第1607話 会食の集まり。(一番乗り。)
エルヴィス伯爵邸の前。
「・・・」
「・・・いや、いつまで見ているんだ?」
制服をしっかりと着込んでいるマイヤーが娘、エルザが伯爵邸を見て固まっているので声をかける。
「本当にこれからお屋敷に入るの?」
「そうだな。
伯爵と子爵がお待ちだな。」
「・・・っ!」
マイヤーの娘が意を決したのか歩き出す。
「アナタ・・・あの子大丈夫かしら?」
マイヤーの妻がコソッと声をかけてくる。
「大丈夫だと良いが・・・緊張しているな。」
「一応、替えの下着は持って来たけど・・・」
「使わない事を願うばかりだな。」
マイヤーとマイヤーの妻がため息をつくのだった。
「マイヤー殿、こんばんは。」
「「こんばんは~。」」
ブルックとアニータとミルコがやってくる。
「お、3人共お疲れ様。
ちょうどいい時間だな。
アーキン達はどうした?」
「後から来ますよ。
ケードとコーエンも一緒に。」
「何かあったのか?」
マイヤーが聞いてくる。
「いえ、ケードがお茶をこぼしてコーエンにかかったんです。
着替えに行っています。」
「ふむ・・・気を付けないとな。」
「ええ・・・ですが、今日の帰りにはまた汚れている気がするんですよね。
あの子達、制服に予備がありましたかね?」
「ないと思うが・・・まぁすぐに洗濯すればいいだろう。」
「はい、奥様、お久しぶりです。」
「「こんばんは。」」
「ええ、ブルックさんもアニータちゃんもミルコくんも元気そうね。
今日の子爵様はどんな感じになるのかしら?」
「たぶん・・・以前会われたあのままですが?」
「気さくな青年ね。」
「はい。」
「伯爵様は?」
「普通の方・・・普通の貴族ですが?」
「わからないわね。」
「はい、普通ですので。」
ブルックが説明のしようがないので「普通」と答えている。
「まぁ会えばわかるだろう。
エルザがもう玄関に到着する、俺らも行こう。」
「そうね。」
マイヤー達が玄関に向かうのだった。
・・
・
マイヤー達が玄関に入ると。
「「「マイヤー様ご一家、ブルック様、チーゴリご姉弟様、ようこそおいでくださいました。」」」
メイドが6名おり両脇に並んで挨拶をしてくる。
「この度は伯爵様にご挨拶する場を提供いただきありがとうございます。」
マイヤーが礼をしながら言う。
「・・・お邪魔します・・・」
エルザは緊張しながら小声で挨拶をする。
「マイヤー様が最初にお越しになられたのはアリス様の監査の際でございました、また先の陛下がご逗留されました際も一時お越しになりましたが、そのどちらもお忙しく動かれていたので私達は何もご対応が出来ませんでした。
今回あの時ご対応出来なかった分も含め精一杯給仕させて頂きます。
本日はごゆるりとお過ごしください。」
メイドの1人がそう宣言し頭を下げると他のメイド達も頭を下げる。
「いや・・・仕事でしたし。」
「いえ、私共は伯爵家のメイドです。
一時でもお越しくださった方に満足いく対応をしてこそのメイドです。
さて本日は・・・前へ。」
「「はい!」」
メイド2名が前に出る。
「本日この2名が出来る限りお傍に控える事になっております。
なんなりとお申し付けください。
では、ご案内を。」
メイドがそう言い担当のメイドに続きを促す。
「マイヤー様、奥様、お嬢様。
本日はよろしくお願いいたします。
では、私が先導いたしますので食堂にお願いいたします。」
「はい、お願いします。」
「はい。」
「はい!」
メイドに連れられてマイヤー達が広間に向かう。
「ブルック様、本日はよろしくお願いします。」
「はい!お願いいたします。
ですが、専属のメイドは私達下の者には不必要だと思うのですが。」
ブルックが言ってくる。
「そのような事はございませんが、ご不快になるようでしたら専属は設けず、何か御用がある際は近くのメイドにお声がけください。
・・・と言いたいのですが、軽くで良いので使ってみて頂けませんでしょうか?」
「と、言いますと?」
「はい、キタミザト家のメイド見習いに訓練をさせたいのです。
キタミザト様に相談した所、ブルック様とアーキン様にお願いし、了承するならと許可を頂いております。
もちろん指導員としてメイドが各々1名横に控えております。
粗相はさせませんが、若干もたつく可能性がございます。
ご不快なら訓練はお願いいたいしませんが、出来るのならば飲み物を取ってこさせる程度の仕事をさせて頂けませんでしょうか。」
メイドが言ってくる。
「確かにほぼ身内の私達で経験させるのが何かあっても問題ないですかね。」
「はい、何卒、お願いいたします。」
「ならアニータにミルコ、ケードとコーエンに付けてください。
この子達も初めてですから補助が必要でしょう。」
「畏まりました。
後程、お側に控えさせて頂きます。
それまでは・・・前へ。」
「「はい。」」
メイド2名が出る。
「こちらの2名が近くにおります。」
「よろしくお願いいたします。」
ブルック達が礼をする。
「ブルック様、アニータ様、ミルコ様、よろしくお願いいたします。」
「「はい。」」
「あ、他のご家族は?」
「まだお越しではありません。
マイヤー様とブルック様方が最初です。」
「了解しました。
ちなみにキタミザト様は?」
「先ほどまで厨房で皆の料理を作っておいででした。」
「いつもの所長ですね。
何やら新作があるような事を言っていましたが・・・」
「ヒルダお嬢様とキタミザト様のスイーツも出来上がっております。
準備は終わっていると私共に連絡が来ております。」
「おお、それは楽しみですね。
他の料理は何が出るのですか?」
「カレーや米、ウスターソースを使った野菜炒め等を筆頭にキタミザト様が考え付いた物、この街に根付かせようとした料理全てが出ます。
王都から来られた方々が一堂に会しますので出し惜しみはしないとの事です。」
「げ・・・胃袋が足らない・・・
そしてスイーツがこれまでの全てに今回の新作・・・最初の料理等は少なくしないといけないのかなぁ・・・」
ブルックがガックリと肩を落とす。
「皆さまの反応が楽しみではあります。」
「ある意味戦場だろうなぁ。」
ブルックが会場の様子を気にするのだった。
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