭に置かないでという数字ですけども。」
「それ・・・今の内から職人を養成しないといけない感じですよね。」
「はい、帰りに言ってきます。
生産増強を計画的にして貰うように要請してきます。」
武雄が頷く。
「タケオ、スライム達に射撃場内の清掃をするように指示しました。
土壁は出来る限り直すように言っています。」
初雪が武雄に報告してくる。
「はい、ご苦労様です。
初雪は皆と一緒に研究所に戻りなさい、そして安静にね。
私はここで排水路を作って帰りますから。」
「私は大丈夫。
タケオが残るなら残っていても平気。」
「そうですか?
ん~・・・なら排水路作りに協力をお願いしますね。」
「はい。」
初雪が頷くのだった。
「はい、終了でーす。」
200m的の通路でほふく前進していた皆を鈴音が声をかけている。
「「「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」」」
皆が疲れから通路内にズルズルと入って来て息を整えている。
「どうでしたか?」
鈴音が皆に聞く。
「やはりほふく前進は全身の筋力を使いますね。
良い訓練ですが・・・200mも結構な距離です。」
「今日は枝を持ってでしたけど、ほふく前進用に木かなにかで模造した01式小銃は用意出来ませんかね?
これではいまいち銃口が想像し辛いです。」
「なるほど・・・寸分違わぬ木の小銃ですか・・・
それはこちらでも検討しましょう。
他にはありますか?」
「的を土壁に取り付ける際にもっと簡単に出来るような何かはありますか?」
「今回は毛布でしたけど・・・ん~・・・そこはアンダーセンさん達で一度考えて貰えますか?
どういった物が欲しいと言ってくれたら考えますから。」
「わかりました。
さて・・・通路を通って帰りますか。」
「はーい・・・ってトレーシーさん、死にそうな顔をしていますが、大丈夫ですか?」
鈴音がトレーシーに声をかける。
「なんで僕までしているんだろうね~?
僕確か研究室長だよね?
スズネさんは研究員という事で免除されたのにね!」
「お前は元兵士なんだから体を作れ。
スズネ殿は非戦闘員だろう、初雪殿もパナ殿も非戦闘員なんだぞ?
何かあればお前が率先して対処するしかないんだからな?」
アンダーセンが言ってくる。
「まぁ・・・まぁ・・・まぁ研究所の2階は僕達だけしか通常は居ないだろうけどさぁ。
スズネさん、どう思う?」
「室長、頑張ってください!」
鈴音が「私は出来ません」と良い笑顔を向ける。
「ほら、部下が期待しているぞ。
明日も訓練だからな。」
「えぇぇぇ・・・はぁ・・・机とか揃うまでの辛抱か・・・」
「アンダーセンさん、うちの室長をお願いします。」
鈴音がアンダーセンに頭を下げて頼む。
「ははは、お任せを。
今は勘が鈍っているでしょうけど。
すぐに勘が戻るようにしますから!」
アンダーセンが笑っている。
「・・・机来てからもするのかなぁ・・・」
トレーシーがトボトボと通路を歩くのだった。
・・
・
「所長に対し敬礼!」
号令がかかると武雄の前に整列した研究所の面々が挙手の敬礼をし武雄も返礼する。
「はい、お疲れ様です。
一応個数の確認はしていますけど、戻ってから小銃の確認と弾丸の残りの確認をしっかりとしてください。
それと講習でも言われたと思いますが、清掃を実施してください。
以上、気を付けてね。」
「敬礼!解散!
再度、皆で忘れ物が無いか確認してから帰投する。
準備しろ。」
「「「はい。」」」
皆が慌ただしく物を確認するのだった。
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