第1611話 ブルックとアーキンと歓談。(追加仕事を作ってしまう。)
歓談はアーキンとブルックが最後を飾っていた。
というのもアニータとミルコは前の時に話は出来ており、ケイとパメラはガチガチに固まってあまりしゃべれなかったので両方とも「今後も頑張るように」との短い会話で終わって今は席に戻っている。
「ブルックは王都育ちだったのじゃな。」
「はい、王都守備隊に入って色々な地方に行きましたが、エルヴィス伯爵領が一番ですね!」
ブルックが笑顔で言う。
「嬉しい事を言ってくれるの。
お世辞でも嬉しいの。」
エルヴィス伯爵が嬉しそうに頷く。
「いえいえ、本心から思っています。
領民は穏やかで勤勉、主な物価は手ごろな価格で料理も美味しい。
理想の地方領ですよ♪」
「はい、それに異種族にも寛大な土地柄であるのも素晴らしいです。
種族に関係なくいろいろな事をしています。
王国の理想としている事をこの地では出来ているのです。」
「うむ、それはブルックやアーキンの功績でもあるの。」
「「そうなのですか?」」
2人が聞き返してくる。
「タケオ様と一緒にヴィクターやジーナちゃん、アスセナさんやビエラちゃん、ベルテ一家やニルデちゃん、ジルダちゃんを連れて来てくれたでしょう?
私達が連れ歩いたり、各々で買い物をしていたりと日常的に街に居ることによって、私達が雇用していると街中でも知られ始めてたんですよ。
そして少しずつですが、街中で異種族でも雇用してみようという動きがあるのです。」
アリスが説明する。
「はぁ・・・では、私達がしてきた事というのも・・・」
「うむ、連れて来た者達によって、この地に良い風が吹いておるのじゃ。
それにこの流れが続けば・・・少し時間はかかるじゃろうがいつかは王都でも始まるじゃろう。
我が領に取ってもアズパール王国に取ってもブルックとアーキンは素晴らしい事をしたという事じゃ。
2人共良く頑張ったの。」
「「はい!ありがとうございます!」」
アーキンとブルックが嬉しそうに頷く。
「ちなみに今日の料理はどうだっかの?
一目散にスイーツに向かっていたようじゃが。」
「見られていましたか。」
ブルックが笑いながら言う。
「他の家族が料理に行く中、一部の者達がスイーツに迷わず行ったしの。
ここから見ると目立っていたのぉ。」
「お恥ずかしい限りです。
そうですね・・・ミルクレープとシュークリームは平日の午後に食べたいスイーツですね。
ゆっくりと時間をかけてのんびりと味わいたい感じです。」
「ふむふむ。」
「アップルパイは戦場や訓練場、移動中での疲れた時に食べたいですね。
食べ応えもありましたのでうってつけだと思います。
小さくされていてもリンゴの食感とほのかな酸味、砂糖の甘みが絶妙で美味しかったです。」
ブルックがスイーツの総評をしている。
「ふむ、なるほどの。
タケオ、良い情報じゃの。」
「現場に出ている者の意見は重要ですね。
エルヴィスさん、ちなみに戦場には料理人は連れて行くのですか?」
「一応、この家から6割の人員と街中から募集するの・・・まぁ二十数名という所か。
基本は非戦闘員じゃから現場ではすぐに逃げれるように準備をしての作業じゃ。
エルヴィス家の所は1000名程度じゃからこんな物じゃが、ゴドウィン家の所は3倍は居るからの。
荷駄、料理人共に凄い数になるのぉ。」
「へぇ~・・・大変ですね。」
武雄が感嘆する。
「第二研究所の所はどうするのじゃ?」
「うちは最大3小隊ですしね・・・
エルヴィス家の基準で考えれば2名程度必要なんでしょうけど・・・私も含めて持ち回りで良いんじゃないですかね?
アーキンさん、ブルックさん、どう思いますか?」
「組織の長である所長が料理などと・・・と言わないといけないのでしょうけど。
所長より料理が上手い者が居ないのも事実なんですよね。
所長の料理の味を知ってしまうと・・・お願いしたくはなります。」
「私達の意見としては3日に1回ぐらいは所長の夕食が食べたいです。
戦場での楽しみなんて食事くらいですし。」
アーキンとブルックが嘆願してくる。
「戦場で料理かぁ・・・コンテナも作るし・・・キッチンカーでも作るか。」
武雄がボソッと呟く。
「「「ん?」」」
エルヴィス爺さん、アリス、エリカが反応して武雄を見る。
「え?・・・あ~・・・
幌馬車の荷台を改造して簡易厨房を備え付けようかと。
そうすれば野外でするよりもマシな物が出来ますしね。」
武雄が説明する。
「幌馬車に・・・かの?」
「正確には私がローチ工房に依頼しているコンテナを搭載した荷馬車の活用ですけどね。
全面板張りですので、家具の備え付けも出来るでしょうし、側面を開放出来るようにすれば簡易テントを張るだけで食堂になるでしょうからね。
各軍に2台か3台あっても便利かと思いますが・・・まぁとりあえずうちの試験小隊用に作って試験運用ですかね。」
「面白い考えじゃの。
タケオは王都に半年に1回は行くしの、試験小隊の演習で少し遠出もするかもしれぬ。
人工湖周辺の視察等にも使えそうじゃの。
じゃが、我が家では平時ではなかなか3台も使わなさそうじゃの。」
「とりあえず1台作ってみてエルヴィス家とキタミザト家の共用という形で運用してみましょうか。」
「そうじゃの。」
エルヴィス爺さんが頷くのだった。
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