第1557話 ジーナとスミスの訓練。3(アルマとレイラが散歩をしている。)
「あ、エイミーちゃん発見!」
「あら?珍しい所に居るのね。」
「ん?アルマお姉様、レイラお姉様。
日課の散歩ですか?」
エイミーを散歩中のアルマとレイラ、パイディアーと数名の王都守備隊員が発見して近寄ってくる。
「殿下方今日も問題なさそうで安心します。」
総長が席を立ち挨拶する。
「総長もご苦労様です。
ジーナちゃんとスミスの件、ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそいつもと違った相手と出来るので良い刺激になっております。」
「見た感じ・・・スミスはまぁまぁかな?」
「ジーナ、凄いわね。
王都守備隊相手にやりあってるわ。
それも精霊を使わないでかぁ・・・流石ね。」
レイラとアルマが訓練場を見ながら総評をする。
「エルヴィス殿は貴族で次期当主。
兵士より強くなる必要もございませんよ。
他の貴族の子弟と並べても見劣りするような事はない強さでしょう。」
総長がスミスを評する。
「・・・確かスミスの同期に新貴族が2名居たわよね。」
アルマが考えながら言う。
「アルダーソン男爵家の長男とボールド男爵の長男ですね。
共に元騎士団との事でしたが。」
「なら、本来なら魔法師専門学院に入っていた可能性もあると。」
「そうですね。
元々兵士となるべく幼少より訓練を受けた者と比べますか?」
「・・・スミスには酷ね。」
レイラが言う。
「でもスミスは施政者としての教育はされているわよね?」
「私とジェシーお姉様もしましたけど、アリスが仕上げています。
前のライ麦の交渉を見た感じでは上々でしょう。
タケオさんも居てくれるし、これから経験を積めば良い領主になるんじゃないですかね?」
アルマの問いにレイラが答える。
「となると領主としてはこのぐらいの武力で合格か。」
「まぁウィリアムは剣技は全くダメだしね。」
「まぁね~ウィリアムだし、その分施政者として頑張って貰うしかないんだろうね。
武力がないなら頭を使わないとね。」
「アルマお姉様、レイラお姉様、ご自身の旦那様に向かっての評価が厳しいですね。」
エイミーが呆れながら言う。
「ウィリアムは領主になるからね。
甘い採点は出来ないかなぁ。」
「そうね。
ここで身内が甘やかしてしまうと大変な事になりかねないしね。」
「そうなのですか?」
エイミーが聞いてくる。
「うん、今私達は王都でなんとなく持ち上げられているからね。
これで領地に移って失敗でもしようものなら評価がガラリと変わる可能性もあるし。」
「新たに領地を持つと大変そうですね。」
「そうね。
唯一の救いは人脈が豊富な所かな、それにエリカさんが居てくれるし。
自由に発想してくれるから目新しさもあるし、私達の異動が華々しくなった感があるよね。」
「それこそ失敗すれば大変な事になるのではないですか?」
「そうだけど・・・エリカさんが相談している相手はタケオさんだしね。」
「あ、レイラ、それは言っちゃダメよ。」
「おっと。
まぁそういう訳よ。」
「なるほど・・・エリカさんはタケオさんとの繋がりをお持ちでしたか。」
「まぁね。
私とアリス、エリカさんとタケオさん、相談相手にキタミザト家はちょうど良いわね。」
「それに実際に卸売市場はどこまでが成功でどこまでが失敗か誰も評価出来ないから誰も問題には出来ないと思っているし、その時の報告を上手くすれば問題ないという事よ。
領地異動で問題になりそうなのは治安とか数年後の生産量の達成具合かな。」
「アルマお姉様、レイラお姉様には卸売市場は問題でも何もないのですね。」
「問題と思ってないというか、問題と定義されないように仕向けるというか・・・
ま、やりようはいくらでもという事ね。」
「そうですね。」
アルマとレイラが笑いながら言う。
「楽しそうですね。」
「エイミーちゃんも何かしたら?」
「私がですか?
王都に居ると何も出来ませんが。」
「そうかな?
ん~・・・領地の実務は出来ないかもしれないけど、やりようはいくらでもあるように思うけどなぁ。」
レイラが首を傾げながら言う。
「そうでしょうか?」
「私はそう思うわよ。
まぁ迷ったら若者達で悩んでみたら?
繋がりを持っている人達はエイミーちゃんの周りにも居るから助言はくれると思うしね。」
「・・・ジーナですか?」
「それも1つ、私達は主にタケオさんに相談はしているけどそれだけではないわよ。
だからタケオさんに相談するかどうかはエイミーちゃんが判断すれば良いし、タケオさん以外にも為になる情報や考えを持っている人達は多いからそちらに相談するのも良いだろうしね。」
「まぁまずはエイミーが何をしたいかを考える方が先かもね。
エイミーがやりたい事がわからなければ相談のしようがないから。」
「そうですね。」
エイミーが頷くのだった。
「あ、もうこんな時間、アルマお姉様、厨房に向かいましょう。」
レイラが懐中時計を見ながらアルマに言う。
「そんなに時間経った?ならライ麦茶を追加しないとね。」
「ですです、パイディアー、行きましょう。」
「はい、失礼します。」
アルマ達は訓練場から去っていく。
「相も変わらず元気ですね。」
総長が見送りながら呟く。
「第3皇子一家は昔から明るいですよ。」
「確かにそうでした。
と、こちらも終盤ですかね。」
「ジーナが魔眼を使ったかぁ。」
総長とエイミーは訓練場を見つめるのだった。
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