第1581話 なーんか問題ごと。5(犯人特定。)
ジーナはというと。
エイミー達が入った時に「まさか・・・」と思い、フェードアウトして自室に戻って来ていた。
「時雨居る?」
「ジーナ早かったっスね。」
「おかえりなさいませ。」
時雨が体操服を着た状態で座りながら紫雲と出迎える。
「・・・2人とも何もなかった?」
「何もなかったっスよ。」
「そう・・・」
ジーナが考える。
ジーナは出かけに扉に挟んだ紙が落ちていなかったので扉は開けられていないのは確認済み。
なので2人は部屋に居た・・・のか?
「ちなみに時雨、スミス様に会いに行った?」
「行ったっスよ。
シウンと一緒に天井に登ったっス。」
「あ・・・そう、わかったわ。
・・・それにしては体操服汚れてないわね。」
ジーナが時雨の体操服を見ながら言う。
「スライム形態になって行ったっスよ。」
「あ、なるほ・・・ん?」
ジーナが納得しかかって固まる。
「時雨・・・スライム形態って事は服は要らないわよね?」
「そうっスよ。」
「でも、スミス様の部屋に行ったら話すから人間形態になるわよね?」
「そうっスよ。
ジーナ、当たり前じゃないっスか。」
「うん、そうよね。
で?服は?」
「スミスに借りたっスよ。
羽織っておきなさいと言われたっス。」
「なら良い・・・んん???
ん~・・・ということはスミス様の前で一度は服を着ない状態になったのね?
でも・・・スミス様の服が見当たらないわね。」
「こっちの部屋に帰る時に服は返したっス。
帰りはこの形態で帰って来たっスが天井に登るのに大変だったっス。
スミスに下から押して貰ったっスよ。
人間形態は大変っスね。」
「あ~・・・え???・・・下から?」
「そうっスよ?
スミスは下に居るんだから上から引っ張れないじゃないっスか。
ジーナ、大丈夫っスか?」
「・・・」
ジーナが時雨の言葉に反応せずに眉間に皺を寄せながら考えている。
「ご主人様に早急に相談した方が良いのかしら・・・」
ジーナがそこはかとなく不安になるのだった。
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スミスの部屋。
「エイミー殿下、不届者はおりませんね。」
「・・・居ないわね。」
エイミーとドネリーが注意深く見ているが動く気配は何もない。
「??エイミー殿下?」
スミスが首を傾げながら言ってくる。
「・・・ん~・・・気のせいだったのかなぁ?」
「気のせいですか?」
「何でもないのよ、スミス。
スミス、いきなりごめんなさいね。
うちのお付きがちょっと暴走したわ。
あとで私が言っておくからね。」
エイミーが苦笑しながらスミスに言ってくる。
「ドネリー殿?」
スミスがドネリーに聞く。
「あ~・・・その~・・・エルヴィス様の部屋から女性の声が聞こえたとエイミー殿下が申されまして。
不審者じゃないかと駆け込んだ次第です。」
「不審者?・・・あ~・・・でも寄宿舎内は顔見知りしかいませんし、害意があったらマリがわかりますよ。」
「はい、エルヴィス様も精霊魔法師でしたね。
ご心配をしてしまいました。」
「心配をして頂きありがとうございます。
僕の身を心配しての行動を咎めては姉達に怒られてしまいますよ。
それでレイラお姉様は元気でしたか?」
スミスがエイミーに普通に聞いてくる。
「ええ、アルマお姉様もレイラお姉様も経過は順調そうよ。」
「そうですか。
僕も宿題等が早く終わらせられるようになれば会いに行きたいですね。」
「そうね。
何もないようだから私はこれで。」
「エルヴィス様、失礼しました。」
エイミーとドネリーがスミスの部屋を退出していく。
・・
・
「主、シグレの事ですね。」
「ジーナが上手くするでしょうね。
さ、宿題の続きでもしますか。」
「はぁ・・・主は真面目ですね。」
スミスが机に向かうのだった。
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ジーナの部屋。
「な・・・」
ジーナが紫雲から手紙を受け取り中身を読んでいた。
と扉がノックされ、ジーナが目線を手紙から上げて答えるとエイミー達が入ってくる。
「ジーナ、スミスの部屋には誰も・・・お客様?」
エイミーが時雨を見て言う。
「エイミー殿下・・・お傍におらず申し訳ございませんでした、彼女は時雨、隣の鷹は紫雲。
共にご主人様の部下です。
2人とも敬語は出来ませんのでご容赦ください。
あ、そうでした、磯風、2人と情報の共有を。」
「はい。」
磯風がショルダーバックから出てきて時雨の膝の上に、紫雲も同じく膝の上に乗り3人が共有を始める。
「・・・確か磯風は・・・となるとこの子もエルダームーンスライム?」
「はい、ご明察です。
私とスミス様の様子を確認に来たようです。」
「そう・・・ん?という事はさっきスミスの部屋から聞こえた女性の声は・・・もしかして。」
「時雨ですね。
私も今聞きました。
さっきまでスミス様の部屋に居たそうです。」
「話し声が聞こえた時は私達は扉の前に居たのに?」
「天井裏を通って来たそうですよ。」
ジーナが天井を指を指しながら言う。
「はぁ・・・そうなの。
私はエイミー・ニール・アズパールよ、えーっと・・・」
「シグレっス。」
「時雨ね。
で、どうやってスミスの部屋に行ったか、私にも教えてくれるかしら?」
「良いっスよ。」
ジーナ達は雑談をするのだった。
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