第1591話 172日目 明日の予定は。(ほふく前進訓練をしましょう。)
エルヴィス伯爵邸の武雄達の寝室。
夕飯もその後のティータイムも湯浴みも終わり寝る前ののんびりタイム中。
「今日もいろいろありましたね~。」
「午前は運動、午後は試験立ち合いとベルテさん達の所に行ったり、研究所で打ち合わせ。
忙しなく動いている感じです。」
「午前?午後?」
アリスが聞いてくる。
「0時を境に最初の12時間を午前、その後の12時間を午後と言うんです。
今は午後ですね。」
「はぁ、なるほど・・・12時間毎に・・・あ!お昼の12時を境に前を午前、後ろが午後ですね。」
「そうですね。
実際はそっちが正しいと思いますけど、説明としては私の方がわかりやすいのかもしれませんね。
まぁアリスの認識で問題ないですし、私がちょくちょく言うと思いますので、『そうなのかぁ』程度で良いですよ。」
「はい、それにしてもタケオ様の忙しさは最初ですからしょうがないですよ。
始まったばかりですし、あれもこれもとするんですもの。」
「そこは自覚はありますけどね。
アリスは今日の感想はありますか?」
「そうですね・・・演習は大きな流れとしては同じですけど。
毎回ちょっとずつ変化してて楽しかったですよ。」
「あれを楽しめるのなら大したものです。
私としては演習は日々の訓練の成果がわかるので、研究所の試験小隊の訓練内容に反映出来るかなぁと思っています。」
「反映?・・・ですか?
どうやって?」
「うちの小隊現在10名ですが、ゆくゆくは3小隊60人ですからね。
全員が魔法適性ありのベテランが大半・・・うん、私とアリスの代わりにエルヴィス家の大演習に参加出来そうですよね。」
「あ、やる側ではなくやられる側でですか。」
「そうですよ。
3小隊対私とアリスとビエラ・・・あ、やれなくないか。」
「試験小隊となら・・・ん~・・・逆にもっと大変そうですよね。
薙ぎ払えない事もあるでしょうし、反撃が凄そうですし。」
「的確にシールドを使うでしょうね。
あの人達なら対応策もばっちり考えるでしょう。」
「・・・大変そうです。
やりますか?」
「・・・今はしなくても良いでしょうかね。
明日は試験小隊の方の演習ですし。」
「演習ですか?」
「ええ、ほら、前に訓練場の横の小道でした作業服の訓練ありましたよね。
あれの這いずる方を体験して貰おうかと思います。」
「・・・あ、しましたね。
タケオ様とミアちゃんが全力でしてたやつですね。
なぜにいきなりする事に?」
「やり方は教えているのにいつまでたっても提案書こないんですもん。」
「『もん』じゃないですよ、タケオ様。」
「今来ないなら当分来ない感じがしましてね。
こうダラダラ待っていたら私が王都に行く日になりそうですからね。
なら所長権限で明日に決定したのです。」
「・・・という事は今回は皆さんにして貰うのですね。」
「ええ、一部を除き1人ずつする予定です。」
「一部??・・・あ、魔法はどなたが?」
「前回同様アーキンさん、ブルックさん、アニータとミルコですね。
この4人は体験出来なくて申し訳ないですけど、先任だから我慢しなさいと言っておきました。
すっごく喜んでいましたけどね。」
「ははは、まぁ・・・そうでしょうね。」
アリスが苦笑しながら言う。
「アリスもし」
「嫌です。」
アリスが真顔で食い気味に答える。
「・・・アリスは前回も観戦していましたしね。
私が疲労困憊だったのも見ていますからね。」
「タケオ様があれほど疲れる訓練なんですからやりたがりませんよ。」
「安全面は考慮しているんですけどね・・・精神的に辛いのは確かかなぁ。」
「ちなみにやる方々は内容は知っているんですよね?」
「知っていますよ。
提案書を出すように以前から言っていますからね。
少なくともアンダーセンさんは知っています。
私が今日言って決めたのでその後話合いでもしているんじゃないですか?」
「なら明日は私とエリカさんはお茶をしながら観戦しますかね。」
「そうですか?
あ~・・・ならスープを作っておくので焦げないようにかき混ぜておいてくれますか?」
「はーい、そのぐらいなら出来ますよ。」
「では、お願いしますね。」
「はーい。」
アリスが気軽に答えるのだった。
------------------------
マイヤー宅。
「ん~・・・」
マイヤーが書類を見ながら唸っていた。
「アナタ、明日はこっちの緑の制服ね。」
マイヤーの妻が作業服を整えながら言ってくる。
「あぁ、作業服で良い。
珍しい色だろう?」
「地味ね~。
でもキタミザト様の理念を聞くと納得よ。
これほど部下の装備を気にする方も珍しいけどね。
先行偵察が主ならこういうのもありというのも頷けるわ。
私は良いけど受け入れられない人が居ても不思議はないかな?
これを着るなら明日は演習なのね?」
「あぁ・・・俺は権限で何とかするが、アンダーセン達はたぶん泥んこだ。」
「そこまでの格闘訓練するの?」
「いや、見つからないように進む訓練だ?」
「え???・・・意味が解らないんだけど。」
「はは、わからなくて良い・・・所長の考えの良い所はこういった常識の隙間なんだよな。」
マイヤーが頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




