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第1598話 173日目 初失敗。(ワザとじゃなければ怒る必要はないよね。)

夕方、エルヴィス伯爵邸の玄関。

「ただいま戻りました。」

武雄が玄関に入ってくる。

「キタミザト様、おかえりなさいませ。」

「「「「おかえりなさいませ。」」」」

指導員メイドと子供達が出迎えてくれる。

「はい、ただいま。

 今日はここのお仕事なのですね。」

「はい、玄関周りの清掃と来客等の対応です。」

ルフィナが答える。

「壺とか割っていませんか?大丈夫ですか?」

武雄が子供達に聞く。

「だ・・・大丈夫ですよ?

 ねぇ?お姉ちゃん?」

「ルアーナ、私に振らないで・・・でも割ってはいないです。」

「キタミザト様、現在1個を修復中です。」

ヴィートが報告してくる。

「??・・・どういうことでしょう?

 壺なのに割れてないのですか?」

武雄が指導をしているメイドに聞く。

「あ~・・・ちょっと傷つきまして、ヒビが・・・

 割れてはいないんですよ。

 キタミザト様の問いかけにはしっかりと回答しているかと。」

メイドが苦笑している。

「ん~・・・修復技法かぁ・・・

 金継ぎというのは知っていますが、どう修復されるのか楽しみに待っていましょう。」

「畏まりました。」

「「「「ほっ。」」」」

子供達が武雄に怒られなくて安堵する。

「請求書は回しておきます。」

「高くなければ良いなぁ。」

メイドの言葉に武雄がガックリとする。

「「「「あ・・・」」」」

子供達が今日の失敗で武雄がガックリとする姿を見て落ち込む。

「まぁ、最初から上手くは行きませんよ。

 今回は修復出来るだけまだ良い方です。

 取り返しのつかない事にならずに良かったです。

 私からは以上。」

「「「「はぃ・・・すみませんでした。」」」」

「この程度、誰でもしますからあまり落ち込まなくて良いですよ。

 次、同じ失敗をしなければ良い、今日の失敗の原因をちゃんと自分なりに考えて次に活かしなさい。

 さて、寝室に戻ってから・・・夕食はどうなっていますか?」

「はい、もうすぐ出来上がる予定です。

 伯爵様達は客間においでです。」

「今日は直接食堂に行きます。」

「畏まりました。

 伯爵方にはそのようにお伝えします。」

「よろしくお願いします。

 では。」

武雄が子供達の前を去っていく。

メイドや子供達が礼をして見送る。

・・

「「「「はぁ・・・」」」」

武雄が去って、子供達はでっかいため息をつく。

「まぁ・・・してしまったのは仕方ないですが、キタミザト様もわかってくださいました。

 流石に毎回となるとキタミザト様もお叱りになるでしょう。」

メイドがそう言ってくる。

「「「「はぃ・・・」」」」

「キタミザト様も言っていましたが、次に同じ失敗をしないようにしないといけません。

 なので今日の失敗の原因とどうすれば良かったのかの改善を皆に宿題に出します。

 明日の朝に聞きますからそれまでに考えて来る事。」

「「「「はぃ。」」」」

「では、今日はこれから配膳のお手伝いをしましょう。

 気持ちを切り替えて!そんな気持ちでは今度は皿を割ってしまいますよ!

 まずは言われたことをする!

 仕事です、しっかりしましょう!良いですね?」

「「「「はい!」」」」

子供達が返事をするのだった。

・・・

・・

夕飯後の客間でのティータイム。

「子供達がさっき就寝の挨拶に来たが落ち込んでいたの。」

「まぁ壺にヒビを入れましたしね。」

エルヴィス爺さんの言葉に武雄が言葉を返す。

「そうじゃったの・・・やっとか。」

「時間がかかった感じですね。

 私は初日にすると思っていました。」

「わしもじゃ。

 修理費用はタケオ持ちの体じゃがどうするかの?」

キタミザト家(うち)の子達の不始末なのでしっかりと支払います。

 ただ高額な場合は分割払いの相談をさせてください。」

「うむ、わかった。

 それと今回の修理じゃがな、新しい物を買っても大して金額が変わらなそうなんじゃが、どうするかの?」

「・・・今回に限っては修理し、あの子達に見えるように配置してください。」

「戒めとして使うという事じゃな・・・良いじゃろう。

 フレデリック、業者に手配を。」

「はい、畏まりました。」

フレデリックが頷く。

「割れてもそこまで被害がない物を置いていると聞いていますけど。」

アリスが考えながら言う。

「そこまでという括りで損害自体はあるのです。

 で、あるのなら割らない事に越したことはありませんよ。」

武雄がお茶を飲みながら言う。

「そうじゃの・・・次からは壺の周りでは慎重に動くじゃろう。

 それにあの子達が今回壊したのは骨董市で出ていた品だそうじゃ。

 大して費用は掛かっておらんよ。

 古っぽく見えるから長年あるように見える物じゃ。」

「そうなんですか、少し意地悪かもしれませんが、訓練と思って貰うしかないでしょうか。」

「これは仕方ないですよ。

 今回のように割って良い物を配置しておくぐらいしか対処方法はありません。」

アリスとエリカが「しょうがない」と苦笑している。

「そうじゃの。

 それにアリスが子供の頃壊した物の総額を考えれば子供達が今日壊したのが軽く100個は買えるかもしれんしの。」

エルヴィス爺さんが楽しそうに言う。

「お爺さま、それを今言いますか?」

「アリス殿、お転婆だったのですね。」

エリカがしみじみと頷きながら言う。

「私は活発だったんですよ♪」

「アリスのはお転婆と言うのじゃ。」

「活発です!ね?タケオ様。」

「元気な子供で良いじゃないですか。

 家の中が楽しそうですよ。」

「です!です!」

「タケオ・・・そうじゃないのじゃよ。」

エルヴィス爺さんがボソッと呟くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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