第1565話 172日目 それぞれの話し合い。(何を話し合う。)
「パシッ!」
武雄はアリスの膝を受け止める。
ふぅ・・・武雄は安堵する。
「早く寝ても早く起されると意味がない気がしますね。」
当のアリスは隣でスヤスヤ寝ている。
気が高ぶっているのかアリスの寝返りよりも先に目が覚め、アリスの膝蹴りを受け止める心構えをする時間を持てていた。
武雄はアリスの太腿を撫でながらボーっとする。
・・・・
・・
・
武雄とアリスはしばらくベッドの中で遊んでいたが、そろそろ起きないといけないと思い着替えを始めていた。
「んんーーっ!
タケオ様、今日も良い天気ですね。」
アリスが伸びをしながら言ってくる。
「天気が良いとやる気になってきますね。
さて、何時からしますかね。」
「あ~、そういえば時間決めていませんでしたね。
でも、昼前には終わらせましょう。
その方が胃に優しいですし。」
「まぁそうですね。
皆さんには過度の運動をさせますからね。」
武雄とアリスが不穏な事を言っている。
「私達も気を引き締めないといけませんが・・・さて、どうなることやら。」
「怪我をしないようにしないといけませんね。
あとどうやって対応するか・・・」
「前の開始直後は魔法の攻撃でしたよね。」
「前回はそうでしたね。
一応、兵士長には前と同じようにしようとは言っています。」
「なら、タケオ様がまたシールドで防ぐのですね。」
「そうなるでしょうか・・・その後、前進してくるのですが・・・」
「第2騎士団との教訓から囲まれる直前に左右と正面を3方向として1方向を私が薙ぎ払っている間、タケオ様が2方向をシールドで押さえる・・・これですかね?」
アリスが考えながら言う。
「アリスなら1振りで何名いけますか?」
「・・・4・・・5名はいけるでしょうか。」
アリスが武雄の問いに軽く右手を振りながら答える。
「1小隊20名、5名4列として1振りで1列ですか。
ビエラはどのくらいでしょうか?」
「良くて2名といった所かと。
体が小さいのでなかなか難しいです。」
「2名でも十分強いでしょうけどね・・・数が相手です、止まることなく薙ぎ払う事が重要になってくるでしょう。
アリスが薙ぎ払った後のアリスの後ろを守って貰いますかね。
そうすれば囲まれず次の目標に移れるでしょう。」
「私は動きやすいですが、ビエラちゃんは大丈夫ですかね?」
「今回は私達はビエラをどう暴走させないかが重要となるでしょうかね。
さて・・・朝食までのんびりしていましょうかね。」
「そうですね~。」
アリスと武雄は窓際に机と椅子を持っていきのほほんと過ごすのだった。
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城門横の兵士詰め所。
「以上だ。
参加小隊は準備するように。」
兵士長が各小隊長に連絡をしている。
「「・・・」」
皆浮かない顔をさせている。
「あの~・・・私達何かしましたか?」
小隊長の1人が手を挙げて聞いてくる。
「そういう訳ではない。
キタミザト様から是非にとの依頼で決まった事だ。
それに今年入った新人達に戦争の形態を見せるのに絶好の機会というのも否定は出来ない。」
「「・・・」」
皆浮かない顔は晴れない。
「アリス様も挙式をされていつまでもこの演習や防衛に参加は出来ないだろう。
出来るうちに出来る演習をするしかない。
ある意味今しか出来ない演習だ。」
兵士長が皆に言う。
「あれ・・・結構キツいんですけど。」
「知っている。」
「剣で防ぐのも結構腕に衝撃がくるんですけど。」
「知っている。」
「回復をする隊員達も根こそぎ魔力を持っていかれるんです。」
「知っている。」
「終わったら有給休暇ください。」
「ダメだ。」
兵士長が皆の愚痴に即答している。
「「・・・」」
「この間のゴブリンもオーガも待ってはくれない。
だからこそいきなりの演習となっている。
日頃の訓練の出来栄えの評価も行う。
皆心して臨むように。」
「「・・・はーい・・・」」
「はぁ・・・以上、伝達終わり。
いつ行うかは決まっていないが、キタミザト様達が来次第行うから気持ちを早々に作り隊をまとめるように。
時間がないからと戦場に立たないという選択はない、これも訓練の一環だ。
解散!」
「はぁ・・・起立・・・兵士長に礼。」
かなり小さい声の号令がかかると皆がゆっくりと立ち上がり礼をする。
「・・・その顔はこの部屋だけにしておけ、兵士達に伝播する。」
「はい・・・少し残って気持ちの整理をします。」
「そうしろ。」
兵士長が部屋を出て行く。
「はぁ・・・大演習・・・もう少し先かと思ってた・・・」
「この間入った新人は除外はしょうがないとして・・・またやらせるのかぁ・・・」
「だが、今回は回復に騎士団が助っ人で入ってくれる。
この間よりギリギリまで魔法が打てるというのは朗報か?」
「どうせキタミザト様が防ぐって。」
「だが、足止めの意味では問題ないだろう。
ギリギリまで接近出来るからもしかしたらもしかするんじゃないか?」
「「ないない。」」
「肉薄すればアリス様に薙ぎ払われて終わる。
今回は5回くらいで済めば良いが。」
「一緒にいるという獣人の姿のビエラ殿にも要注意だな。
いったいどんな感じになるのか。」
「先鋒はどこにする?」
「新人小隊行くか?」
「そこはベテランが先じゃないか?」
「譲り合うなよ、同時に行け、同時に。」
「いやいやいや、そこは訓練なんだから新人がどうぞ。」
「ベテランこそ新人に見本を見せてくださいよ。」
「・・・もうこうなったらくじ引きな、どうせ結論でないし。」
「「そうだなぁ。」」
小隊長の面々が順番決めをするのだった。
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