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第1594話 試験小隊の特別訓練。3(頑張れ新人。)

ほふく前進訓練中。

「コーエン!止まるな!止まったら恐怖で動けなくなるぞ!

 少しずつで良い!前進しろ!」

泥だらけのアンダーセンが手作りのメガホンで武雄の横から檄を飛ばしている。

「はぃぃ!・・・はぁ・・・くっ・・・」

パメラはゆっくりと前進していく。


「頭見えてるって・・・」

武雄が無慈悲にブリザドをばら撒く。

「いや、所長、それ結構キツイんですよ?」

泥んこになっているベイノンもまた武雄達の横で同僚の訓練を見守っている。

「新人だからと手は抜かない。

 新人だろうがベテランだろうが部下は部下。」

「流石です。

 ですけど、もう少しありませんか?」

「・・・新人がこの感じでベテランにはビエ」

「コーエン!頑張れ!

 足で蹴りながら進め!」

ベイノンが聞こえない体になる。

「はぁ・・・まぁ辛いだろうけどねぇ。

 進めるんだから強い子で・・・だから頭見えてるって。」

再度武雄がばら撒くのだった。


「キャッ!・・・うぅ・・・こなくそぉ~・・・」

パメラが歯を食いしばりながらほふく前進を続ける。

「そうだ!しっかりと先導のスライムに付いて行け!

 コーエン!足で蹴りながらだ!そうだ!出来てるぞ!」

アンダーセンが指示と言うか声援を送るのだった。


「「ストーン!」」

「「エクス!」」

「おお、アニータとミルコもストーンの発動が安定して来ているな。

 アーキンもブルックも上手くなったなぁ、うんうん。」

マイヤーはアニータとミルコを見ながら頷いている。

「アニータ、気を緩めるな!

 大きさが不均一になって来てる!正確性を上げろ!」

「はい!」

「ミルコ、発動の間隔が短くなってる!

 落ち着いて!」

「はい!」

アニータとミルコはマイヤーが褒めているのに気づかないでアーキンとブルックの指示に対応しようと必死なのだった。


一方の小道の入り口。

「オールストン殿、次私なんですよね。」

「ああ、そうだな。

 俺が最後だな。」

ケイとオールストンが皆のほふく前進訓練を見ながら呟いている。

「・・・私出来ますかね?」

ケイが目線をパメラから動かさずに言う。

魔法師専門学院からの友人が必死にほふく前進をしている。

「ケードもコーエンもケア出来ていたろう?

 コーエンも出来るんだ、問題ないだろう。」

「いや、体力的な事ではなく。」

「戦争体験とは良く言ったものだとつくづく思う。

 これは敵地からの帰還に最適な訓練だろう。

 山狩りにあっている事を想定すれば・・・納得の内容だ。」

オールストンが頷きながら言う。

「王都守備隊でもこのような訓練を?」

「しないしない。

 敵地潜入は第一情報と第二情報が主にするが山狩りなんてされる前に脱兎のごとく逃げるさ。

 こうなっては身を潜める方が賢明とも言える。

 だが、戦争時の相対している場面で先行偵察をするという俺らの任務上、身を潜めるのは逆に危険だ。

 なんとしても生き延びて最新の情報を味方に教えないといけない。

 所長も言っていただろう、全軍の為に捕まらずに帰ってこないといけない。」

「となると私達にとっては必要な訓練なのですね。」

「必要だがな・・・普通の先行偵察というのは騎乗してさらに遠目から見て確認してくるのが主だ。

 この訓練を見ていると相当敵に近付く事が予想されるな。」

「そこまで深く見に行くと?」

「いや、所長の事だ。

 ヴィクター殿達の情報や実際に魔王国の者を見ているから敵が速い(・・・・)と見越しているのかもしれない。

 もしかしたら偶発的に遭遇してしまうかもしれない。

 向こうは足に自信があれば俺らと同じことをしてもおかしくないだろう?」

オールストンが考えながら言う。

「森の中での移動が速いと・・・獣人かぁ。」

「ヴィクター殿は確か狼だったか。

 一度、ミア殿の部下の狼達に協力して貰って森の中の動きを見せて貰っても良いかもな。

 先行偵察をする際のヒントがあるかもしれない。」

「そうですね・・・見れるものは見ていた方が良いですよね。」

「ああ、戦争は何が幸いするかわからん。

 見れるものは見ておいて損はないだろう。

 あ、コーエンが終わりそうだな。

 ケード、気持ちを落ち着かせてな。」

「はい!オールストン殿、所長が戦争体験と言いましたけど。

 実際はこんな感じなのですか?」

「ここまで酷いのはそうそうないさ。

 だからこそ体験するべきだな。」

「了解です。」

ケードが深呼吸し精神を落ち着かせるのだった。


------------------------

訓練場の休憩所前。

「皆さん熟しているわね。

 凄いなぁ。」

「流石に王都守備隊出身でしょうね。。

 今しているのは・・・ちょっと動きが遅いから魔法師専門学院出身の新人さんかな?」

「あの爆風の中を動けるのです。

 大した精神力でしょう。」

「あの中を行けるのは強靭というより変人なのではと私は思います。」

エリカ、アリス、ヴィクターとアスセナがお茶をしながら見守っている。

「アリス!アリス!」

ビエラがアリスの横に行って走る真似をして自分を指さしてから武雄達を指さす。

「えーっと・・・あの中を走りたい?」

「はい!」

「きゅ!」

「クゥ殿も?

 ビエラ殿もクゥ殿もまぁドラゴンですし・・・アリス殿、どう思います?」

「まぁ問題ないようなあるような・・・タケオ様の判断次第ですね。

 でも怪我しちゃダメですよ?」

「きゅ♪」

「らいじょうぶ!」

クゥとビエラが嬉しそうに返事をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 1917 命をかけた伝令とか良いですよねぇ。
[一言] 目立たず帰る訓練で走るのかよ 斬新にも程がありますね
[一言] ここ最近、 ビエラの人語の会話能力の向上が 著しいと感じています。
感想一覧
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