第1578話 なーんか問題ごと。2(時雨の散歩とエイミーの考え。)
自室に入りジーナが固まっている。
「ん?ジーナ、お久しぶりっス。」
時雨が全裸で再び挨拶してくる。
「・・・時雨、どうしてこ・・・紫雲?」
「はっ!お久しぶりでございます。」
時雨の足元に紫雲も居る。
「・・・どういう事?」
ジーナが首を傾げる。
「シウンはアリスとタケオの手紙持っているっスよ。
私は遊びに来たっス。」
「来るのは良いのですけど、どうやって部屋に?
この部屋に時雨も紫雲も来た事ないはずですが?」
「ん?スライム達が教えてくれたっスよ。
それにこの部屋自体はユウギリとハツユキが来ているっス。
その際に侵入経路はそれとなく把握しているっス。
開通した裏道も通って来たっスけど、すんなり入れたっスね。
私が先に部屋に入って小瓶を持っているシウンは窓から入れたっス。
いつまでもアリスとタケオの手紙を外に放置はマズいっスから。」
時雨が報告してくる。
「・・・確かに手紙は室内に入れた方が良いでしょう。
時雨、何着ますか?」
「なんでも良いっスよ。
ジーナ達の顔を見に来ただけっスから。」
「なら体操服で良い?
洗い立てよ。」
「ジーナの持ち物は汚くないっスよ。」
「見たの?」
「??待っている間に何か汚れがあったら綺麗にしようかと思ったっス。
部屋の隅々まで見たっスが、イソカゼが毎日しているぽいっスね。
やる事なかったっスよ。
ジーナの部屋は綺麗っス、だから服も綺麗だと思ったっスよ。」
時雨が報告して来る。
「うん、わかったわ。
とりあえずこれ着て待っていてね。
私は隣で話をしに行ってくるから。」
ジーナが引き出しから体操服を出した。
「スミスっスか?」
「王家のエイミー殿下よ。
磯風は連れて行くから後で情報を共有してね。」
「わかったっス。
待っているっスよ。」
「ええ、お願いね。
あ、それと私が居ないから誰か来ても扉を開けてはダメですよ?」
「了解っス。」
「じゃあ、行ってくるわね。」
ジーナが退出していくのだった。
「シウン、暇っスね。」
「唐突に来ましたしね。」
時雨と紫雲が床に座って待つのだった。
・・
・
エイミーの部屋。
「・・・それは説明し辛いわね。」
エイミーがジーナの説明を聞いて難しい顔をさせながら呟く。
「はい、一連の流れでこの話は詮索しないだろうと思ったのですが、ご主人様に聞くと言われてしまうと・・・どうしたら良いか。
こんな事でご迷惑をかけてしまうのは・・・」
「タケオさんなら保健の本の件もあるから穏便に説明してくれるとは思うけど・・・こういった話は余程の友情と信頼がないとされないというのが一般的ね。
もちろん親兄弟でもするような話でもないと思うんだけど。」
「・・・スミス様に性教育は誰がすればよろしいのでしょうか?
ご主人様は義理の兄ですしスミス様が頼られるのは当然だとは思います、ですが、親しいと言ってもまだこういった事を話すような関係ではないと思うのですが。」
「そこは同意するわ。
・・・ドネリー、何か言いたそうね。」
エイミーがジーナの後ろで黙っているドネリーに聞く。
「エイミー殿下がエルヴィス様の寝込みを襲って実地研修を。」
ドネリーが真剣な顔で言ってくる。
「却下!不可!馬鹿じゃないの!?
なーんで私がするのよ!
まだ私達には早いわ!」
「むふ♪」
ドネリーが楽しそうな声を出す。
「はぁ・・・ジーナ、今のは聞かなかった事にしましょう。」
エイミーが眉間に皺を寄せて手で揉みながら言う。
「はい、エイミー殿下。
学生や生徒の身分での行為は万が一を考えれば世間体的にお勧めしません。
隠し通せるならしても良いかもしれませんが。」
「・・・ジーナも少し偏りがあるわね。」
「ですが、スミス様は御兄弟がおりません。
なるべく早い時期に跡取りを作らなければなりません。
種族は異なっても貴族とはそういう物ではないでしょうか。」
「まぁ、エルヴィス家としてはそういう方針になるだろうというのはわかるわ。」
「ご主人様とアリス様の場合はご主人様の年齢が仇となっていますが・・・
こちらはコノハとパナが付いているので何かしでかすでしょう。
日付的に・・・お生まれになる各殿下方には間に合いませんが、1つ下の方が色々とやりやすい事もあるかと睨んでいます。
むしろそれを狙っている可能性がありますが。」
「うん、ジーナも口が悪いわね。
でもあの2名の精霊が何もしないとは考えられないか。
アルはどう思う?」
「コノハとパナ・・・ある意味で子作りに最適でしょう。
ジーナの言う通り来年早々には第1子が誕生するのでは?
エイミーは・・・スミスの卒業を待てれば最短で4年後、タケオとアリスの子を娶るのも良いかもしれませんね。」
「私が男子を生むとは決まってないわよ。
4年かぁ・・・ん?・・・私の事は良いのよ!
スミスの事よ。」
「あ~、そうでしたね。」
ドネリーが相槌を打つ。
「そうね。」
アルも頷く。
「如何しましょうか。」
ジーナが聞いてくる。
「・・・私達が頼れそうなのは・・・ウィリアム叔父上ぐらいだけど・・・」
エイミーが考えながら言う。
「パット殿下は?」
ドネリーが聞き返す。
「あれはダメよ、人生経験ないもの。
スミスをからかう程度が関の山よ。
ジーナがタケオさんに聞くのは憚れるなら同性での意見ならウィリアム叔父上ぐらいしか聞けないわ。」
「それも聞き辛いですね。」
ジーナが呟く。
「そうよね・・・私達からは聞き辛いわよね・・・
レイラお姉様に一旦相談かな?」
「レイラ殿下は楽しまれてしまうかもしれませんが。」
エイミーの呟きにドネリーが答える。
「そこは姉弟だしね。
でもレイラお姉様なら親身になってくれそうだし、ウィリアム叔父上にもそれとなく聞いてくれそうよ。」
「ん~・・・スミス様が何か変な事をしでかす前に何かしら手を打つのが得策だと思うのですが・・・レイラ殿下に相談してみましょうか。
何か良いアドバイスをくれるかもしれません。」
ジーナが頷く。
「そうね。
・・・まだ夕食まで時間はあるわね。
レイラお姉様方を訪問しますか。」
「今からですか?」
「こういうのは早く終わらせましょう。
ジーナ、スミスに許可を取ってきなさい。」
「はい、畏まりました。
ではすぐに。」
ジーナがエイミーの部屋を出て行く。
「・・・襲えばいいのに。」
「私に勇気が湧かないの!」
ドネリーの呟きにエイミーが言うのだった。
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