第1616話 175日目 客間でのんびりスライム達の将来。(知っているなら活用してね。)
「まぁ・・・タケオに一任するかの。」
エルヴィス爺さんは少し投げやりな感じで言う。
「はい、何かしら説明を求められたらしてきます。」
武雄が観念したように言う。
「それでよろしいのでしょうか?」
エリカが聞いてくる。
「わしらでは手がないからの。
それにしても・・・悪友がいないというのも難儀じゃの。
普通はその辺からも興味を示すような事をされたり言われたりするものなのじゃが。」
「予想通りスミスは友達ができませんでしたが、かといって『今日からこの子が友達です』とかする訳にもいきませんしね。」
「人の付き合いですからね、合う合わないもありますから基本は見守る事にしましょう。
この件は王都に行った際に確認してきます。」
武雄が言うと他の3名も頷く。
「それとタケオ、ジェシーの所のエルダームーンスライムの探索ですが終わりました。」
夕霧が言ってくる。
「え?もう終わったのですか?
関周辺の補強工事が終わり次第と言う話でしたが。」
「ん、増産して実施済みです。そして終了しました。
報告としてエルダームーンスライムは居ませんでした、エルダースライムは10体発見。
こちらに来ています。
あとジェシーの所の南にある森に向かったスライム達は帰還出来ませんでした。」
「帰還せんとな?」
「はい、探索の為送り込みましたが1体も帰ってきません。
なのでジェシーの所の探索は終了としました。」
「それで良いでしょう。
そうですか・・・居ませんでしたか。」
武雄が考えながら言う。
「ん、エルヴィス領に4体居るのが稀。」
「でも王都にも4体だから居るのが普通?」
「そうすると居ないジェシーの所が稀って事っスね。」
夕霧の言葉に初雪と時雨が考えている。
「元々が少ないのですから居る居ないは気にしてはいけませんよ。」
武雄が言う。
「ん、それでタケオ、シウンやイソカゼ、ハマカゼをこっちに引き込んだ時に王都の西側に1体いました。
あれをジェシーの所に送り込めないか交渉しています。」
「交渉を?」
「ん、ジーナの下にいるイソカゼが担っています。
シグレとこの間情報を交換してその辺の事を伝えています。」
「磯風の年齢で大丈夫ですか?」
「イソカゼはシグレとほぼ同い年です。
イソカゼが破裂されることはないでしょう。」
「わかりました。
夕霧のしたいようにしなさい、上手く行けば魔王国側の2つの関の情報が早い段階でわかる事になります。
ダメでも今後、誰かを派遣するという事になるでしょうけど・・・まだ先の事です。」
「ん、ジェシーの所の条件はタケオや伯爵の所と同じで良いですか?」
「ええ、ゴドウィンさんからもジェシーさんからも生息地域の確保と残飯2樽の条件を引き出しています。
向こうで生息地の確保が出来る事を伝えてください。」
「ん、了解。
イソカゼにそう伝えます。」
夕霧が掌からスライムを2体出して床に置くと屋敷を出て行く。
「ジーナにもそう言っておきましょう。
彩雲、今回は彩雲に行って貰いますよ。
出立は明日で良いでしょう。」
「はい。」
彩雲が返事をするのだった。
「あとは・・・スライムと向こうの魔物を使ってジーナが暗躍しておるの。
王立学院内、寄宿舎、魔法師専門学院、酒場、貴族会議の数家かの・・・目立った動きはないとの事じゃが。
些か手を広げ過ぎじゃの。」
「まぁそうですね。
後々王都でスライムの事が認識されるようになるとこちらが不利になるかもしれませんから何でも潜入させれば良いという訳でもないでしょうね。
王城にしていないのはジーナの良心でしょうか。」
「今気が付きましたが、見られているというのは落ち着きませんよね。
気が付いてから緊張してしまっています。」
エリカがそう言ってくる。
「エリカさんは最近スライムを知りましたからね。
私達は普通にそういう物だと思って過ごしていますよ。」
アリスが言ってくる。
「豪胆ですね。」
「やましい事がないので見られていても気にしていません。
むしろちゃんと見ていてくれているという事は何かあった際にすぐに連絡が取れるという事です。
ね、お爺さま。」
「すぐにメイド達に見つかるんじゃ。」
アリスの問いかけにエルヴィス爺さんが疲れた顔をさせる。
「・・・ははは、執務室から出るとわかってしまうんですね。
そうか、監視されていると思っているから嫌な気分になるのですから、いつでも連絡できるようになっていると考えれば気分は楽になりそうですね。」
「王城に入れる事はないでしょうね。
王城内の動向など調べていても楽しい物ではないでしょうし、あそこは精霊達が居ますからすぐにばれそうではあります。
ですが、ジーナのやる気を無下にも出来ないですからね。
現状維持で徹底的に見つからないように対策を練る事にして貰いましょうか。」
「そうじゃの。
あまり表立ってする事でもないし、今必要な事でもないの。
それとなく見ておれば良いのじゃ。」
「はい、わかりました。
それとエリカさん、何かあればジーナに言えば片道2日程度で私達と連絡が出来ますので緊急時はお願いしますね。」
「わかりました。」
エリカが頷くのだった。
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