第1610話 挨拶開始。(マイヤーとアンダーセンとトレーシー。)
武雄達は各家族と挨拶を始めていた。
1番手はマイヤー家族。
「はははっ、それほどまでじゃったかの?」
「はい、こんなに美味しい物が今後発表されていくとはエルヴィス伯爵様の手腕は凄いです。」
マイヤーの妻が伯爵と話をしている。
「実際にはこんな数の発表が出来るとは思ってはいなかったがの。
じゃが、その顔を見れば領民達も喜んでくれる可能性が高いの。」
「はい、間違いなく。
最初はどこかの店にお教えするのですか?」
「いや、まずは組合にの。
個別に教えるといろいろとあるからの。
後々は一般家庭向けに本も考えておる。」
「ぜひ、その本は早急に発売して欲しい物です。」
「はははっ、領内の結果しだいじゃろう。
お~・・・そうだ、この子が娘じゃの。」
エルヴィス爺さんがエルザを見る。
「は・・・伯爵様!この度はありがとうございます。
エルザ・マイヤーと申します、11歳です!
父がお世話になっています!」
エルザが深々と礼をする。
「うむ、わしというよりもタケオが主にじゃがな。
まぁわしとしても父親の前の仕事でお世話になりっぱなしじゃったがの。」
「滅相もございません、伯爵様。」
マイヤーがそう言ってくる。
「いやぁマイヤーさんは居てくれて本当に助かりますよ。
貴族や所長になる前から傍に居て助言をくれましたし、これからも頼りにしています。」
「そうですね。
マイヤー殿は補佐が上手でいらっしゃいますよね。
タケオ様へ適度な助言と苦言、研究所の面々への指示、もうタケオ様はマイヤー殿が居てくれるおかげで研究所が切り盛り出来ている感もありますよね。」
「所長、アリス殿、持ち上げすぎです。」
「「正当な評価ですよ。」」
武雄とアリスが笑いながら言うがマイヤーは褒められ過ぎのようで若干照れている。
「お父さん、凄いんだね!」
エルザの中で父親株が上昇するのだった。
・・
・
次はトレーシー一家とアンダーセン一家とで話をしていた。
「そうか、クラーク伯爵の娘さんじゃったか。」
「はい、父は貴族会議ですが、本音を言えば地方領主が羨ましいようで、昔は良いなぁと愚痴っておいででした。
私も来てみて驚きましたが、正直地方領がこれほどまでに素晴らしい所だとは・・・父が羨ましがっていた意味がわかります。」
「王都も地方も大変な事には変わらんと思うがの。
そう言って貰えると今までの政策が間違っていなかったと思えるの。
それにしてもあのクラーク伯爵がのぉ。」
「父は何かされましたか?」
「いや、そうじゃないのじゃ。
わしが71でクラーク伯爵は2つ上じゃから73かの?
王立学院でわしが入学した時の生徒筆頭じゃからの、他の貴族達よりも名を覚えておるだけじゃよ。」
「そうでしたか。」
「うむ、浮名を流しておったのを記憶しておる。」
「・・・え?初めて聞きますが。
いったいどのような?」
「わしは下級生じゃったから詳しい事は何も知らぬが、見かける度に女性が傍に居たのは知っていたの。」
「そうでしたか。
多分母とは王立学院時代に知り合ったと言っていましたので、その横に居たのは母ではな」
「毎回違っておったのじゃがな・・・」
「実家に問い合わせます!」
セシリーが真面目顔をして答える。
「伯爵様、すみません。
あとでその事について何か言われるかもしれませんが。」
トレーシーが妻のセシリーの言い方に汗をかきながらエルヴィス爺さんに謝る。
「ははは、セシリーが上手くボカシてくれるのじゃろう?」
「はい、貴重な情報を頂きました。
情報を頂いた方の名を明かす訳はございません。」
「うむ、よろしく頼むの。
わしが王城に行った際に怒られるようにはしないでくれると助かる。」
「はい、そこはお任せください。」
「あぁ・・・心配だぁ。」
トレーシーが汗の量が多くなる。
「セシリーさん、クラーク伯爵様の秘密を知った感じですね♪」
デリアが笑っている。
「おい、失礼だぞ。」
アンダーセンが妻のデリアを注意する。
「私の実家は伯爵家です。
秘密の2つや3つはありますが・・・貴族関係なく聞かないといけない事ですからね!
デリアさんだって秘密はあるでしょう?」
セシリーがデリアに言ってくる。
「私?
・・・特にないかな?」
「・・・」
デリアは首を傾げるがアンダーセンは目線を少し下げて何も言わない。
「ふむ・・・確か第1皇子の正室がボナー姓じゃったか?
遠縁かの?」
「良くご存じですね。
調べましたか?」
「いや、たまたまじゃぞ?
ボナー姓はあまり聞かないからの、そう思っただけじゃ。
間違っていれば笑い話で済むしの。
じゃが、違う訳ではないようじゃがの。」
「はい、遠縁になります。
ですが、面通しもした事がないですし、騎士団に入る際にその辺りの縁は切っていますので。
あまりこれといって影響はないですね。」
「そうじゃったか。
で、早々に騎士団に入ってアンダーセンの妻の座を射止めたのじゃな!」
「はい!良い男なんですよ!
将来性があると思ったんですが、ここまでとは思いませんでした!」
「ははは、良い先見性を持っておるのじゃ!」
「アリス様には遠く及びませんよ。
これほどの料理や自らの武功、功績で貴族になる方を射止められるのですから。」
デリアが言ってくる。
「あら、私が褒められた。ありがとうございます。
それにしてもデリアさんが見初めたという事は他の方々も狙って・・・アンダーセン殿もかなりおモテてになったんじゃないですか?
良く射止められましたね?」
「いや~、ライバルは多かったですけど蹴散らしまして。
ぐいぐい行ったら何とかなるものですね!」
「まぁデリアとアンダーセン殿は王都で有名ですから。」
セシリーが参戦してくる。
「ほぉ、どんな風じゃったのじゃ?」
エルヴィス爺さんが聞いてくる。
「おい・・・やめてくれ・・・本当にやめてくれ・・・」
アンダーセンが慌てるのだった。
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