第1630話 特別な射撃訓練。(小銃改を撃ってみよう。)
1200mの的を狙う射撃位置。
マイヤーとアンダーセンが武雄と一緒に長距離射撃を試しにしていた。
「・・・あの~・・・所長、やはり土壁が小さく見えるだけなのですけど・・・」
「ちょっとでも動くと的がどこに行ったか分からなくなりますね。」
アンダーセンが小銃改3、マイヤーが小銃改1を構えスコープを覗きながら言う。
「一応、スコープの倍率・・・拡大率は約3倍。
裸眼で400mを狙っているのと同様に見れているのですけどね。
2人とも400mはまだしていませんか?」
「アーリスとアーキンが試しにしているのを補助はしましたが、私はまだです。
私は100mを主に撃っていました。」
アンダーセンが答える。
「私もとりあえず100mで撃ち方の確認をしていました。」
マイヤーが答える。
「初回だからそれで良いんでしょうけどね。
まぁ400mは訓練して行って貰うしかないでしょうけども。
ちなみに私のこの小銃改1と3は600mと1200mに照準をほぼ合わせた状態の物を1丁ずつ用意し、リュックに収納しておこうと思っています。
用途に合わせて取り出せるようにね。」
「小銃改1を600m、小銃改3を1200mにした方が良いのではないのですか?」
アンダーセンが言ってくる。
「小銃改1はまぁ頑張って人用ですけど、小銃改3は城門への攻撃用ですからね・・・
それでも良いのかなぁ?」
武雄が腕を組み考える。
「アンダーセン、それでは用途が限られてしまう。
所長の言う通り違う威力の600m仕様と1200m仕様の2つの選択肢はお持ちになっていても良いでしょう。
私は計4種の正、副の2丁体制は良いと思います。」
マイヤーが言う。
「・・・ふむ・・・そこまでいらないか・・・
なら小銃改1は600m固定として小銃改3を600mと1200m仕様に作って貰うか。
まぁ費用は問題ないから当初の予定通りに作って貰い、調整しておきますかね。
あとでテイラーさんの店に寄りますか。
・・・で、撃ってみます?
1、2発ならそんなに問題はないはずですよ。」
「「ん~・・・なら物は試しに・・・」」
2人がゆっくりと頷く。
「では、行きましょう。
マイヤーさんは600mに合わせてあります、少し上を狙う事。
アンダーセンさんは1000mで合わせてあります、そのまま撃っても問題ないです。
2人とも当てるよりもこの小銃改シリーズの撃った感覚を味わってください。
初弾射撃後、20秒の後に2弾目射撃とします、それまでに狙いを合わせておいてください。
合図は私がします。
両名構え!」
「「はっ!」」
2人が即座に真剣に狙い始める。
「初弾射撃用意・・・放て!」
「「ドン」」
マイヤーとアンダーセンが小銃改を撃つのだった。
初雪とブルックは皆の後ろで鈴音とお茶をしながら話し合っている。
「スズネ、ということはこの弾丸がこうやって山なりな放物線?を描くのですか?」
「そうです。
実際はここまで差は出ていないはずですけどね。
絵に描いたように山なりで飛んでいきます。
これは01式小銃や武雄さんが使っている改シリーズ全部がそうです。」
「50mと100mを交互に撃ったのでなんとなく分かったのですが・・・
これが200m、400mだとだいぶ山なりになるのですよね?
傾きもさらに2倍か6倍にするぐらい必要ですし。」
「だいぶと言っても数㎜程度の差ですけどね。
例えば・・・50mを狙っている傾きを基準として100mの時の傾きには差がありますよね。
200mになった際に50mから100mの傾きの差を当てはめて傾ければ良いかという話ではないのです。」
鈴音が説明する。
「そうなのですか?」
「ええ、計測していないので弾丸の初速はわかりませんが・・・
実際はこうやって・・・さっきの絵よりも間延びした山なりで飛んでいくのです。
そこまで上に向けるという事ではありません。
なので後は慣れです。」
「慣れかぁ。
とりあえず100mまでをもっとしっかりと当ててから200mに挑みたいですね。」
「頑張ってくださいね。」
ブルックを鈴音が励ます。
「頑張りますとも。
初雪殿はどうでしたか?」
「撃つ度に体に振動が伝わった。
不思議な感じ。」
初雪が首を傾げながら言う。
「あ~・・・スライムは基本体液で満たされていますしね。
もろに衝撃が体を巡るのでしょうね・・・
体に違和感はないですか?脳震とうみたいにクラクラするとか?」
鈴音が初雪に聞く。
「スズネ、大丈夫。
とりあえず、体験は出来た。
明日はしない。
タケオにもさっき撃ち終わった時に言われたけど明日は体の様子を見る。」
「ええ、そうですね。
初雪殿は戦闘をする必要が基本ありませんからね。
たまに練習をされるのが良いでしょう。
スズネ殿はされましたか?」
ブルックが頷く。
「ん~・・・したんですけど・・・
命中率が芳しくありませんね。
私は自衛の為に50mが当たるように練習します。」
鈴音が苦笑しながら言う。
「そうですか。
初雪殿もスズネ殿も400mなんて当てる必要ないですものね。」
ブルックが頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




