第1602話 今日は時短勤務です。(さっさと帰ろう。)
15時くらいの研究室の所長室。
「主、総監殿、研究室、試験小隊全員帰宅しました。
アスセナは各部屋の施錠をしに行っています。
初雪様はスライムを生産しております。」
ヴィクターが報告してくる。
「ご苦労様です。
夕食にまたエルヴィス伯爵邸で食事会ですが・・・
私はその前に料理ですね。」
武雄が帰り支度をしながら言う。
「はい、昼食後にお聞きいたしましたが、また新しい物をとの事で・・・厨房は問題ないのですか?」
「コノハから連絡があって準備出来たそうです。
・・・早く帰って来いと催促がひっきりなしに来ていますが。
ヴィクターもアスセナさんもこの後エルヴィス伯爵邸でのお手伝いお願いしますね。
お土産は用意しておきますから。」
「それは楽しみですね。
あとは・・・」
「し・・・失礼します!
キタミザト様、終わりました!」
「ヴィクター様、喫茶店も含めて施錠終わりました。」
ヒルダとアスセナが所長室の入り口にやってくる。
「はい、お疲れ様です。
私も終わりですからね。
一緒にエルヴィス伯爵邸に行きましょう。」
「はい!」
ヒルダが返事をする。
「あれ?そういえばヒルダのお母さんはどうしました?」
「伯爵様のお屋敷に行く事を伝えたら『お土産待っている』と先に帰りました。
他の方達とお茶をするとか言っていました。」
「まぁ元々エルヴィス家で働いていた人達ですしね。
と、ヴィクター、帰りましょう。」
「はい。
アスセナ、荷物は大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません。」
「じゃあ、行きましょう。
初雪~、帰るよ~!」
武雄達が研究所を後にするのだった。
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エルヴィス伯爵邸の客間。
「・・・タケオがやっと研究所を出たわ。」
「そうですね。」
チビコノハとチビペイトーが窓の淵に仁王立ちしながら呟く。
「コノハ、何をそんなに急いでいるの?」
「そうですよ。ペイトーも何を急いでいるの?
お菓子を作るのでしょう?
さっき皆で食材の確認したじゃないですか、問題ないって。」
「アリス、エリカ、愚問よ。
美味しい物を作るというのは最高にして至高!
またこの世にアリス達が食べた事ない物が出るのよ!これを逸らないでどうするのよ!」
「まぁ・・・タケオ様達が戻らないと食べれませんし、相手はヒルダちゃんならまた何か思いついたという所なんでしょうけど。」
「ヒルダ・・・アリス、その子はどんな子なの?」
「普通の子です。
発想がタケオ様が喜ぶくらいの天才ですけど。
ラダ・・ニラでしたか?
前にヒルダちゃんが思い立ったトマトソースとホワイトソースをパスタで段々になっている物を作っていましたよ。」
「ラダーなニラって何よ・・・トマトとホワイトの段々という事はラザニアが有力ね。
となるとミルクレープは出てきそうね。」
「ティラミスも有望かと。」
コノハの言葉にペイトーが答える。
「あれはココアパウダーがないとなぁ・・・珈琲もないしね。」
「残念です。
今回はアップルパイとシュークリーム、上手く行くのでしょうか。」
「パイ生地は・・・手元にあるのは中力粉、薄力粉と強力粉が手に入らないんだわ。
こればっかりはやってみるしかないけど・・・何とか形には出来るんじゃない?」
「パイ皿ではなく、グラタン用のを用意しましたが、大丈夫でしょうか。」
「パイ皿がないのは残念だけど用途はほぼ一緒のグラタン皿だからね・・・焼き時間に少し注意が必要だけど何とかなるわよ。
初めはなんでもない所からよ、ある物を使い代用していく。
上手く流行れば専用の道具が出来るでしょう。
問題はシュー生地の丸く絞る工程が難しいわ。
ペイトーが紙でするみたいな事を言っていたわよね。」
「はい、大き目の紙を先が尖るように丸め、先端を切れば出来るでしょう。
使い捨てですが。」
「それもしかたないわよ。
あとは・・・上手く行く事を願うのみね。」
「はい。」
コノハとペイトーが意を決している。
「・・・なんだか凄く意気込んでいますね。」
「ん~・・・上手く行くのかな?」
エリカとアリスはコノハ達を見守るのだった。
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マイヤー宅。
「戻った・・・ぞ。」
玄関から入ったマイヤーが呆気に取られる。
娘がおめかししていつでも出かけられるように支度済みなのだった。
「・・・まだ早いんじゃないか?」
「居ても立っても居られなくて!」
「昼過ぎからこんな調子でついでに私もと思ったんだけど、アナタの制服のズボンについた皺を軽く伸ばさないとね。
私も余所行き用のは出したんだけど準備だけはしてあるわ。」
「そうか・・・
一旦部屋着に着替えるか。」
「ズボンだけで良いわよ。
そしたらこっちで皺伸ばすから。」
「そうか、よろしく頼む。」
マイヤーが自室に向かうのだった。
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トレーシー宅。
「お母さん!これで大丈夫?」
「大丈夫よ。
それじぃじに貰ったのでしょう?問題ないわよ。」
「えーっと・・・予備のズボンはっと・・・」
「アナタは今日のズボンの皺伸ばしで十分!
そこに置いて!すぐにするから!
それと軽く湯浴み!用意は終わってる!」
「はい。」
トレーシーが湯浴み場に行くのだった。
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エルヴィス伯爵邸近くの喫茶店。
「やる事ないわね。」
「まぁ・・・このまま伯爵邸に行けば良いだけだし、戻ってもゆっくりは出来ないからな。」
「くぅ・・・」
「すぅ・・・」
「「・・・」」
ブルックとアーキンは寝ている子供達と一緒に時間を潰すのだった。
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