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第1617話 177日目 新人は研修出向、所員は小銃講義開始。1(はじめよう。)

研究所の3階 所長室。

「ケイ・ケード、パメラ・コーエン、アニータ・チーゴリ、ミルコ・チーゴリ、以上4名。

 これよりエルヴィス家の新人研修に出向します。」

ケイが武雄の執務机前に立ち報告をしている。

他の3名も直立している。

「うん、向こうの受け入れ準備は完了しています。

 この後、城門の詰め所に行ってください。」

「「「「はい!」」」」

「怪我の無いようにね。」

「「「「行ってきます!」」」」

4人が所長室を退出していく。


「主、軍務局から精算伝票が来ましたので確認をお願いします。」

ヴィクターが所長室に入って来て武雄の前に書類を置く。

「・・・4人だけといえども研修というのはお金がかかりますね。

 これでも身内価格なんでしょうから、他の領主にお願いしたらと思うと笑えませんね。」

武雄が内訳を見ながら言う。

「そうですね。

 何事もなければ追加伝票は来ないとの事です。

 4名の研修費用も含めた今年度の研究所の予算修正を終えました、こちらになります。」

ヴィクターが追加で書類を置く。

「ふむ・・・研究所の費用としてはこんなものでしょうけど・・・

 総じて考えると足らないよなぁ・・・」

「今後の研究所の売り上げがどうなるかでしょうか。

 それ以外では人件費以外はあまり使えないようにしていかないといけません。」

「収入を考えるなら盾については原料と人工の経費は変えずに出来て防御力が高いか・・・か。

 まぁ・・・やりようはいくらでもと言いたいですけど、原材料は木から鉄へですので割高になるでしょうかね。

 後は工程数を少なくさせるか。

 ・・・まぁ相談かな。」

「主の頭の中では出来上がっているのですね?」

「試作品はね。

 あとはトレーシーさんとステノ技研が何とかするでしょう。」

「期待しておきましょう。」

「安く出来る方法を探さないとね。」

武雄が苦笑する。

「では、こちらの方は支払いをしておきます。」

「はい、お願いします。

 鈴音の準備は終わっていますか?」

「ただいま、スズネ様は昼食後の講義の準備中です。

 昨日、講習練習との事で主とマイヤー様も内容は見ておいでですが・・・あれでよろしいのですか?」

「ええ、おかしな所はありませんでしたし、パナもテトも問題はないとしていましたしね。」

「そうですか・・・いやはや、不思議な講義でした。」

「至極真っ当な内容でしたが。」

「それは主だけでしょう。」

「ん~・・・そうですか・・・」

武雄とヴィクターは思いが通じず2人して難しい顔をさせるのだった。

・・

研究所の3階 会議室。

今、ここで鈴音が試験小隊及びトレーシーに小銃の講義をしていた。

ちなみに全員作業服に着替えての講義になっている。


「つまり物というのは上から下に常に落ちる力が加わっていると解釈出来ます。

 では、この時50m先と200m先の2つの目標があったとします。

 この時50m先で当たる角度をそのまま200m先にも使ってしまうと・・・物には常に力が加わるので地上に落ちてしまう。

 という事は、同じ角度で打ち出しても到達しないというのがわかると思います。」

鈴音が黒板に放物線を2本描き説明している。

講義を受ける皆は皆に配った資料に追加の説明を書き加えていく。

「今回の小銃というのは・・・最初に弾丸を飛ばす力は一定となりますので、目標の距離によって小銃の角度を変える必要があるというのがわかりますね。

 ここまでが小銃の原理、物を飛ばす事ですが・・・何か質問はありますか?」

鈴音が皆に聞く。

「はい!スズネ殿・・・今の講義は最初の発射する側の力が一定であった場合となるという説明でした。

 という事は角度を同じままにして発射する側の力を大きくするという方法もあるという事でしょうか?」

「ベイノンさん、その通りです。

 目標に対し当てるだけの結果を見る限りでは50mと200mにおいては2通りのやり方があります。

 1つは発射する力を変えて角度は変えない、もう1つは発射する力を変えないで角度を変えるという方法です。

 もっと簡単に考えると、発射する側の力を変える方を魔法での攻撃、角度を変える方を小銃での攻撃と考えると割とわかりやすいのではないでしょうか。

 魔法での攻撃は遠距離になればなるほど魔力量を消費します。

 この小銃は皆さんの逆を行くのです、消費魔力は一定にしてどうにか全部の距離で当てようという考えになるのです。」

「なるほど。」

ベイノンが頷く。

「はい!スズネ殿!

 物を飛ばす距離が変わるという事はその日の天候によって近距離と遠距離での違いが出るという事ではないでしょうか。」

「オールストンさんのご指摘はその通りです。

 魔力量を変化させる方では多少の変化は力押しに出来るでしょうが、今度の小銃では」

流石は実働部隊でこれから自分達が扱う小銃の講義である、皆が必死に考えその場で質問をしていく。

鈴音も淀みもほとんどなくどんどん答えていく。


「所長、スズネ殿は昨日よりも上手く説明出来ていますね。

 説明に詰まりも少ないです。」

「昨日行った説明の際に出たマイヤーさんとヴィクターの質問と似ているのが功を奏していますね。

 本当、事前講義は必要だというのがわかります。」

マイヤーと武雄は一番後ろの席で皆の様子を見ながら鈴音の講義を見守っている。


「アーリスさんの言う通り、本当であればこの小銃の飛距離計算の計算式を乗せるべきなのですが・・・まだ出来ていません。

 それに今はそこが重要ではありません、いつかその辺の資料は作りたいと思います。

 他にご質問が無ければ小休憩を挟んで小銃の各部の説明をします。

 ・・・では、無いようなので10分休憩とします。」

鈴音がさっさと会議室を出て行く。

武雄とマイヤーもそれに伴って出て行く。

試験小隊の面々は雑談に更けるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の読解力や理解力が悪いのかもしれませんが、 「収入を考えるなら盾については原料と人工の売値は変えずに出来て防御力が高いか ~~ 」のくだりはどうとるのが正しいのでしょうか 原材料費と…
[一言] 雑談に更ける ⇒雑談に耽る
[気になる点] ヴィクターが何をどう不思議に感じたのかが不思議です。 もちろん、ヴィクターの常識とズレてるからなんでしょうけど、それが感覚的なものか、知識的なものなのか・・・ 感覚的なものでしたら、ま…
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