第1563話 武雄の趣味。(納入されてもう改造。)
研究所の3階 所長室。
「「んん~・・・」」
武雄とマイヤーが武雄が黒スライムの体液を浸み込ませた戦闘ベストと納入されたばかりの戦闘ベストを見比べていた。
「所長、色が随分と黒くなりましたね。」
「もしくは凄く深緑でしょうか・・・・一応、もう湿った所は残っていないと思うのでこの色が漬けた時の色となるのでしょうね。
まぁ元々の原液が黒なのですからこうなっても驚きはあまりありませんが。」
武雄は「墨汁みたいな感じかな」と思って見ている。
「触った感じも若干、固くなりましたか。」
「スベスベ感もありますね、水を弾きそうですね・・・
コーティングっぽくなったのでしょうかね?」
「コーティングですか?」
「布地の表面を薄い膜で覆って水が入らないようにしている事ですね。
まぁ可動部とかにすると数回動かすと膜に亀裂が入ってしまうので動かない場所にするのが一般的なのでしょうけども。」
「なるほど・・・このスベスベ感がコーティングですか。」
親父2名がベストの肌触りを確認している。
「ちなみにこれはまだナイフ等の防御性能試験はしないのですよね?」
「ええ、しませんよ。
あくまでも私の装備品を個人的に手を加えただけです、趣味です。
試験小隊の面々にはパナの試験結果を見てから実施します。
さて、着替えてみますかね。」
武雄が作業服に着替えだすのだった。
・・
・
武雄は作業服に半長靴、戦闘ベスト、ヘルメット、リュックを背負い、左腰に小太刀、右腰に拳銃、両手には小銃改1を下向きで持っている。
完全武装状態だった。
「これが私の戦闘態勢となるでしょうか?」
「何と言うか・・・緑の作業服とヘルメットに黒の戦闘ベスト、リュック・・・小銃改1が物々しいですね。」
マイヤーが半ば呆れながら言ってくる。
「そうですか?・・・よいしょ・・・
襟を立たせたのは正解かもしれませんね。
これなら伏せていても襟が立っているので首が少し隠れますから茂みに居ても草が気になり辛いでしょうか。」
武雄が小銃改を2脚を使い床に置くと伏せ撃ちの体勢をとる。
「所長の考えだと小銃を使う際は徹底的に姿勢を低くするのですね。」
「まぁ、相手からも弾丸が飛んでくる事を想定していますからね。
出来るだけ低くしないと当たる面積が多くなってしまうでしょう?」
「まぁそうですね。
それにしてもその体勢も長時間すると大変そうですね。」
「慣れではないでしょうか・・・私も長時間した事はないですし、見様見真似ですからね。
試験小隊で小銃を使いながら撃ち方も研究していく必要があるでしょう。」
「全て手探りなのですね。」
「そうですよ。
大まかな所は私が教えますが、やり辛いなら改良して構いませんからね。」
「アンダーセン達に色々な撃ち方を試させるしかないですね。」
マイヤーが頷くのだった。
「主、失礼しま・・・何をなされているのですか?」
ヴィクターが入って来て武雄が腹ばいになっているのを聞いてくる。
「調子に乗って装備を確認していました。
どうしましたか?」
武雄が体を起こし、安座をしながら聞き返す。
「はい、研究室長のトレーシー殿から渡されたのですが、研究所の区分け用の仕切板とその施工費用と研究員用の机等の備品の見積書がハワース商会から来ました。」
ヴィクターが武雄に書類を渡してくる。
「・・・予算的にどうですか?」
武雄がメガネをかけ、書類に目を通しながら言ってくる。
「予算内になっております。
ですが、見積もりの内訳の中に机の保護用板という項目があるのですが、主、これは前に言っていた机に乗せる耐火板という認識でよろしいでしょうか?」
「あ~、たぶんハワース商会に頼んだ耐火板ですね。
耐火板と書くのが嫌だから保護用板と書いたんじゃないですか?
気になるなら聞きに行って確認した方が良いでしょう。」
「わかりました。
発注書を持っていく際に聞いてきます。」
「ええ、お願いします。」
「失礼します。
キタミザト様、発注書にサインを・・・キタミザト様、床に座ってどうされたのですか?」
アスセナが武雄の今現在の話している体勢を見て聞いてくる。
端から見ればヴィクターに怒られている感じなのだ。
「こういう日もあります。」
「そうですか。
キタミザト様、ハワース商会への発注書にサインをお願いします。」
アスセナは特に何も言わずに通常に戻る。
「はいはい。
えーっと・・・ここかな?」
武雄が執務机に向かい書類を確認しながら返事をする。
「そこです。
それと主、ヘルメットは取った方がよろしいのでは?」
「あ~・・・重いですものね。」
「はい。
それに戦闘ベストが黒くなっておりますね。
先ほど桶を持って入っていきましたが・・・スライムに漬けましたか?」
「黒スライムにね。
ちょこっと防御力が上がった気がします。
性能試験はまだまだ先ですけど、してみました。」
「主はそういう感じでよろしいでしょう。」
ヴィクターが武雄の行動には何も言わないで頷くのみだったが、マイヤーは「所長、甘やかされてますよ」と思うのだった。
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