第1596話 適度にエクササイズ。(認識がおかしいのか。)
武雄とアリス、エリカ、ヴィクターとアスセナが伯爵邸に向けて歩いていた。
「アスセナさん、ヴィクター、持って貰ってすみませんね。」
「いえ、中身もないですし軽く水で洗いましたので軽い物ですよ。」
「はい、問題はありません。」
アスセナとヴィクターは空のお鍋に皆が使ったコップを入れた状態で持って歩いていた。
「タケオ様もですが、他の方々も疲労困憊されたという事は訓練内容は辛いのですね。
これはやらなくて良かったです。」
アリスがしみじみ言う。
「見た感じはそこまで辛くなさそうですけど。
あのぐったり感を見ると相当体力が持っていかれるんですね。」
エリカも考えながら言う。
「アリス、エリカ、全身の筋力を使うからある意味ダイエットになるわよ。」
チビコノハがアリスの肩に現れ言ってくる。
「・・・湯浴み前にしましょうか。」
「・・・10分くらいなら出来るかしら。」
アリスとエリカが考えながらボソッと呟く。
「2人ともやめなさい。
日本家屋ならいざ知らずこっちでは汚れるからダメでしょう。
やるなら床にシートか何かを敷いて出来る物が良いでしょう。
もしくは土足厳禁の部屋を作るかしなければ許可しませんよ。」
武雄が止める。
「ん~・・・そうだ、タケオ様、エリカさんが愚痴っていたのですが、王城内でなかなか女子が運動出来ないそうなのです。
室内で出来る運動でダイエットや体力維持に効果がある方法は何かありませんか?」
アリスが思い出したように言う。
「・・・え?・・・ん~・・・腕立て、腹筋、スクワット・・・筋トレは自己管理が出来ないと難しいですが、これぐらいが無難ではないかと思いますね。
あとはマシントレーニングも候補でしょうけど、ないでしょうしね。
パナ、コノハ、ペイトーの意見は?」
「2mくらいの深さの水槽で5分間×3セットの立ち泳ぎ。」
「本気のラジオ体操。」
「ぶら下がり健康器。」
3人が同時に言う。
「・・・約1つ程製作が大変そうな物がありますが。」
武雄が頭に手をやり難しい顔をさせる。
「タケオ様、この中で気になる文言が。」
アリスが手を挙げる。
「はい!アリス。」
コノハが指名する。
「コノハの『らじおたいそう』って何?」
「音楽と掛け声に合わせて全身の筋肉をほぐす運動よ。
タケオの居た所だと認知度9割は行くかな。
会社・・・組織や工房によっては毎朝この体操してから仕事を始める所もあるわよ。
ね、タケオ。」
コノハが武雄に振る。
「ええ、確かにコノハの言う通り本気のラジオ体操は汗をかくほど全身を使うんですよね。
私の居た会社でも毎朝していましたよ。」
「タケオ様も出来るのですね。」
「ええ、特に変わった事はしていませんよ。
あの音楽と掛け声を聞けば普通に体が動きます。」
「習慣になっているのですね。」
「ちなみに当然、スズネも出来るわよ。」
「でも音楽が必要なんですか・・・ペイトー、出来る?」
エリカがペイトーに聞く。
「ヴァイオリンで??・・・ん~・・・出来なくはないですが・・・
譜面起しておきます。
タケオ、各カリテス達に送付してください。
私が王都に戻ってからより今送った方が早く着きます。」
「譜面が出来次第各王家に送付します。」
「タケオ、ありがとうございます。
明後日には出来ますから。」
「相変わらず早いですね。」
武雄がペイトーの作業速度に驚く。
「水槽は難しいですからペイトーのぶら下がり健康器というのは何ですか?」
アリスがペイトーに聞く。
「その名の通りぶら下がる為の器具です。
猫背・・背筋の矯正や肩回りの筋肉の維持に適した器具でぶら下がっていれば良いだけの物です。
毎日5分程度ぶら下がれば上半身の維持に効果が出ます。」
「上半身・・・下半身は?」
「踏み台昇降なんてどうでしょう?
これも最初は10分でのちのち25分くらい続ければ足腰の強化が出来ます。」
「25分かぁ。」
「湯浴み後の体が温まっている時に実施した方が良いですよ。」
「湯浴み2回になっちゃいそうですね。」
ペイトーがアリスに言っているのだが。
「「・・・」」
武雄とコノハがペイトーを見ながら驚き顔をさせている。
「ん?タケオさん、どうしたの?」
エリカが聞いてくる。
「いえ・・・ペイトーの発言がちょっと怖くて。」
「そうね・・・まさかぶら下がり5分なんて・・・」
武雄とコノハが目線を逸らす。
「ん?5分って5分でしょう?」
「ええ、懐中時計の5分です。」
「5分なんてもつわけないじゃない。」
武雄とコノハが伏せ目がちに言う。
「そんなに厳しいのですか?」
「ええ。」
「うん。」
「そうなのですか?」
「タケオ、これは体験させた方が良いわよ。」
「そうですね。
と、伯爵邸に着きましたか。
アリス、エリカさん、疑似的に体験しますか。」
「「疑似的に?」」
「木にぶら下がれば良いんですよ。」
「「あぁー!」」
「コノハ、アリスと一緒に適当な木を探しておいてください。
私はヴィクター達と一旦厨房に行ってから向かいます。」
「わかったわ。
・・・ペイトーがどんだけ鬼畜な事を言っているのかわからせなくちゃ。
とりあえず、裏手に行くから。」
「わかりました。
後で合流します。
ヴィクター、アスセナさん、厨房に行きましょう。」
「「はい。」」
武雄達はアリスから離れ行く。
「コノハ、何をそんなに深刻に言っているのよ。
5分木に掴まるなんてそこまで難しくはないわよ。」
アリスの言葉にエリカも頷く。
「・・・その言葉を30分後に言えれば私も納得してあげるわ。」
コノハがフッと笑うのだった。
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