第1618話 小銃講義開始。2(試しに撃ち方の体験をしてみよう。)
「今、所長より皆さんにお配りしたのが小銃・・・正式呼称は01式小銃となります。
この銃床部にはシリアル番号を入れています。
渡した小銃のシリアル番号が誰の物かわかるようになっていますので、無くさず渡さずでお願いします。
基本的にお渡しした小銃は皆さん個人向けの支給品となります。」
「「「・・・」」」
皆が一斉に銃床を見て自身のシリアル番号を確認し、貰った資料に書き込む。
「では、次に各部の名前の確認ですね。
これは資料にもありますので、小銃と見比べながら確認をお願いします。」
鈴音の講義は続いていく。
・・
・
各部の説明や撃ち方の説明を終え、今は机を端に寄せ中央で実演の時間になっていた。
「所長がしているようなこの格好が伏せ撃ちです。
体と小銃が安定しますので、まずはこの状態で撃っていきます。
先ほども言いましたが、まずレバーを引く。」
武雄が鈴音の言う通りに動いている。
「この状態で弾丸を入れ、レバーを戻す。
この時しっかりと戻る事を確認してください。
そして完全にロックさせる。
面倒だからといってここの工程を飛ばしてはいけません。
もしロックがかからなければ弾丸が上手く入っていないか、弾丸を入れている部分に何かしら異物が入っています。
なので安全確認の為に確実に実施してください。」
「「「はい!」」」
鈴音の説明に皆が返事をする。
「この状態で撃てる準備が出来ました。
なので目標に対して目と照準を的に対し一直線になる様に構えます。
この時かなり窮屈に感じます。
けど慣れが必要なのでしっかりとしてください。
狙ったら、引き金を引く。」
鈴音の言葉で武雄が引き金を引くと「カチッ」という音がする。
「打ち終わりました。
またレバーを引きます。
この時、中の打ち終わった薬きょうが飛び出るようにしています。
なので、覗かないでください。
結構熱くなっていますので火傷の危険があります。
では、1人ずつ伏せ打ちの格好をしていきましょう。」
・・
・
今はブルックが体験している。
「ブルックさん、意識的に覗き過ぎです。
首を傾げ過ぎています。
ヘルメットがあるんですよ。
ただでさえ頭が重いのですから出来るだけ傾けない。」
武雄が正面に座ってブルックの姿勢を確認している。
「はい!」
ブルックは言われた通り、首の位置を直す。
「銃床を肩に当てて、顔は出来るだけ傾けずに照準を合わせる。
頬にくっつける感じが丁度良いですよ。」
「はい!」
「お、良い感じですね。
よし!撃つ!」
カチッ
武雄の合図でブルックが引き金を引く。
「弾丸交換。」
「交換!」
ブルックがレバーを引くと空の薬きょうが飛び出してくる。
そして横に置いていた空の薬きょうを装填し、レバーを元の位置に戻し、再度構える。
「はい、首が傾いている。」
武雄が指摘する。
「はい!」
「あ、ブルックさん、股の開きはもう少し開いた方が良いですよ。
今の交換の作業で少し閉じちゃいましたね。
こっちの方が訓練時は安定しますよ。」
鈴音がブルックの足を持って開かせる。
「うぅ・・・はい!」
ブルックは四苦八苦しながら頑張っている。
実は実技の為にテイラーの所に保管されていた空薬きょうを鈴音が拝借してきていた。
テイラーも「キタミザト様の忘れ物」程度に思っていたので今回は真似事が出来ていた。
さてブルックが訓練している一方で体験が終わった面々が軽くお茶を飲みながら他の人の訓練を見ている。
「あぁ・・・俺もさっきやられたが、あの体勢は意外と疲れるな。」
「まぁ慣れていないだけではないでしょうか。
剣と同じですよ、何度も練習しないと身には付かないでしょう。」
「それより2人がかりで指導が来るのは凄いですね。」
「2人がかりで射撃体勢を最初から矯正されている感じだな。
最初が肝心という所か。」
「まぁスズネ殿はこの小銃の開発者、所長は第一人者ですからね。
あの2人に最初から指導して貰える私達は幸せでしょうね。
あ、ブルックが終わったか。」
「・・・ん~・・・」
ブルックが変な顔をさせ唸りながら待機している面々の下にやってくる。
「どうだった?」
「ん~・・・・どうしても覗き込みますね。
皆さんを見ていたのでやらないと決めていたのですが・・・覗いちゃいます。
見るのとやるのでは違うのは知っていますが、こうも指摘されるとガックリとしますね。」
「まぁ、ああいった物で狙うというのは俺らもしないしな。
魔法とはまた違った難しさがあるな。」
「はい、あ、アーキンも同じ指摘受けていますね。」
ブルックが次の体験者であるアーキンが武雄と鈴音に指摘されているのを見ている。
「というより全員同じような指摘を貰っているんだがな。」
「「「そうだなぁ・・・」」」
待っている皆が先程の指摘を思い浮かべるのだった。
・・
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「はい、全員終わりましたね。」
鈴音が皆の前に立ち見渡しながら言う。
皆は心持ち顔が疲れていた。
「では最後にメンテナンス方法をお教えします。
これは出先で毎日して頂く事になりますので、しっかりと出来るようにしてください。
まず用意するのは」
鈴音の講義は続くのだった。
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