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第1590話 魔王国の暗躍部隊。(暗躍じゃなかった。)

イグノト達が船の周りで乗船を待っているのを路地の陰から見ている4名がいた。

「・・・あれが標的か・・・1人じゃないんだが?」

フードを被った1人が依頼内容が書かれた紙を見ながら言う。

「依頼は1人だったよな?」

「依頼内容と差異がある、断るか?」

「いや・・・やるべきだ。

 見た感じ3人も普通の冒険者だろう。

 それに標的のみ排除すればいいんだ。

 一撃離脱で行こう。」

残りのフードを被っている3名が後ろから言ってくる。

「はーい、皆さん、襲撃はダメですよー。」

小柄な少女がそこから声をかけていた。

「「「「!!?」」」」

いきなり後ろから声がかかり、4人が短刀を抜き振り向くが。

「ぎゃ!?」

「ぐはぁ!?」

「なかっ!?」

「ぎょふっ!?」

4人は頭上から飛び込んで来た者達に意識を刈られる。

「小隊長!流石!」

「このぐらい出来て当たり前だろうが・・・それと小隊長は禁止だ。

 さて、あの3人がウィリプ連合国に向かうのか・・・長期出張お疲れ様です。」

小隊長と呼ばれた男が路地からイグノト達を見て呟く。

「この者達どういたしますか?」

襲撃した者の1人が小隊長に聞いてくる。

「背後関係を洗う。

 彼の者を狙ったんだ、あの会合の場に居た者の手の者だろう。

 指揮官殿に良い報告が出来そうだ。」

「小隊長、ウィリプ連合国に行くのがあの3人で平気なんですか?

 弱っちそうですよ。」

「・・・お前、それ王城内で言ってたら折檻されるぞ・・・」

小隊長と言われた男が呆れている。

「え?そうなんですか?」

「ああ、あそこに居るのは第2軍 第3大隊 第1中隊長殿だぞ?」

「げっ!

 となると・・一緒にいらっしゃるのは・・・」

「あれは確か・・・第1小隊長と小隊員だな・・・前の会議で小隊長の顔は見た事ある。

 第1中隊となれば大隊長の供回りもしているはずだから、大隊長が指揮する部隊員だな。

 お前はそんな方を指して『弱い』とは・・・」

「しかたないじゃないですか!

 知らなかったんですから!」

「はぁ・・・人事も教えておいた方が良いのか?

 ・・・とりあえず、この場は撤収だな。

 他の者に警護を委ねよう。」

「「はっ!」」

魔王国の者達は路地の奥に向かっていくのだった。


------------------------

デムーロ国にあるとある屋敷にて。

恰幅の良い男と輸送業のオリーヴが会談している。

「ははは、それは災難でしたね。」

「お恥ずかしい限りです。

 こちらが今回輸送を失敗してしまった事への弁償になります。」

オリーブが革袋を取り出し、恰幅の良い男の前に置く。

「以前の打ち合わせの通り・・・金貨200枚(・・・・・・)ですね。

 まぁ蟲に襲われたのなら致し方ないでしょうし、その際に輸送業の方もお亡くなりになったのなら・・・貴方を責めるのも無意味な事でしょう。

 今回は不幸な事故だったという事ですね。」

中身を確認した恰幅の良い男が頷く。

「申し訳ございません。

 輸送ルートは現在見直しをかけております。

 はぁ・・・警備がキツクなってきましたね。」

「くくく、まさか入出国の偽装で取り締まられるとは。

 いやはや積み荷がなくて良かったですね。」

「不幸中の幸いとはこの事です。」

「まぁその情報は私の方から各業者に伝えておきましょう。」

「ありがとうございます。

 それで次回の輸送ですが。」

「あぁ、手配は済んでいます。

 詳細はこの書類を確認してください。

 貴殿の言われるように最近魔王国やブリアーニ王国では取り締まりが強化されつつあるという情報もあります。」

「そうなのですか?」

オリーブは少し驚き顔を恰幅の良い男に向けるが心の中では「事前に言って来いよ」と思っている。

「ええ、これは他の商いで知り得た情報ですけどね。

 それにどうもここ数日、魔王国内の南側、デムーロ国(この国)との国境近くの街道で検問所が多く見受けられるとの事です。」

「・・・最近の話なのですね?」

「ええ、『ブリアーニ王国までの街道整備状況の確認の為、幹部が来る』という名目だそうですけど。

 いまさら魔王国とブリアーニ王国とを結ぶ街道整備の為に高官が来ると言うのは少しおかしい話です。

 もしかしたらブリアーニ王国での蟲に関して何か大規模な行動がされるかもしれませんね。」

「そうですね。

 それも含めてルートの変更を実施します。

 ですが、南側の検問が多いですか・・・厄介ですね。」

「ルートに関しては私はわかりません。

 貴殿達が専門業者ですのでお任せします。」

「はい、期日を守っての輸送は実施いたします。」

「そうありたい物ですね。」

恰幅の良い男が頷くのだった。


------------------------

屋敷が見える向かい側の屋根にて身を隠しながら監視をしている者達が居た。

「・・・そうあり・・・たい物・・・ですね。

 あ、対象が席を立ちました。

 何やら書類を持ったようです。」

窓からこっそりと見ていた者が言ってくる。

「良くこの距離を見れるものだな。」

「口の動きでこうもわかるとは・・・」

他の者達が監視をしている者の特殊技能に驚いていた。

「さて・・・屋敷もわかっているんだし、潜入の用意をするか。」

「他の班とも一旦打ち合わせですね。」

追跡をしている者達が次の行動の準備を始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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