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第1599話 175日目 落ち着き始めた研究室。(卓上スタンドが高いとな。)

9時半くらいの研究所の1階 試験小隊詰め所。

「ん~・・・やっぱりわからないな。」

「わからないというか・・・想像が難しいですね。」

「これが・・・こうで・・・ん~?・・・回るとそんなに水が取れるのですかね?」

ベイノン、アーリス、オールストンが鈴音が持ち込んだ小さめの手回し脱水機を見て悩んでいた。

「お三方、何を悩んでいるんですか?」

パメラが聞いてくる。

「いや、スズネ殿が洗濯後の衣服に浸み込んだ水を服から取り出す機械を持ってきたのだが。」

「はぁ・・・このハンドルを回すんですかね?」

「らしい。」

「肝心のスズネ殿はどこに?」

「2階でトレーシー殿と一緒に研究室の研究所の区分けについて業者と話をしているぞ。」

「なら戻って来たら聞けば良いですね。」

「そうだなぁ。」

皆が開発者が来るまで眺めるだけで我慢するようだ。


------------------------

研究所の3階 所長室。

「・・・」

武雄が報告書に目を通していた。

「失礼します。

 所長、そろそろ2階の方が煮詰まって来たかと思うのですが。

 参加しますか?」

マイヤーが所長室に入ってくる。

「うん、そうですね。

 マイヤーさん、この領境での訓練と大演習、その後のほふく前進訓練の各自の報告書は見たんですよね。」

「先ほど見ました。

 面白い感想は少なかったように思いますが?」

「ふむ・・・確かにほとんどの報告書は面白くないですし、3人目くらいから集中力がなくなり眠くなりますね。」

「ええ、班や小隊単位で1枚の報告書を書く意味がそれですね。

 今回は各自に書いて貰っていますが、次回からは班か小隊単位で書かせましょう。」

「ええ、その辺の指導はお願いします。

 で・・・この子供達の方なんですが。」

武雄が4枚の報告書兼感想文を持ち上げる。

「あぁ、オーク戦ですね。

 唯一面白いと思った物ですね。」

「これエルヴィス伯爵に見せて良いと思いますか?

 一応戦闘報告になりますし、あの子達は今研修中の身なので所属先に上げようと思うのですけど。」

「・・・あ~・・・平気ではないでしょうか。

 伯爵様もわかってくれるでしょう。」

マイヤーが困った顔をさせながら言う。

「はぁ・・・まぁそういう反応でしょうね。

 問題はないとして伯爵に見せるか。」

武雄が諦め顔で呟く。

「興奮冷めやらぬ中での感想でしたし・・・ちょっと描写が生々しい感じではありますけど、達成感が伝わる内容でしたよ?」

「ええ、そこは私も認めます。

 が・・・ちょーっと表現がなぁ・・・夕食後か朝食を取って時間が経ってからにしますか。」

「はい、それがよろしいかと。

 では、2階の打ち合わせに参加しましょう。」

「そうですね。」

武雄が席を立つのだった。

・・

「なるほどね。」

「こうなるんですか。」

武雄とマイヤーがトレーシー達が打ち合わせをして鈴音が簡単に書いたフロアマップを見ながら感心していた。

「ど・・・どうでしょうか?」

モニカが緊張した表情で聞いてくる。

隣にいる旦那さんも緊張しているようだ。

「モニカさん、なんで緊張しますかね?

 平気ですよ、何か私がする訳でもないですし、トレーシーさん、ここの机と本棚の関係はどうなっています?」

「はい、本棚の天板の高さが机の高さと同じ物にして3段にしています。

 高さが同じなので重量がない小物も置けるだろうと考えています。」

「なるほどね。

 本棚も3段なら個人的な資料を入れられると。」

トレーシーが説明すると武雄が頷いている。

「トレーシー、この個室の壁の高さはいくつにした?」

「天井までにはしませんでした。

 180㎝くらいの仕切壁で囲います。

 個室前の通路を歩いていても中は見えませんが、声や音はわかりますので生存の確認は出来ます。

 所長の提言通り個室の入り口は扉ではなくカーテンにします。」

「そうか。」

トレーシーが説明するとマイヤーが頷く。

「武雄さん、卓上スタンドなんですけど。」

「ええ、良いのありそうでしたか?」

「え?買って良いんですか?」

「・・・ダメという理由がありませんが・・・

 何かあるのですか?」

「卓上スタンド・・・高いんですよ。」

「へぇ~・・・」

武雄が「そうなの?」という顔をさせる。

鈴音は「あ、この顔はわかっていない」と思う。

「主、私めも一緒に買いに行きましょう。

 上限は金貨1枚までという事で。」

ヴィクターが伝えてくる。

「え・・・金貨なの?」

「はい、金貨1枚でも安い方かと。

 一番シンプルな物が手に入ると思われます。」

「そんなにするんだ・・・まぁ、個室でするんですから卓上スタンドは必要でしょう。

 あまり高くない物を探して購入してください。」

「はい、わかりました。

 えーっと、私とトレーシーさんは買いに行きますけど・・・

 パナさんと初雪さんの分は?」

「私は一番無難な・・・シンプルな物で。

 ステンドグラスのような意匠は一切いりません。」

「私は何でも。」

パナと初雪が答える。

「ん~・・・トレーシーさん、まとめて買ったら安くなりますかね。」

「なるでしょうね。

 一番、シンプルな物を注文しましょう。

 多分、4つなんて揃えてないでしょうから受注後製作ですよ。」

「そうですね。

 なら、この後雑貨屋に行きましょう。」

トレーシーと鈴音が真剣な表情で頷く。

「あ~・・・なら私のキセルの葉買って来てください。

 予備がなくなりそうなので。

 伯爵邸から表通り沿いに行って1件目の雑貨屋です。

 ほら、鈴音、残りはお小遣いであげるから。」

武雄が銀貨1枚を渡す。

「いや、この年でお小遣いもなにも・・・

 まぁ良いですけど。

 気に入ったら買ってきます。」

「うん、買っておいで。」

武雄が手を振りながら「いってらっしゃい」と見送るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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